映画"ELVIS" を見た!!

・はじめに

 今回初めて映画批評的な記事を書くので関係各所やこの作品を好む、好まない方々への配慮の仕方がわかりません。ネタバレもあります。傷つくのが怖い人はこれ以上先を読まずにまず僕の他の記事に目を通してスキを押していただけると嬉しいです。(関係ない)
 また〇〇中心史観シリーズが好きな方へ、こんなの書かずに次のかけやと思うかたもいるかもしれませんが私生活が忙しいこととそもそも頭の中で全部作ってから文字に起こしているのでそもそもの書き始めに至るまでに時間がかかるタイプなのでご了承ください。
 ネタバレもあります。ポロリはありません。では、感想から語って行きたいと思います。

・感想

 しんどい、ただただしんどい。そんな映画でした。あくまでもこの記事は批評を目的としているので感想はおまけ程度に考えてお読みください。
 なぜしんどかったのかというと、ホットドッグを食べたときにチリソースをおろしたてのズボンにぶちまけたからかもしれません。レイトショー(21:25開演)だったからかもしれません。レイトショーだしエルヴィス身に来る人もいないだろう!貸し切りだー!!と思っていたらまぁまぁ人来てやべーホットドッグ臭くしちゃったよという精神的負担があったのかもしれません。
 でも、そんなんじゃないくらいこの映画は見ててしんどかったです。以下になぜこの映画がしんどいと思ったのか、ある程度理論立てて拙い知識を活用して分析してみます。

・なぜこの映画はしんどいのか(批評部分?です。ネタバレあり。)

 さて、音楽、特に洋楽に通じてる皆さんなら一曲ぐらいは知ってるでしょう、エルヴィスプレスリーの伝記映画です。彼がどのようにして音楽を志し、どのような苦悩を抱き、どんな最後を迎えたのか。きっとQueenの伝記映画、ボヘミアン・ラプソディみたいに青春の喜びと悲しみが詰まった大作なんだろうな、予告とか含めて3時間近くあるし❤

残念、そんな映画ではありません。

この映画は基本的に彼のマネージャーであるトム・パーカー(パーカー大 佐)の視点で物語が進んでいきます。(どんだけマニアックなんだよ!!)これのおかげでかなりプレスリー知識がないとそもそも話についていけません。また基本的にパーカー大佐のモノローグで話が進行していくので、プレスリーに感情移入することもままなりません。むしろ私利私欲のためにプレスリーを利用し続けるパーカー大佐に感情移入する作りになっているのでなかなか見ていてしんどいです。しんどいポイントでいうと5点です。(マックス10点です。)
 加えて50年代のアメリカの価値観や白人黒人対立問題や当時の黒人居住地の暮らしや黒人の宗教観、布教活動、白人の倫理観をある程度知っていないと序盤で詰みます。(日本人で黒人系の布教活動で牧師が歌ってたこととかプランテーションの飲み屋の小屋でブルースが生まれたこと知ってる人なかなかおらんやろ、ネト〇リのロバジョンドキュメンタリー見ててよかったわマジで)ここでしんどいポイントが6点です。(10点を超えたのでオーバーフローしてしんどいポイントは合計1点に戻ります。)
 また作中でプレスリーがいわゆるアメコミのファンであることが名言され、プレスリー自身が音楽によってヒーローになっていく、という見せ方になっているため、映画内の絵作りも漫画っぽくコマわり調で進んでいくんですが、中盤でそれが崩れて普通の映画になります。監督変わったんかな?ってぐらい見せ方が変わります。飽きたんかなってぐらい変わります。しかも同じようなカットが多くて絵に変化が無いのでさらにしんどいです。おそらくこれがこの映画の最大の欠点でありしんどいポイント増幅装置となっていることでしょう。点数はもうつけるのをやめます。オーバーフローしたので。おまけにそのアメコミっぽさ、という作中のセリフと絵作りがつながる感覚がわかりにくい。正直それやるなら主役をパーカー大佐にしたらあかんやろ、って感じです。途中でプレスリーがパーカー大佐の意思を無視した行動をするんですが、それを見たパーカー大佐が泣き出してビビりました。やりたいようにやり切った爽快感を持つエルヴィスと泣いてるハートブレイクパーカーの間で僕はぐちゃぐちゃになりました。
 そもそもこれほんとはもっと長かったんじゃねぇかなって思わせるような節がいくつもあります。未公開シーンに重要な伏線が張られているのにそれを見せずに伏線回収しだすから意味わからん状態になってます。ほんとは6話ぐらいでネットドラマとして配信する予定だったのを切り貼りして映画にしたんじゃねーのワーナー兄弟さんって感じの作りになってます。
 最後に、プレスリーの音楽をテーマにしてる映画なのに現代的なトラップっぽいリミックスがされたプレスリーの曲というかリミックスした音楽が流れてきて意味がわかりません。キャデラックをぶっ飛ばすエルビスを映しながら電子的なビートが流れてきたときには鳥肌が立ちました。意味わからん。画面に映ってる街と人物の恰好が50sなのに2022年の電子音楽のアレンジ流すってどういう神経なんだと思いました。ほんとに詳しくてプレスリー好きな人が作ったんか?それとも関連音楽会社のごり押しで流れたんじゃないかっていうぐらい不自然で、まるでパーカー大佐のように口出しをしてくる音楽会社にやらされました、っていうぐらい当てつけ感というかミスマッチでした。パンに味噌汁を想像してください。
 さて、ここまでひとしきり批評(文句)を付けたので後半戦はよかったところを分析というかもう分析できてんのか知らんけど書いていきます。

