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「バンドルカードはヤバイカードだ!」

 スマホにプリペイドカードと入れたら「バンドルカード」と言うのが出てきた。
 世間に疎いわたしは、プリペイドカードなら子供が持つカードでコンビニ専用にしようと思った。ダウンロードし、アプリのままでは使いにくいので、600円か、700円をスマホで支払い、リアルカードのバンドルカードが簡易書留で我が家に来た。ポンタカードしかもっていない娘は、パパ、今度は何のカード取ったの?見せてよ?家族員が作れるならわたしのもお願いと言ってきた。わたしは、暑くて寝室で横になっていた。寝室の周囲は書類の山だ。これはね、来たばかりのカードですから封を開けずに後からの楽しみにしておくからと、ひょい!と書類のお山にのっけた。
 娘はいつのまにかいなくなっていた。
 それを確認し、封を開けてみた。
 ブラックのVISAと書いてある高価そうに見えるクレジットカードのようだった。しかし、よーく触ってみるとプラスチックや金属のカードではなく厚紙でできていて、厚紙と悟られないようにわざと表面にコーディングをかけてあるカードだ。
 どうやら、カード単体では使えず、スマホのアプリが必要ならしい。
 小さな字でよくみえない。
 老眼鏡をかけ、スマホのアプリの説明を読んでみる。
 ポチッ!とチャージボタンを押すとこの厚紙のICチップがついていないカードに5000円入金できると書いてある。その5000円は、わたしのお金ではなくバンドルカードが審査なしで、無担保で貸してくれるそうだ。
 入金をすまし、娘を読んでコンビニでお菓子かジュース、アイスでも買おうと思った。
 好奇心が旺盛なわたしは、そのカードを実際に使ってみたいだけであった。5000円だったらいつでもそれくらいの金額は返せる。
 娘は、パパがコンビニでおごってくれるなんて初めてよね、といい笑みを浮かべていた。
 おかし、ポテトチップス、チョコ、アイス、お団子、雑誌、ビールを買った。娘は、わたしが気前よく、じゃんじゃん店内のカゴにいれていくのでおどろいている。
 パパ、買い過ぎは良くないわよ、ママに怒られるわという。
 怒られるわけがないだろう、出資者はバンドルくんというんだよ。
 バンドルくんのお金を代わりに使ってあげているんだ。
 娘は、わたしの話が余りにも飛ぶのでついてこれないらしい。
 全部で4100円だ。5000円入っているから、900円のおつりだなあといった。
 リビングでみなでテレビを観て、そのお菓子を食べた。
 わたしが、忘れないうちに明日バンドル君へ4100円返さないとだからお金を頼むよ、と言う。
 この5000円は、今日来たバンドルカードくんから借りたんだよ。
 借りたものはすぐに返した方がいいだろう。
 妻が、サラ金ですか?これ以上、借金を増やしてどうするんですか、明日忘れずに返済を頼みますよ、という。
 娘は、今日来たカードって5000円券みたいなものなの、というので、そんなとこだ、返済が必要なんだという。
 パパ、住宅ローンがすごいのによく審査が通ったわね、というので、スマホでダウンロードすれば、ブラックの人でも生活保護の人でも借りることができるんだよ。ITの時代と言うのかなあ、と自慢しながら言った。
 次の日、キャッシュディスペンサーに、この厚紙のカードを入れ4100円返そうとしても、このカードは使われておりませんと出る。コンビニ3件を回って断られ、郵便局で断られ、三井住友、三菱UFJに断られ、大分歩いたものだからへとへとになって帰宅し、娘に事情を話した。
 娘は若いだけあって、スマホの説明書を読みすぐに理解したようである。
 コンビニで厚紙のカードで返すんじゃないわよ。スマホをもっていって、スマホのバンドルカードのアプリをクリックし、QRコードをコンビニの機械からよんでもらい返すの。パパには無理だ、一緒に来てくれと頼んだ。

 QRコードで返すことは分かったのだが、4100円の100円はコインでお札ではないから5000円返さなくてはいけないという。しかしだ、実際使ったのは4100円であるから、バンドルカードには残金が900円残っているはずだ。
5000円返済すると、5900円、バンドルカードに入っていることになる、おかしくないか、と娘に言うと、今ね、スマホの検索で調べたけれど被害にあった人が大勢いるわ。アプリが消えて返済できないという人がいるし、金利計算で200%返した人もいるんだって。
 明日、弁護士事務所に相談に行きましょうよ。
と強引に言われた。
 弁護士の相談料金は、40分で1万円くらいである。
 損をしたなと急に気が弱くなりはじめた。
 


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