サチコ

自創作小説とエッセイです。

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マガジン

  • 根暗エッセイ

    エッセイのようなものを載せています。精神が不安定な時に書いているものが多いので、文章が読みにくいものもあります。暗いし、ずっと何か言い訳をしています。

最近の記事

株式会社 休日出勤(3)

この度『株式会社休日出勤』で働かせていただくことになりました、サチコと申します。社員数3名、在宅ワーク、出勤日は毎週土曜日、就業時間は午後九時から午前四時頃までらしいです。これ労基案件ですか?副業OKだと聞いたので、平日はそこらへんでエンターキーを力強く叩いています。あたしのほかに、大学生のフリーイラストレーターと、ゲーム会社にお勤めのUIデザイナーがいらっしゃいます。お二人のご指導や助言を参考に、一生懸命頑張ります! え?入社するきっかけですか?長いんですけど、聞いてくだ

    • セーブポイント:春

      あ、お冷いります?頼んでください。あたし店員さんと話すの苦手なので、お願いします。 先輩、はやくもう何もかもがここで終わればいいのにと、灰色がかった思考で脳が埋め尽くされる季節がやってきましたね。春です。そんなこと思うのあたしだけですか?…先輩、もうあたしたち解散しましょう。方向性の違いです。 最近友達に「本当に愛想がない。見ていてこっちがハラハラする」と言われて、マァ結構なショックを受けたんです。友達にもハッキリ言われるレベルってもう終わってるやんけって。終わってるんです

      • 筆を折ったら遺書に書くぞ

        イラストを描くことについて、努力したのかと言えばそうでもなかった。そりゃもちろん今の画力は努力の賜物であるけれど、上手くなりたいと思って熱心に頑張ったかどうかと聞かれたら、そうじゃないな。気付けば描けるようになっていた。幼児がいつのまにか立って歩けるようになると同じじゃないかな。 よくぞここまで長く続けられたものだと自分でも関心するけど、自分は元々そういう性格だと自覚すれば納得できる。一点集中型。ルーティン人間。最初に手を出したのが絵だったというだけで、何か劇的なきっかけがあ

        • これでいいか。

          幼馴染みの女が誕生日だったので、茉莉花とチャミスルとメビウスを買った。あとご飯のお供みたいなやつも。食べるだし醤油だったかな。幼馴染みの誕生日プレゼントは頭を使わなくていいから楽だ。毎年茉莉花をあげたって、彼女はきっと喜ぶ。マァそんなことはしないけど。 これは悪口だけど、あたしは幼馴染みのことをずっと見下している。見下しているというか、軽蔑しているというか。「なんでコイツはこんなに馬鹿なんだろう」と思う。呆れとか諦めとか嫌悪とか、とにかく、マァ、そういう負のぐちゃぐちゃとした

        株式会社 休日出勤(3)

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        • 根暗エッセイ
          19本

        記事

          バイプレイヤーズ1

          【キノシタの場合】 鉄棒とベンチしかない台所の三角コーナーみたいな汚い公園で、少年が男に犯されていた。大の大人がケツ丸出しで、鼻の穴を広げて惨めに腰を振っていた。無造作に生えた汚いすね毛を惜しみなく出して、少年の髪を掴んでベンチに押し付けて犯していた。 少年はまだ声変わりもしていなくて、女の子と背が変わらないくらい幼い。この地域じゃ珍しく、やけに綺麗な紫色のランドセルがベンチの下に落ちていて、足に当たって邪魔だったのか、男がランドセルを蹴った。 だから殺した。 「は……は、

          バイプレイヤーズ1

          エラーですエラーです

          お湯が出るまでシャワーを出す。 顔が濡れないように、シャワーに背を向けて座る。 クレンジングをする。 シャンプーをして、トリートメントをする。 トリートメントを流す前に、手桶にすくったお湯に髪を付けて乳化させる。 乳化させたお湯を髪にかけて、シャワーで洗い流す。 洗顔をする。 身体を洗う。 お湯に浸かる。 ルーティン、ルーティン、ルーティン。例えば洗顔を忘れて身体を洗ってしまうと、今まで上手くできていたことが全て崩れてしまうような焦りがあるのです。調子が崩れる。慣れれば慣れ

          エラーですエラーです

          さらばだ、レディ(前編)

          妹が死んだ。 妹が死んだ。自殺だった。妹が死んだ。 ずっと家に帰らなかった妹は、ただの肉塊になって帰ってきた。帰って来ない間、家族の誰一人として、妹を探そうともしなかった。あたしの方こそ家にはあまり帰らなかったから、ほとんど帰ってきていないなんて知らなかった。いや、帰るたびにいないとは思っていたけど、あんな家、誰が好き好んで居着くんだよと思っていたから、馬鹿な妹もついに避難先を見つけることができたのかもとか、呑気な考えをしていたのだ。 妹のクラスメイトによれば、妹はここ数ヶ

          さらばだ、レディ(前編)

          マジカルバナナ

          「あっ、あっ!」って思ったときには、もうすでに頭がおかしくなっているんですね。自律神経乱れまくり。1年の内の7ヶ月は気が狂っている状態です。専門学生の頃は特に酷くて、バスに乗っているときに、窓から保育園児たちが手を繋いで歩いているのを見ただけで、ジェンガを崩されたような気分になったのです。頭の中が夕立みたいだ。激しい雷雨の中をずっと走ってるみたい。もう20年も自分といれば、なんとなく「あ、頭がおかしくなってきたな。もうすぐ発狂するぞ」とわかるんですよ。分かったところでどうにも

