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JDSCが考えるメディカル x 保険事業アイディア『メディカルフィットネス付き保険』とは?

はじめに

JDSCは、フレイル事業を中心にメディカル・ライフサイエンス事業に注力しており、医師やコメディカルの社員も在籍しています。今回は、当社DXソリューション事業部ヘルスケアチーム マネージャー兼理学療法士である阿部が、JDSCが目指すメディカル x 保険の事業アイディア『メディカルフィットネス付き保険』についてお示しします。



阿部 祐樹
DXソリューション事業部 マネージャー ヘルスケアチーム / 理学療法士 / NPO法人JRTC* 外部研究員
*Japanese Organisation for Research and Treatment of Cancer(日本がん研究・治療機構)

大学病院で理学療法士としてキャリアをスタート。がんリハ、呼吸・心臓リハ、ICU・NICUリハ、緩和ケアなどに従事。脳神経内科研究班の活動、院内プロジェクトにも参画。医療法人本部では介護事業等を開発。Robotics Rehabilitation、IoT研究、東京2020の車椅子バスケ日本代表サポートなど幅広く経験。その後、ヘルスケアベンチャーにて新規事業開発をリード、0→1、1→10フェーズを経て新事業部立ち上げに成功。官公庁ロビーイングも自ら実践し、事業拡大にも貢献。JDSC参画後は、これらの経験も活かしフレイル対策事業などを推進中。


解消したい”不”:がん患者の不安

まず、がんの話から始めたいと思います。ひと昔前と違い、現在は「がんと共生する時代」になりました。高齢化とともにがん患者数は増加傾向にありますが、がん検診の普及に伴う早期発見、医療の高度化による生存率の向上により、通院治療をされる方も増加傾向にあります。

高齢者における消化器腫瘍の入院・手術件数の推移予測

出所:オノオンコロジ―(日本人のがん罹患状況)
出所:オノオンコロジー(がん患者さん・がんサバイバーの就労状況)

一方で、がんと診断された方や治療真っ最中の時はどうでしょうか?「他に転移はしていないか」「手術は上手くいくだろうか」「痛みや治療の副作用はどうか」「会社に復帰できるだろうか」「家族のことはどうしようか」などなど、あらゆることが不安になります。

以前より存在するがん保険というサービスは、金銭的な不安を和らげるとても重要なサービスですが、少しずつ新しいサービスが民間企業からも提供され始めています。例えば、オイシックス・ラ・大地株式会社は、がん患者とその家族をサポートする食品提供のPoCを開始しています(※1)。栄養をしっかり摂ることは、生命予後にも関わるカへキシア(悪液質:炎症を伴う疾患関連性の低栄養状態)予防、生活の質の維持のためにもとても重要です。

※1:オイシックス・ラ・大地株式会社(がん患者さんと家族の声を聞いてつくった「ヘルスケア Kitコース」のサービス検証を開始)

JDSCが着目するもの:がん患者向けプレハビリテーション

生活は食と活動や運動が中心ですから、患者さんを食の観点からサポートしているオイシックス・ラ・大地さんは素晴らしいと思います。理学療法士である私は、身体の専門化の観点から患者さんをサポートしたいと考えています。具体的には『プレハビリテーション』で患者の生存確率を高め、再発率を下げるのです。

そもそも、がん患者において運動は治療の1つと言っても過言ではありません。プレハビリテーションの効果については世界的にも研究されており、エビデンスが蓄積されつつあります。

出所:Aust J Gen Pract. 2020 Apr;49(4):169-174. doi: 10.31128/AJGP-08-19-5027.

プレハビリテーションによって重度合併症率が減少

出所: JAMA Surg. 2023;158(6):572–581.

プレハビリテーションによって無再発生存率が向上

出所:Annals of Surgery 270(3):p 493-501, September 2019.

しかしながら、プレハビリテーションの提供実態は厳しいです。

  • 医療機関は多くの方を支援できていない
    ・術前リハ提供医療機関はまだ少ない
    ・コロナ禍で外来リハは自粛
    ・集団リハは診療報酬を得られないため個別対応のみ

  • 介入期間が非常に短い
    ・入院から手術日までは数日となる場合が多い
    ・外来リハを提供している場合も入院前指導、自主トレ指導に留まっている

  • 退院後の長期間サポートは困難
    ・診療報酬を得られるリハ期間には限りがある

  • 同じ境遇の方との接点を用いにくい
    ・接点を求める方は自ら積極的な関わりが必要

  • 医療以外のサービス提供は難しい
    ・一部は外来診療体制を設けているが、精神心理的ケアはまだまだ不十分

厚労省によると、拠点病院でさえも入院中のがん患者でリハビリテーションを受けた患者の割合は、たったの19.7%(※2)という調査結果もあります。

※2:厚生労働省 がん医療の充実について ~議論の整理~

そこでJDSCは、社会保障制度には依存しないが、医学的エビデンスに基づいた運動プログラム等を提供する『メディカルフィットネス』を作りたいと考えています。

メディカルフィットネスとは?

但し、サービスを作っただけでは患者さんには届きません。JDSCは、治療中のがん患者を経済的にサポートしてきた保険会社と協働し、『メディカルフィットネスサービス付き保険』を開発することで、多くの患者さんにサービスを届けていきたいと考えています。

JDSCだからできること「High Touch × High Tech」

私たちは、従来のフィットネスジムでは実現されてこなかった疾病やその病期、病態や心身機能など個々人の状態に応じたHigh Touch personalized careと、アプリやAIなどのデジタル技術を活用したHigh Tech personalized care の組合せによって、より効果的な事業開発を実現したいと考えており、
プレハビリテーション、呼吸理学療法の経験も豊富な理学療法士や医師とも連携し、運動・呼吸生理学的、医学的に有効なプログラムの開発を実現します。

栄養リハの観点に基づく栄養強化プログラムの開発、精神科専門医の監修による心のケアサポートプログラムの開発も想定しています。もちろん、フィットネスの得意領域である「楽しさ」の要素も活かしていくことも重要であると考えていますが、当社のBizメンバーにはマーケティング領域を得意とする戦略コンサルも在籍していますので、連携しながら持続可能性を高く、事業拡大を図っていきます。

また、当初からデータサイエンティスト、エンジニアとも連携し、アプリケーション開発や、医療介護や調剤データとの連携と分析、AI開発の検討も進め、デジタルヘルスも同時に開発、展開していきます。そして、双方の利点を生かし包括的な患者サポートをスピーディに推進し、がん患者の‟Well-being”の向上を図っていきたいと考えています。

現在、様々な治療用アプリの開発が進められていますが、アプリケーションはアドヒアランスの低さが課題とされています。私たちはHigh-touchを軸としたデジタルの活用とマーケティングによって行動変容を促し、これらの課題を解決していきます。
 
まだまだ構想段階ですので、検討を進めながらもJoint R&Dを協働できるパートナーや、一緒に実現してくれる社員の両方を募っていきたいと考えています。ご興味のある方はぜひお声がけください!



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