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詩:縛

歳をとるごとに 生きる目的ではなく 生へ縛り付ける物が増える そんな気がする そのために生きるのでなく それのせいで生きねばならぬ であれば 死とは開放なのだ 死とは真なる開放なのだ そう、死とは開放からも開放するのである つまり開放された自らを 人は生きては感じえない 生まれたときから縛られて 死んでは縄に意味はない

    • ニートでなぜ悪い 8話

      はじめに  この物語はフィクションであり、実在の人物・組織・団体とは一切関係ありません。  本編  屋内だというのにサングラスをかけた男は俺に微笑みながらこう言った。  「何に成りたいを考えているだけじゃ、何にも成れない。」  「どうやって成るか、そこまで考えなければ、何にも成れないよ。」  シーバスリーガルの水割りをちびちび飲みながらそういう男は、物書きだと自称した。後日、彼は事実有名な文学誌で連載を持つ物書きだとわかったのだが、その時それを知らなかった俺は、ただの酔

      • ニートでなぜ悪い 7話

        はじめに  この物語はフィクションであり、実在の人物・組織・団体とは一切関係ありません。   本編  赤や緑の照明がついたり消えたりしている。そして爆音が鳴りそうな瞬間と同時に、白い照明がバッと点く。音楽は時間芸術だから、こういう演出もできるのだと思った。また、移りゆく照明と同様に、刻一刻と変わっていく状況に対して、鑑賞者がどのように反応するのか?  それをリアルタイムに見ることができるのは、ステージの上に立つ特権だろう。飛び跳ねている者や、静かに飲みながら聴く者、煙草

        • ニートでなぜ悪い 6話

              はじめに  この物語はフィクションであり、実在の人物・組織・団体とは一切関係ありません。 本編  革ジャンのボタンが、外に漏れるコンビニの明かりを反射して、鈍く光っている。  なぜだかその光が、どこか遠くの知らない場所まで連れて行ってくれるような気がして、俺は黙ったまま、それをぼうっと眺めていた。 「柏谷くんは吸う人?」  アメスピの黄色を口に咥えながらそいつは話しかけてきた。  「うん。」  俺は付き合おうと思い、ポケットから赤マルを出して吸い始めた。  「

          ニートでなぜ悪い 5話

          はじめに  この物語はフィクションであり、実在の人物・組織・団体とは一切関係ありません。 本編 頭痛と共に目が覚めて、枕元の時計を見る。  目覚ましをかけるのははいつも6:30だ。  小学生のころも、中学生のころも、大学に入ってもきっかり6:30。  夏のまだ暑くなるかならないかの時間帯、冬の寒さのお陰で湯気のたつお茶がうまい時間帯。  ちなみ今は14:48だ。  寝過ごしたどころの騒ぎではない。学生なら遅刻とかどうでもいいなと諦める時間だ。  窓から差す日差しが、天井

          ニートでなぜ悪い 5話

          ニートでなぜ悪い 4話

          はじめに  この物語はフィクションであり、実在の人物・組織・団体とは一切関係ありません。 本編   「果たして、働くことが社会貢献になるのか?」  3本目のチンタオを1人で空けたとき、木村は目を細めながら俺に言った。  ライターの火が灯る音に続いて俺は返した。  「ゴミ拾いよりはマシなんじゃないか?」  働くということは、有形無形であれ何かしら作るということだし、それが巡り巡って人を幸せにしているとしたらそれは社会貢献だろう。  「俺には社会貢献という概念そのものが資本

          ニートでなぜ悪い 4話

          ニートでなぜ悪い 3話

          はじめに  この物語はフィクションであり、実在の人物・組織・団体とは一切関係ありません。 本編  「働かざるもの食うべからず。」  ぐるぐると頭を2~3周した後に消え、1時間ぐらいするとまたぽっと浮かんでくる、忌々しい言葉。  夕暮れの歓楽街をサンダルで歩きながら、高校からの同級生の顔を探す。大通りを挟んで両脇に洋食や中華の店が並んでいるこの通りは、金曜から日曜の夜まで賑わっている。飲む、打つ、買うぐらいしか楽しみのないこの片田舎におけるオアシスと化しているため、匂いも

          ニートでなぜ悪い 3話

          ニートでなぜ悪い 2話

          はじめに  この物語はフィクションであり、実在の人物・組織・団体とは一切関係ありません。 本編    唐揚げ弁当は一緒に買ってしまうべきだったと、店を後にしてから後悔する。  これから、何度後悔をするのだろう?  昼下がりの風を浴びていた頃には想像もつかなかった考えに身悶えし、過ぎ去った時間を思い起こす。  オレンジジュースに溶けてしまったのだと思うことにして、最後の一吸いを飲んだ。  「おー、柏谷くんじゃん! ……」  「おー、久しぶり〜……」  会話はこれだけだっ