          マジカルバナナ

          だから何が言いてェんだよ、

          自分の具合を心配された時の、あの腹の底がグツグツと熱くなるような感覚は、発狂したくなるような感覚はなんなんだろう。怒りじゃない。恥ずかしいという感覚が一番近い気がするけれど、的確ではない。激情とか言う夕立の中に立っている気分だ。これがインフルエンザとかならよかったんだけど、たかが風邪。たかが生理(生理痛はほとんど痛くないか、息ができず白目を剥くほどの激痛かのロシアンルーレットなので、軽視しているわけではないよ)。そんなことで私は今この瞬間をめちゃくちゃにしてやりたいと思う。

          だから何が言いてェんだよ、

          ふつうのひと

          唐突に子供のようなことをしてみたくなる。急にブランコを勢いよく漕いだり、シャボン玉を吹いてみたり。でも公園で友達とシャボン玉を吹いていると、公園で遊んでいた子供が無邪気にハァハァ言いながら割ろうとするけれど、私たちは見ず知らずの人がシャボン玉を飛ばしていても、人目もはばからずハァハァ言いながら割ろうとは思わない。子供みたいにシャボン玉とかいうしょうもないおもちゃで遊びたくはなるけれど、子供っぽい行動は取らないのだ。でも馬鹿みたいに大きな銃の形の、馬鹿みたいに大量にシャボン玉を

          ふつうのひと

          自業自得

          ハッキリとは覚えていないけど、一時期ずっと心霊動画を見ていた頃があった。当時まだ小学生で、夏休みだった。 それはもう狂ったように見ていた。 共同の和室に閉じこもって毎日毎日毎日毎日何時間も何十本もの心霊映像を見た。ナレーションがいるわけでもなければ司会者もいない、ただただ心霊映像とReplayだけが繰り返し流れるだけの動画だった気がする。そのシリーズはふつうテレビで放送されるようなものではなかった。覚えている限りでは、女性の目に枝が刺さって血を吹き出していたり、狐に取り憑

          自業自得

          そして一緒の墓に入ろう

          死んだら遺骨をダイヤモンドにしてほしい。 それがかなり最近できた漠然とした将来の夢で、実現してもしなくてもどちらでもいいほどの些細な希望です。 ・お金に不自由のない生活を送る ・恋人の嫁になる ・遺骨をダイヤモンドにしてもらう(new!) はい。 八坂のくくり猿(京都の八坂庚申堂の名物お守り)にも、他の人が「みんな健康で暮らせますように」「〇〇のライブに当たりますように」など書いている中で、「死んだら骨をダイヤモンドにしてください」という異質極まりないことを書いて結んでしま

          そして一緒の墓に入ろう

          真顔でパフェを食うな

          決まった女友達とパフェを食べに行く。ケーキやかき氷の時もあるけど、二人のときはなんとなく「パフェ食べよ」と誘う。パフェが好きなのかと言われたら、これが全くそうではない。嫌いでもない。ただ見るからにあからさまに当然のように可愛いから、可愛いものを可愛い〜と言いながら写真を撮り、完食してくれる友達と行くのが好きで、パフェでなければいけない理由はない。ただ盛り上がりも雰囲気も万全な状態にしてくれるから、選ばれたのはパフェでした。 食べることが好きだ。非常に。とても。質の良い食事は

          真顔でパフェを食うな

          春季希死念慮

          春が苦手です。 我々が生きやすい適温な気候だったり、満開の桜だったり、春だなぁと感じるもの全てが不安です。京都は盆地ですから(京都府民なので暑いと京都は盆地だからねーと言うけど、実際盆地がどういう土地である説明できないです。)夏は人を殺すようなほどの暑さで、クッッソ暑いんだよぶち殺すぞくらいの気持ちで過ごせるし、冬は寒いというか痛いので殺して!殺して!という気分になって、脅迫か命乞いで忙しいのですけど。 そういう強烈な感情で過ごせる夏冬に対して、春には穏やかすぎる不穏を感じる

          春季希死念慮

          僻んでいるだけの話

          朝ドラを見ていると、可愛らしくて芯が強くて、当然のように家族仲が良くてたくさん笑う主人公がいる。例えば娘が父親に向かって、「自分たちのことは大丈夫だから、お父さんはお父さんのやりたいことをしてほしい!」みたいなことを言うシーン。ああいうのを見ると「そんなこと言い合える親子なんかおるかいな」とつい思ってしまうが、一緒にテレビを見ていた母に「お前は知らないと思うが、この世にはこういう仲の良い家族は普通に存在します」と言われたときは、思わず笑ってしまった。母のこういう緩やかな自虐が

          僻んでいるだけの話

          Kについて

          頭がおかしいと言えば、私は真っ先にKという友達を思い浮かべる。彼女は中学生の頃から当然のように未成年飲酒や未成年喫煙、援交をしていた馬鹿野郎だ。小学生の頃に喧嘩をしたことがあったが、その時に包丁を向けられたことがある。羽も生えていない雛鳥を踏み殺したり、今年のエイプリルフールでは『彼氏酒瓶で殴った!でもエイプリルフールだから全部嘘になるし本当に良い日だよな!』とか言ってぎゃはぎゃは笑いながら走っている動画が送られてきた。本当に殴ったのかは知らないけれど、Kはそういうことをしで

          Kについて