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迷走神経反射対策のお助けグッズ


世界一苦手なこと

以前の記事でもお話した様に、私はありとあらゆる医療行為が苦手だ。

採血、注射、点滴…ましてや生検や手術なんて、考えたり、またネットで調べるだけでも迷走神経反射を起こすほど苦手だ。注射針を刺された痕すら直視できないし、場合によっては医療系の話題でも倒れる。こんな人間は、生きることそのものがとても大変だ。

そんな私が、生検、そして手術を受けた。

生検の結果がんと診断され、手術を免れない状況になり、人生最大の危機を迎えた。病気そのものよりも生検や手術の方に危機感を感じ、何とも言い難い不安に襲われた。

生検を乗り越える為の対策

最初の大きな関門は生検だった。

それに先立ち、造影剤を使った画像診断に備えての血液検査を受けなければならなかった。これまでだったら大騒ぎしていた採血を、ここ数回は小騒ぎ程度で済ませられる様になった自分に、小さな成長を感じた。(ハードルは低めに設定するのがカギ!)

生検の当日は、まずは造影剤を注入して画像を撮り、その後太い針を刺して細胞を採取するという、恐ろしい行為の連続だった。

すんなりと事を済ませる為には、迷走神経反射を起こさないことが必須だった。

対策を考えた結果、この2つを決行することにした:

  • マスクの中に落ち着く香りのエッセンシャルオイルを含ませたティッシュを忍ばせておく

  • 手触りの良い小さなぬいぐるみを持っていく(!!)


お助けグッズ① エッセンシャルオイル

日頃から時々私はエッセンシャルオイルに助けてもらう。

お風呂上がりに体に塗ることも多いし、何かある時には香りの力、植物の力で気持ちを落ち着かせたり、ちょっとした症状を緩和してもらうのだ。

通常病院に行く時は、香害にならない様にエッセンシャルオイルを使わない。でも、生検の時はバッグに忍ばせておいて、いざという時にマスクの下だけで香るようにしようと考えていた。

造影剤を入れる時には、オイルをティッシュに落としてマスクの下に忍ばせた。その上、横になった状態で針を刺してもらい、とても明るい技師さん達が話し続けてくれたので、難なく乗り切れた。

お助けグッズ② ぬいぐるみ

これは持っていくべきか相当迷った。私が子供だったら迷わず持っていくが、私は大の大人…年齢を相当重ねた大人だ。

でも背に腹はかえらぬと思い、手触りが抜群の小さなクマのぬいぐるみをバッグに入れた。必要なければ出さなければ良いし、笑いのネタになるかも、と。

そのぬいぐるみは、場所の移動時にバッグを持ってくれた技師さんに、あっさりと見つかってしまった。

「なにこれ?!クマ??かわいい!!!」

「…あ…えっ、あの…手触りが良くて落ち着くから、万が一に備えて持ってきたんです…ゴニョゴニョ…」

「名前は??」

技師さんが面白がってくれたので、ツカミはOK!頭のおかしな人と思われただろうけれど、そんなことはどうでも良かった。お陰で技師さん達とも打ち解けて、終始みんな笑っていた。

裏ミッションはめでたく達成!!和やかな空気の中、造影剤の注入と画像検査が済んだ。

そして、その日のメインイベント・生検が始まる時には、ぬいぐるみをバッグから出し堂々と手元に置いてしまった。

生検が始まる時に医師から「あなたの仕事は微動だにしないこと」と言われ、少し不自然で苦しい体勢で横になり約1時間耐えなければならなかった。

その間ずっと、片手でぬいぐるみを小さく撫でていた。

そして、ひとりの技師さんが背中をトントンしながら話し続けてくれた。
ぬいぐるみのことを訊いてくれたり、私の生い立ち、彼女ご自身のことなど、「よく頑張ってるよ!」という励ましと共にたくさん話をしてくれた。

技師さんと手触り抜群のぬいぐるみのお陰で、なんとか迷走神経反射を起こさずに耐えていたが、終盤残り10分くらいのところで、迷走神経反射の症状が出始めてしまった。

技師さんにその旨を伝えると、「もうすぐ終わるよ。よくここまで頑張ってるね!」と更なる激励をくれ、他愛もない質問をし続けてくれた。具合が悪く言葉を発するのが難しくなり、私の返答が小声の「yeah...」だけになっても、懸命に声がけを続けてくれた。(英語圏在住の為、会話は英語なのです。)

この時点で面白いことも言えず、ただただ動かないようにしながら酸素を取り込み生検が終わるのを待った。

「終わりましたよ!!!!よく頑張ったね!!」

そう言われた時の安堵たるや…
この日担当してくれた医師と3人の技師さんが、これでもかという程褒めてくれた。

迷走神経反射の症状が和らいだところで、声掛けしてくれた人とは別の技師さんがぬいぐるみを手に取り、
「ちょっと、この子お漏らししちゃったみたいに湿ってるじゃない!!」と爆笑。

私の手汗のせいで、クマのお尻が少しだけ湿っていた。
(帰宅後、家族がクマさんの体を入念に拭いてくれました。)


教訓

結果として最後の最後に軽く迷走神経反射を起こしてしまったものの、約4時間に及んだルート確保→造影剤注入→画像検査→生検を乗り越えることができた。

担当してくれた技師さんたちが優しく朗らかな人たちだったことと、過去の記事で記した「裏ミッション」がうまくいったことで、安心できたのが大きかった様に思う。

最後に具合が悪くなったのは、長時間体に無理のかかる体勢で居続けなければならなかったことが一番の原因だと思っている。なので、今回の対策が失敗だったとは思っていない。

今回は、担当してくれた技師さんたちがそもそも優しく朗らかな人たちだったことと、過去の記事で記した「裏ミッション」がうまくいったことが大きかった様に思う。そして何よりも、他者にどう思われるかや恥ずかしさよりも自分の心の安寧を優先するべし!!

自分の機嫌は自分で取るしかないし、人がどう思うかはコントロールできない。それに、担当技師さん達に頭のおかしな人と思われたところで、私の人生に特に支障はない。

不安を感じる自分を否定せず、コントロール可能なことに注力して、少しずつ成功体験を増やしていく。

私の場合、心理的要因で迷走神経反射を起こしがちなので、今のところ対策としてはこれが効果的だと思われる。

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