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超負荷マネジメント業務には「赤/青/緑」の3モードで対処する


こんにちは、noteコーディネーターの玉岡です。
本日紹介する書籍はこちら!

目次はこちら。


第1章 なぜ「観察」が重要なのか?
第2章 何を、どうやって観察するのか?
第3章 赤のモード(闘う/逃げる)を観察する
第4章 青のモード(固まる/動けなくなる)を観察する
第5章 緑のモード(安心する/つながる)を観察する
第6章 ブレンドされるモード
第7章 部下育成や対話への活用
第8章 観察力を高めるエクササイズ


第1章 なぜ「観察」が重要なのか?

まず、本書では現代のマネージャー層に関する状況を次のように紹介します。

2023年に行われたある調査によれば、企業の人事担当者が思う組織課題のトップは「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている (56.3%)」ことでした。この調査では管理職層にも同じ質問がなされて おり、4.7%の管理職層も、自分たちの負担が過重になっていることを組織課題だと回答しています (『マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2023年』 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)。

22P

中間管理職層の負荷増大は、働き方改革が推進される以前からも慢性的な人事課題でした。特にコロナ禍を経て、リモートワークでのマネジメント、QOL、ウェルビーイングや組織エンゲージメントといった新たな課題が浮き彫りになった現在、そうした責務がマネージャー層の肩にのしかかっています。
本書の最初の図表である図1-1は、日本がまだ元気だったといえる2010年当時の「人と組織」の循環を示しています。

ここから一気にマネジメントの難易度が上がっていく、と本書は説きます。2010年との対比が、次の図1-2です。


では、どうやってこの難渋を極める現代のマネジメントを乗り切るのか。
本書ではここに「観察」という視座を持ち込みます。

第2章 何を、どうやって観察するのか?


「マネージャー」といっても、純然たるピープルマネジメントに終始しているマネージャーは、おそらく本書の読者層には皆無だと思います。
マネージャーだからこその業務経験、業界知識が求められる難易度の高い案件を抱える、A級プレイヤー兼マネージャーという姿が実態ではないでしょうか。
激務の日々の中で能動的に行動を選択する余地が減り、自身の緊張に無自覚になっていく。
本書は、まずこうした自己を内省することが「観察」のスタートと説きます。その内省に用いられるのが「ポリヴェーガル理論」です。
この理論は、人々をドライブさせる交感神経と、鎮静させる副交感神経の関係を次のように設定します。

従来は「攻める/止まる」の2項区分だったものを、ポリヴェーガル理論は[「攻める/止まる/ゆるやかに止まる」の3つに再定義します。
おそらく、次の表2-1が本書のエッセンスをマッピングした基本マトリクスだと思います。

この「赤、青、緑」の3モード。これが、現代のマネージャーに求められる「自己と他者」を観察するための鍵概念となります。

第3章 赤のモード(闘う/逃げる)を観察する

この章では、3モードのひとつ「赤のモード(闘う/逃げる)を詳述します。
章の冒頭にある仮想ストーリーは、マネージャ職にある方ならきっと深い共感を持って読まれることでしょう。
赤のモードは、外的/内的要因により「衝動的に身体のエネルギーが高まった状態」です。その状態でアグレッシブに周囲と対峙してしまうことでさまざまなコンフリクトが発生します。
では、どのように対処するのか。その具体的なTIPSに加え、実際のビジネスシーンに状況を仮定します。
このケーススタディ<状況>が、非常に秀逸です。
ぜひ本書で確認してみてください。

第4章 青のモード(固まる/動けなくなる)を観察する

この章では、モード青「固まる/動けなくなる」を解説します。
3章と同様に、冒頭の仮想ストーリーに胸と胃が痛くなる読者も多いだろうと思います。
超過負荷、ハイプレッシャー下で燃え尽きて=「固まって」しまう。こうした状態は、現代のマネージャーの縮図かもしれません。
図4-1は、この「固まる」「動けない」を次のように分かりやすく図化します。


続くページでは、青のモードの本質的意味/注意点と対処法/ケーススタディが展開されます。こちらも赤のモードと同様、非常に具体的です。

第5章 緑のモード(安心する/つながる)を観察する


緑のモード「安心する/つながる」は、ポリヴェーガル理論ならではの特徴かもしれません。従来の2項区分に対する、新しいもう一つの概念です。
この章で最も印象的なフレーズは、次の部分でした。

脅威に直面したときに出現する赤・青のモードは、入っている瞬間の場面が記憶に残りやすいモードです。
私たちの脳や身体に、過去に経験した危機的な場面を、身を守るために強く記憶しおこうという働き、性質てがあるからです。対して安全は、やや曖昧でインパクトが弱く、 思い出しにくい傾向があります。 身体の感覚としても、かすかな 「心地よい感覚」があることが多いのですが、他のモードと比較すると捉えにくく、体験している際に気づきにくいのです。先に挙げたビジネスシーンの日常も、そのときは 楽しく経験しているのですが、その瞬間を自覚的に味わえている人は少ないでしょう。自覚的ではない体験は、心地がよいわけでも悪いわけでもない体験、ということです。ただ、ここに「安心」や「つながり」の鍵があるため、自覚していくことがとても大切です。

148-149P

この緑のモードを「通常」化していくことが、自己能力の最大化につながると本書は説きます。
いわゆる心理的安全性の高い組織=緑モードの多い組織と置換されます。

第6章 ブレンドされるモード

自己と他者をマネージするための手法が「観察」であり、そのためには「赤/青/緑」の3つの身体的モードがある。
これが、本書の斬新な視座でした。
ここまでは各モードがそれぞれ解説されていましたが、第6章において、なんとそれが「ブレンド」されます。
3色のモードには相互感応性があり、循環性があると解説は重ねられます。
各モードの掛け合わせやモード間のグラデーションに発生する状態等は、まさに現代のマネジメント上の課題/問題にそのまま置き換えられるものです。

部下育成や対話への活用/観察力を高めるエクササイズ

本書のまとめとなる7章、8章では、これまで丁寧に紐解かれてきたポリヴェーガル理論の3モードを、ビジネスの現場で活用するための「技」が解説されます。
その実態を、ぜひ本書で実際に確認してみてください。特に、8章で語られるマインドフルネスエクササイズは大変具体的です。
著者による各エクササイズの音声ガイドも、QRコードを通して入手できるうれしい付録もついています。


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