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習慣のデザイン

習慣づくりやそもそも習慣ってなんだと探求することになってもうすぐ1年が経つので、その中でわかってきた習慣のことについてまとめてみました。

習慣のメカニズムとプロセス

習慣のメカニズムとして、人の行動の約40%は習慣から成り立っています。すでに習慣化された行動では人の脳は反応せず、脳ではカロリーを消費していないことが研究結果からもわかっており、人は習慣化させることで脳を省エネで効率よく使っています。新しい何かを学び覚えること、さらにはそれをループして繰り返さないと新しい習慣は形成されないわけですが、学び覚え繰り返すということは、それと同時に何かを見直したり、止めるということも伴っているかと言えます。

また習慣化プロセスは、「きっかけ→欲求→反応→報酬のルーチン」、あるいは「きっかけ→ルーチン→報酬のサイクル」で成り立っているとされます。私としては前者のほうがしっくりくるかんじがします。前者はジェームズ・クリアー著「Atomic habit:複利で伸びる1つの習慣」でジェームズ・クリアーが、「習慣の力」+「Hooked」で普及した図案を組み合わせてだしたものです。

では次に、個人・組織・社会に分類して習慣を見ていきます。ここでは、ジェームズ・クリアー著「Atomic habit:複利で伸びる1つの習慣」とチャールズ・デュヒッグ著「習慣の力」を参考にして解説していきます。

個人の習慣

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個人の場合は、内なるアイデンティティから向かう行動の方が習慣化されやすく、アイデンティティ→プロセス→結果の習慣は長続きするけど、結果→プロセスから入る習慣はアイデンティティが欠落しているから長続きしにくくなります。痩せるという結果を入り口にしたダイエットがうまくいかないのはまさにこの例です。アイデンティティからはじまり、これまでのプロセスが見直され、より良い習慣に変容することで結果的に痩せるという方が成功しやすいし、リバウンドも起こらないのです。そこには要となるキーストーン・ハビット(要となる習慣)が存在していて、例えばそのキーストーン・ハビットが見直されたことで、あらゆる習慣が良い習慣に転じていくことがあります。

またマーケティングやブランドコミュニケーションの観点で言えば、顧客の習慣づくりというものは、マーケティング5.0 TECHNOLOGY FOR HUMANITYでコトラー先生が言っている5つのコンポーネントに当てはめてみると、顧客の習慣行動のファクト・データを集めること、データで習慣行動を予測すること、データから習慣行動を拡張させること、データから新たな習慣や既存の習慣を見直すコンテクストを探し出すこと、これらの習慣づくりのためにアジャイルに検証・反復をまわしていくこと、で置き換えられそうです。

組織の習慣

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組織の場合は、機械的な手順により思考せずともできるようなマニュアルや風習などが存在しますよね。組織的に行なわれていることは習慣であり、そういった習慣の定着はいずれ企業文化になっていきます。変わることが当たり前の会社には、チャレンジを後押しするような制度や機械的な手順が存在します。つまりは組織の中のカギとなるいくつかのキーストーン・ハビットを見つけ、強力な梃子にすることができれば、組織にある好ましくないパターンを取り除いたり、つくり替えたりできるので、これまでの企業文化から変容できる可能性も考えられます。習慣を改めることで企業文化が変わっていくには、ビジョンやパーパス、バリューといった意味づけ、動機づけとなるきっかけやそれらを自分ごと化して意識変容、行動変容していくアイデンティティベースでの習慣形成の働きかけが企業側には求められます。

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例えば、意志の力の消耗や意志を鍛える研究から、スターバックスでは、自制心を鍛える教育カリキュラムの開発、意志の力を発揮する習慣を身につけるワークブックをつくり、スターバックスのビジネスモデルの基本となる最上の顧客サービスのために「自制心を組織の習慣にしてしまう」ことを答えとして出しています。

社会の習慣

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社会の習慣とは、何百、何千もの人間が「特に考えずに」行うことで、世界を変えるほどのパワーがあるものです。社会習慣の3つのSTEPは、①友人とのあいだの社会習慣、親しい知り合いとの強い結びつきから運動がはじまる。②運動がコミュニティの習慣となり、隣人や仲間たちをまとめる弱い結びつきの力で拡大していく。③リーダーが参加者に対して新たなアイデンティティや当事者意識を感じられる新しい習慣を与える。というSTEPで構成されています。これを見て真っ先に思ったのは、近年では香港の雨傘運動やアメリカのBLM運動ではないでしょうか。またデモ運動だけでなく、行政や企業などがうまく①~③を活用・先導することで、社会として良い習慣が生まれることもあるでしょう。

習慣のデザイン

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個人や組織、社会における習慣の裏側にある習慣のメカニズムやプロセスを理解することで、重要となるキーストーン・ハビットを見つけだし梃子入れすることで、個人や組織、社会の課題解決に向けた習慣をデザインできるのではないかと感じます。そうすることで、より良い習慣づくりを通じて、個人や組織、社会の一日一日が充足したものになり、ウェルビーイングにもつながっていくのではないかと感じます。



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