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読み物「奇跡の在り方」

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むかし書いた舞台の台本を小説風に連載中。 車椅子の少女と幼馴染みの少年に起きた奇跡。完結しました!是非読んだ方は感想聞かせてください。
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2020年4月の記事一覧

奇跡の在り方13

奇跡の在り方13

前回のお話しはこちらから。

「……禁書は今ここに?」

「……はい。」

ソードは隠し持っていた禁書をスレイブに手渡した。

「こんなもの使用されたら私の責任問題ですよ!」

「お願いします!1度だけでいいんです!使用させて下さい!」

「いや、流石にこればかりは……。」

「何でもします!どうかお願いします!」

「あなたは……そこまで彼女の為に?」

「はい、彼女の願いを叶えてあげたいの

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奇跡の在り方14

奇跡の在り方14

前回の奇跡の在り方はこちら。

過去へ……。

13年前の桜庭家。

「葉子ちゃん!学校行こう!」

「おお、正彦君おはよう。」

「あ、おじさんおはようございます!」

「ちょっと待ってくれ。」

「はい!」

ソードと葉子の魂が過去の桜庭家の様子を伺っている。

「懐かしいなぁ~。」

「あれが正彦さんですか……?」

「うん。そうよ。あ!今出てきた車椅子の子が私よ。ふふ、お父さん

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奇跡の在り方15

奇跡の在り方15

前回の話しはこちら。

1人過去に残された葉子は、先程見かけた谷山正彦を探した。

(あ!いた!正彦君だわ。)

正彦は1人で下校の途中だった。葉子は正彦の少し後ろを同じ歩幅で歩いた。

(ふふっ。こうして一緒に歩きたいって何度思ったか。)

楽しげに後ろを歩いていると、後ろから葉子の体を自転車が猛スピードですり抜けて行った。そして、その自転車は谷山正彦の横をすり抜けて行った。正彦は驚

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奇跡の在り方16

奇跡の在り方16

前回のお話はこちら。

葉子は公園から立ち去る正彦を見送った。すると、急に目の前にソードが現れた。

「きゃ!…ビックリした。」

「あ、すいません。」

「ソードさんありがとう!いま正彦君とお話ししたの!私の姿、正彦君には見えるみたいなの!」

「え?そんな……、まさか!?」

「本当よ。それでね、明日も会う約束したんだけど大丈夫かしら?」

「ええ、それは大丈夫です。日付けを明日にずらせば

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奇跡の在り方17

奇跡の在り方17

前回のお話しはこちら

天界のとあるビルの一室。スレイブが椅子に座り、黒いファイルを見ている。そこへソードがよろよろと入ってきた。

「ソード……?!」

「先輩……、戻りました……。」

「姿を保てない程に力を使ったのですか?今にも消えそうじゃないですか?!」

「すいません、無理をしてしまった様です…。」

「とにかく座って!…落ち着いたら報告を聞きましょう。」

スレイブはソードを椅

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奇跡の在り方18

奇跡の在り方18

前回のお話しはこちら。

「……とにかく、過去へ飛ぶのは次で最後です。これ以上干渉するととんでもない事になるかも知れませんよ。」

「はい…。」

「いや…、もしかしたらすでに…。」

「え?」

「いえ、なんでもないです。そろそろ自室に戻り、力の回復に専念した方がいいですね。」

「はい、わかりました。」

「ゆっくり休んで下さい。」

「ありがとうございます、失礼します。」

ソードはよろよろ

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奇跡の在り方19

奇跡の在り方19

前回の話はこちら。

ソードの身体はもう言うことを聞かなくなっていた。意識も強く保っていなければ飛んでしまいそうだった。彼女が気持ちを伝えきるまで何とかもって欲しい。ソードは力を振り絞った。

葉子が目を開くとそこは過去の正彦と合っていた場所だった。葉子は急いで約束したベンチへと向かった。

「正彦君!よかった、いた…。」

「ユウコさん!よかった!来てくれたんですね。もう会えないのかと思

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