・ここがすごいよ”ELVIS”

 まずこの映画のよかった点ですが、プレスリー役のオースティン・バトラーのしゃべり方プレスリーっぽくてよかった。(僕は字幕で見ました。)プレスリーマニアからみるとやりすぎだ!!って思うかもしれませんが、少なくともインタビューなんかを何本か見たことのある僕からすると結構気合入った演技してていい感じです。あとBBキング役のケルヴィン・ハリソン・jrのしゃべり方もBBキングっぽくてすげーって感じで、ゲイリー・クラーク・jr出ててウケたりと、役者はトムハンクスをはじめとしてかなり演技力的に固い布陣でした。
 つぎに良かった点として、楽器が割と時代に即していて、新品のようにきれいだったことです。これ、楽器を日常的に調べているとなんとなくわかると思うんですが50sの楽器で現存しているものは基本的にぼろいです。つまり、わざわざ当時品の状態のいい奴か、復刻したもの(復刻品も球数は少ないことが多い)を扱っているということで、そういう小道具は結構完璧だったと思います。
 これだけだと物足りないので付け加えるとライブのシーンはちゃんと音楽映画でした。エルヴィスの兵役前のライブのシーンやリトルリチャードのシーンはロックンロールだなぁって感じでかっこよかったです(これは批評?感想?)
 そんなところで良かったポイントは3つぐらいでした!いかがでしたでしょうか?(まとめブログ並み感)

・総評

 総評としては、悪いことは言わんからプレスリー知らん奴以外は見るな、って感じでした。音楽もめちゃくちゃ流れるわけじゃないのでプレスリーに詳しい人からするとミュージカルとして満足するのが難しいです。プレスリーのライブシーンもかっこよくはあるんですが最初のプレスリーのライブシーンでパーカー大佐の的外れな見方(プレスリーの足の動きが女にウケてるや!!ってやつ)に付き合わされたり、主にパーカー大佐の暗躍シーンとライブシーンが被りすぎていてプレスリーのライブシーンあんまねぇっていうとこでミュージカルとしても厳しい面があります。
 ほんまにディレクターズカット版というか未公開込みで5時間ぐらいの円盤出してや、買うかどうか微妙やけど、さすがにこの編集はわかりにく過ぎるで、って感じです。

・さいごに

 ここまで読んでくれたみなさん、お疲れさまでした。ありがとうございます。最後にちょっとだけ感想の続きを書くと、面白いか面白くないかでいうと伝記や歴史ものとしてみると面白いけど映画としてはクソおもんなかったです。
 誤解のない様にかみ砕いていうと、ウィキペディアのような歴史的事実がつらつらと載っている資料集を読む評価軸でいえば面白さはほぼ満点だが、映画という物語(エンターテイメント)を見る媒体の評価軸でいうとほぼゼロ点です。
 本当の歴史と司馬遼太郎の小説の面白さの違いみたいなもんで、全体的に事実の羅列が多くて、物語として見ることがしんどい感じです。FSS(ファイブスターストーリー)的な作中内の事実としての設定を読み解く面白さであって、創作物としての面白さは全くないと言い切っていいでしょう。プレスリーについて全く知らない方にとっては新しい物語として新鮮だったかもしれません。
 ただ、今回この作品を鑑賞して気づいたのは映画という古い媒体に対してネット配信という新しい媒体の手法が侵食しつつあるな、ということです。明らかに撮り方が今までの映画とは違うし、展開や見せ方も、音楽伝記映画の前例であるボヘミアンラプソディーやウォークザライン(アメリカのフォークシンガー、ジョニーキャッシュの伝記映画、主演はジョーカーのホアキン・フェニックスで、なかなか面白い映画です。ぜひ見てください。)のような大きいイベントが3つくらいある感じではなく、ネトフリ制作のホルストンやクイーンズ・ギャンビットのように、小さいイベントをいくつも並べている感覚で、それを爆速でこなしていくので感情移入の隙もなく、しんどいつくりになってしまっています。
以上、4000文字近い記事となりましたが、最後に僕からのお願いが2つあります。
この映画を見たらぜひ感想や意見をコメントしていただきたいです。一人でみたのでしんどいポイント100点です。消化不良が過ぎます。しんどい。
あとエルビスが最初のツアー中にセッ〇スするグルーピーを演じてる女優さんの名前知ってる人いたら教えてください。隙っ歯の女の人です。何卒よろしくお願い申し上げます。

おわり
 


 

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