          ニートでなぜ悪い 2話

          ニートでなぜ悪い 1話

          はじめに  この物語はフィクションであり、実在の人物・組織・団体とは一切関係ありません。 本編  夏の風は心地よいのだと、この三年間忘れていた。  耳元を過ぎていくのと同時に、緑色の塊がゆらゆらと揺れる。チアガールの振るボンボンを連想した後に、なぜだか何か巨大な敵に勝ったような気がした。  (敗北を知りたいぜ…)  久しぶりにするにやけ顔は何処かぎこちなかった。その顔を見たのかは知らないが、途端に風は止んだ。  煙草を吸いたいと思った。  ちまちま吸うからいけないのだ、

          ニートでなぜ悪い 1話

          アルバム出しました

           ごきげんよう、じゃすこです。  最近アルバムが出ました。  作詞作曲、全部の楽器をやりました。  一人で11曲録音するの楽しかったです。  暇で暇でしょうがないひとはぜひ聞いていってください。    ↓各種配信サービスへのリンクへ飛びます  現状配信しかしてないですがフィジカルの出版も考えてます。  よろしくね

          アルバム出しました

          焼肉(後編)

           火を制御する能力とは、間違いなく文明の第一歩である。  火を起こしたり消したりすることができる生き物はおそらく人間しかいないだろう。  火を扱う虎やパンダなど聞いたことがない。  眼前で熱されている鉄板もまた、古来より続く文化の結晶であるかと思うと、なぜだか身の引き締まるような思いがする。  その鉄板に、牧畜や漁業など、これまた古来より人間が発展させて来た狩猟採集の成果物としてのお好み焼きが形作られていく。  ゲル状のタネを、できるだけ真円になるようにコテで整えながら、焼き

          焼肉(前編)

          はじめに  本作品はフィクションであり、実在のいかなる人物・組織・団体とも少ししか関わりがないかもしれないですね 本編  俺の目の前で首をくねくねとバブルヘッド人形のように動かしながら、焼肉店のロゴの入った制服を着た男は尋ねた。  「何名様ですか?」  無論、予約などしていない。30分前にはここにいる予定すらなかった。  付け加えるとするなら、店の待合室には革ジャンを着た私以外にだれもおらず、その質問はただマニュアルに則った空気の振動でしかなかったのは明白だ。  「いや、1

          焼肉(前編)

          ありがとうござんした

           いまから自慢します。 ちょうど8ヶ月前から始めたnote、先程合計200スキ達成しました。  ありがとうござんした。今後ともよろしくお願いいたしますので  以上

          ありがとうござんした

          老人と海(ヘミングウェイ)を読んで

          ・はじめに  米国文学。  文字通りアメリカの文学という意味であるが、日本でもその影響は多くみられる。邦ロックの歌詞を読み解くとヘミングウェイにぶち当たることもしばしばあり、やはりロックを作ったりしちゃう人間としては読んどかねばなと思ってブックオフで手に取ったのが表題作、老人と海だった。  あらすじとしては、少年に支えられながら生きている年老いた漁師が昔の栄光を取り戻そうと普段は行かない遠方の海へ繰り出し、無事大物を手に入れるのだが...と、その結末はあえてこの記事の読者の

          老人と海(ヘミングウェイ)を読んで

          目標を見失った僕

           どうも、今回は雑談形式というか思いつくことをぽつぽつと書いていこうかなと思います。  今年ももう2月の半ばということで、なんだか社会人になってから時間の進みが早いなぁと思う次第です。  大学生のころなら今頃冬休みを迎え、ダラダラと夜中に起き上がって夜食でも作って、ギターを弾いていたことでしょう。  うって変って、いまは土日の時間いっぱいまで楽曲の製作を行ったり、noteのネタになりそうなものを探したり、ゲーム製作やエフェクター製作もやりたいなぁと思いながら結局寝てしまったり

          目標を見失った僕

          アンディ・ウォーホル・キョウト・レポート

          ・はじめに  皆さんは"アート"と聞くとどんなものが思い浮かぶでしょうか?  ピカソのゲルニカ? 岡本太郎の太陽の塔? ゴッホのひまわり? 鳥獣戯画や地獄絵図なんて人もいるでしょう。  今回紹介するアンディウォーホルは、60年代を風靡したポップアートの旗手として名高い人物です。  ポップアートって何?と思った方もいるかもしれません。ですが、実は皆さんの身の回りにあるデザイン、これらはポップアートの概念そのものと言えるのです。  今回の記事は京都京セラ美術館で行われている「ア

          アンディ・ウォーホル・キョウト・レポート