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広島から日本全国へ。人気クリエイターの原点|遊凪さんインタビュー #12
昨年12月に開催した「じだいのはざま展vol.5」。
その会期中に行ったアーティストインタビューを掲載します。
今回は遊凪さんのインタビューです。
展示作品の解説をしていただきながら制作の原点についておうかがいしました。
前回のインタビューはこちら👇
遊凪
【揺らぎを軸に突き進むクリエイター】
広島在住のイラスト、動画クリエイター。
アイコニックなニョロ目と、シンプルかつ印象に残る作品つくりが得意。
アーティストやVtuberなどのMV制作、ロゴ・イラスト制作、グッズ制作など、幅広く活動中。
デザイン事務所でのデザイナー・動画編集歴を活かした、丁寧なヒアリングと的確な制作が持ち味。
【works】
・根本凪xヴィレッジヴァンガード イラスト制作
・重音テト×LIVERTINE AGEイラスト制作
【awards】
「みらいを描こう!おやまアートコンテスト」19歳〜30歳の部グランプリ
https://www.instagram.com/the_boon_109/
穏やかな瀬戸内海に影響を受けた作風
───遊凪さんはにょろ目のキャラクターが特徴的です。このキャラクターはどうやって生まれたんでしょうか。
遊凪さん(以下敬称略):2022年に活動を開始してすぐ、瀬戸内海の因島(いんのしま)のデザイン会社に就職して、単身移住をすることになりました。因島で海を毎日眺めたり、瀬戸内海に惹かれて移住してきた人たちの話を聞いたりしているうちに、この瀬戸内海の穏やかな凪の状態がすごく好きだなと感じました。その凪の状態を表現したくて落とし込んだのが、揺らいでる目や全体的に波線を描くような絵柄です。
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───遊凪さんは広島出身で、大学は長崎でしたよね。それまでも海は身近な存在だったと思うんですが、因島の海は特別だったんでしょうか。
遊凪:そうですね、私は長崎の大学で水産学部に通っていました。海が好きな友達と長崎の海に行く機会が多かったんですけど、長崎の海は日本海なので荒々しさや男らしさが感じられました。結構荒れ狂う海の印象が強くて身が引き締まる思いになるような海でした。そこから因島に移住して瀬戸内海を見ると「こんなに穏やかな海ってあるんだ」とすごく衝撃でした。瀬戸内海の穏やかさに惹かれて移住してくる方たちの気持ちが分かりました。
───日本海と瀬戸内海では全然印象が違うんですね。
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ライブペイントのコツは“下準備”
───今回展示してくださっている作品について聞いていきたいと思います。
遊凪:一番大きい作品「MEMORIES SHINE SILENTLY」は、池袋パルコさんの企画でライブペイントで描きました。テーマは「思い出は静かに輝く」という意味の英語です。幼少期から今までの思い出をあまり発信することがなかったのですが、絵の活動をしていくにあたって“過去の経験が実はこれにつながっている”みたいなのを話す機会が増えてきました。自分の思い出や生きてきた経験が作品に繋がって、関係ないようなことでも輝きはじめたなという気づきをテーマに書いた作品です。
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───ライブペイントされたということなんですが、絵の構想はあらかじめ考えていったのでしょうか?
遊凪:そうですね。このときはライブペイントできる時間が4時間くらいしかなくて、キャンバスに下書きまでしていって、現地でペイントしました。
───4時間で描いた絵なんですね!隣の「meteor」もライブペイントで描いた絵だとか。
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遊凪:はい、広島のクラブクアトロっていうパルコの上にあるライブハウスで「魔界」がテーマの、白塗りで参加しなきゃいけないっていう恐ろしいイベントがあって(笑)そこでライブペイントをしたときの作品です。メタルのバンドが演奏しているすぐそばで揺られながら描いたんですよ。
───演奏しているそばで描いたんですか!たくさんの人の前で描くライブペイントは緊張しますか?
遊凪:緊張はあまりしないです。特に「MEMORIES SHINE SILENTLY」と「meteor」はもともと制限時間が決まっていたので、しっかり構成を決めて下書きをして挑みました。あとはほぼ色を塗るだけといった状態なので、本当に目の前のことをするだけなんです。
デザフェスはその日に何を描くか決めるのですが、そこは緊張はしないんですけど、何か事故があって片腕が無くなったらどうしようとか別のところの心配をします(笑)
───なるほど。ちゃんと下準備されているから緊張しないんですね。続いて、左下のストーンがついている作品について教えてください。
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遊凪:こちらは「LOVE SUBCULTURE」という4作品のシリーズのうちの1作品です。ヴィレッジヴァンガードさんからの依頼で書き下ろしたイラストです。私が中学生のころ、サブカルチャーにめちゃくちゃ熱量がありました。きゃりーぱみゅぱみゅちゃんがデビューしたりした時期で衝撃で。私は広島だったので田舎でサブカルチャーに触れられるってヴィレヴァンしかなくて、本当に毎週通っていました。そのヴィレヴァンへの恩返しになればいいなと思いました。
自分の思うサブカルチャーを表現したくて、今回展示したのが「ゴスロリ」をイメージした作品。他に「推し活」「音楽」「ゲーム」をイメージした4作品を描き上げました。UVプリントした上にストーンを貼り付けて、背景のレースは手書きで書いています。
───この繊細なレースは手書きなんですね。
遊凪:(左下を指差しながら)この辺くらいでもう後悔してます。
───早い(笑)残りの作品についてもお聞きしたいです。
遊凪:「はと(2024)」は因島の鳩の写真を撮って描いた作品です。どれだけ抽象化できるかにチャレンジしました。はじめは2022年に描いて、そのときは鳩がもう少し細かかったんですが、今年よりアップデートさせて描きました。
───曲線が素敵な作品です。2022年バージョンより大胆にシンプルにできるようになったんですね。
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遊凪:次は「見上げる」。こちらは今年の6月、広島で個展をさせていただきました。そこのギャラリーさんの壁がコンクリート打ちっぱなしだったんです。普通の平面のイラストだったらコンクリート壁のインパクトに負けちゃうと思いました。なのでコンクリート調になる絵の具を最初に塗って、その上から落書きしたみたいな感じでペイントしました。
───よく見たら下地がボコボコ浮き出ています。
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遊凪:最後はこちらの六角形の作品「innocence」。クッキー缶っぽい感じでつくりたいなと思っていたのと、今回「じだいのはざま展vol.5」のテーマカラーが青だったので、それに合わせてつくらせていただきました。背景の青が若干メタル調になっているんです。
───ゴールドの縁取りもそれっぽいですね。サイドの波模様のデザインも蓋のように見えてきました。他とは違って作品自体が立体的に感じられて面白いです。
地方出身クリエイターに勇気を与えたい!
───最後に、遊凪さんがこれからやっていきたいことはありますか。
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遊凪:私は現在、広島市内に在住していて、地方から挑戦するというのはやっぱりハードルが高い部分があります。横のつながりもなかなかできないし、もちろん企業さんとのつながりも難しいです。さらに私は大学も特に活動と関係がなかったので苦労してきました。
でも今いろんなつながりができ、企業さんからお仕事をもらうことができています。東京や大阪、今度は福岡や名古屋での活動を通じて、これから絵を描いていきたい次の世代に“気力さえあれば大丈夫”だということを伝えていきたいです。
───遊凪さんは積極的にいろんな場所に出て活動されているので、元からつながりが多い方なのかと思っていました。そうやって頑張って人脈をつくられてきたんですね。遊凪さんの活動は地方出身者の励みになると思います。ありがとうございました。
インタビュアー:川口 由真
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