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【フリーランス保護法】受注するフリーランスがやっておくべきたったひとつのこと

2024年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、通称フリーランス保護法(フリーランス法、フリーランス新保護法)が施行されます。執筆時点で公開されている情報をひととおり見ただけですが、基本中の基本が書かれている感じです。

…ですが、Twitterで「フリーランス法」とか「フリーランス保護法」と調べてみても、そのことについて書いているクリエイターが少ない!少なすぎる!!

「元請が守ればええんやろ?ほな関係ないわ」みたいな雰囲気を感じてしまいました。

でも結局、フリーランスに法律が整えられたとて、最終的に身を護るのは自分自身。だったら法律の内容を軽くでも知っておく必要があるんではないかと思います

ということで、本記事では仕事を受注している側のフリーランスが、執筆時点でやっておくべきひとつのことを解説します。やるかやらないかは皆さん次第です。…が、本気で事業を続けたいなら、大きなトラブルに巻き込まれたくなければ、やっておくことを強く、つ・よ・く!おすすめします。

なお、この記事ではフリーランス保護法についての難しい解説とかはしません。あくまでも超かみ砕いて説明するにとどめていますので、ご了承ください。

契約書を作れ!以上!

結論、業務委託契約書を作ってください。以上です。

…は?

と思った人もいると思います。あっけなさすぎるでしょう。

ですが、現在公開されている法律を読み解いていくと、結局「契約違反するクライアントはみんな悪質って認めて処すから安心して仕事して税金納めてってことなんです。「保護法」なんてたいそうな名前が付いているから難しく構えがちですが、受注するフリーランスがやることはこれだけです。

結ぶ相手は元請、つまりクライアント。だから仕事を受ける際に「契約書を結んだら、それを証明書にして法的措置もOK」って姿勢を見せることです。逆にいえば、契約段階で業務委託契約書を結んでくれた相手はOK。法律施行に伴って結び直す可能性もゼロではないですが、まあそういうお相手はコンプライアンス順守の意識があると思っても良いでしょう(渡された契約書の内容は読んでくださいね…)。

みなさんに作ってほしいのは、業務委託契約書を持たないクライアントと単発・継続を問わず結ぶための業務委託契約書です。

難しくないでしょ?それだけです。

ネット上のテンプレートはダメ

この話はかなり前にnoteで書いているので、こちらを読んでいただければ…。

簡単にまとめると、ネット上の契約書テンプレは必ずしもその業界に適したものではない、だから万が一の時の防御策にならない、ということです。

ぶっちゃけ言うと、(あえて言いますが)ちゃんとしてないクライアントはテンプレート使いまわしているので、よく読むと違和感だらけの契約書を結ばされることもあります。トラブルに発展して弁護士でも出てくれば、長期化は必至です。

ということで、オンライン上の契約書テンプレの流用はダメです。万が一の時に役に立たない紙切れになります。

もちろんですけど生成AIに作らせたのもダメですよ。

弁護士特約で依頼したとて…

損害保険とかの特約で、弁護士特約とかありますよね?確かに便利ですが、正直言ってトラブルになったら数十万とかの弁護士費用が掛かります。加えて、日本の司法制度は進行速度がおっそいので、時間もめちゃくちゃかかるでしょう。

特約だけで解決するトラブルもあるかもしれませんが、こじれた場合になったらその費用と時間は捻出できますか?というか捻出する覚悟がありますか?という話です。

きちんと業務委託契約書を結んでいれば最小限の被害で済んだのに、結んでないばかりにお金も時間も体力も持ってかれる…。本末転倒ですよね。

だからこそ弁護士に依頼して、きちんとした業務委託契約書を作って結び、無駄な費用や時間をかけないようにしましょう。ちなみに、業務委託契約書の作成にかかる費用は5~10万円です。提供しているサービスにもよると思いますが、それでトラブルが起きるリスクが下げられるなら…いかがでしょう?顧問契約まで結ばなくても、単発でお願いしても快く受けてくれる弁護士先生は大勢います。

「とはいえ弁護士の知り合いなんていねぇよ」というフリーランスのあなたへ

まあ、大多数の声がこれでしょうが、これもそんなに難しくありません。

お住まいの地域にある商工会議所・商工会の経営指導員(職員さん)や信用保証協会などに「弁護士さんを探している」と伝えてください。時間はかかるかもしれませんが、専門家派遣制度(コーディネーター支援制度など、呼び名多数)という形であっ旋してくれると思います。

専門家派遣制度とは1~3時間程度で、皆さんが抱えている経営課題に即した専門家と話をする時間と場所を設定してくれます。多くは商工会議所・商工会の会館ですが、必要に応じて自宅にも来てくれるでしょう。

ただし、相談ベースになるので、実際に業務契約書の作成やリーガルチェック(今ある契約書の修正)をお願いする場合は別途費用が掛かる可能性があります。…が、初回の相談は無料になる仕組みですので、使ってみて損はないでしょう。以下に東京商工会議所のエキスパートバンクの概要を貼っておきます。こんな感じの制度です。

また、制度を使うには会員加入しなければならないのもネックに感じるかもしれません。商工会議所も商工会も(地域によりますが)、無料のセミナーや補助金・助成金の案内、マル経と呼ばれる通常よりも金利が低い融資の対応もしてくれます。年会費は1~2万くらいですので、顧問料として払っても格安。加入しておいて損はありません。

当然、自分で弁護士事務所に問い合わせできる人は問い合わせてもらっても良いですよ。ちなみに、商工会議所と商工会がわからない人は、軽ーく以下のリンクを読んでおいてください。青年会議所(JC)ではないですよ、悪しからず。

【脚注】
※商工会が兵庫県になっていますが、目的や取組事業は全国同一です。

フリーランス自身も守りの意識を

まあ、ながなが書きましたが、結局のところ「フリーランスで仕事を続けたいのであれば、(面倒でも)ちゃんとした業務委託契約書を作りなさい」ってことです。逆にいえば、契約書を結ぼうとしない相談者とは契約しないことが重要です。何かしら不都合があるのかもしれませんので…。

冒頭でも申し上げましたが、フリーランス保護法で受注側がやるべきことはこれだけです。要するに「発注側が守らないといけないものだけど、受注側も防御策作っておくんなまし!」ということなんですね。

法律全文を読むのは、私のようなヒマ人じゃないとできないと思います。YouTubeも難しい言葉で説明しているだけなので、すべてを理解するのは至難の業でしょう。

とりあえず…「自分の身を守る準備を、2024年11月1日の法律施行前にしてください」って意味なんです。悪質なクライアントから身を守るためにも、ぜひ手を付けてほしいと思います。

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