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記事一覧
さらばだ、レディ(前編)
妹が死んだ。
妹が死んだ。自殺だった。妹が死んだ。
ずっと家に帰らなかった妹は、ただの肉塊になって帰ってきた。帰って来ない間、家族の誰一人として、妹を探そうともしなかった。あたしの方こそ家にはあまり帰らなかったから、ほとんど帰ってきていないなんて知らなかった。いや、帰るたびにいないとは思っていたけど、あんな家、誰が好き好んで居着くんだよと思っていたから、馬鹿な妹もついに避難先を見つけることができ
骨ごとぶった斬る愛で(未完)
※いつか本になるやつです
「おぁ、」
絵がゴミ箱に捨てられている。
普段なら階段下に設置されているゴミ箱の中など気にもしないが、歪に八等分にされたソレは見覚えのあるもので、章臣は思わず蓋を取り外した。文化祭最終日なだけあって、女子が顔に貼っていたデコシールのシートとか、リボンの切れ端とか、あとはお菓子のゴミとか色んなものが捨てられている中で、ソレは一際目立っていた。
あれれ、あれあれ。コレ俺のク
君と君による一つの消滅について
※息抜きで書いた落書きです
「歴史マジで覚えらんない」
頬杖を付きながら、律はオレンジ色のボールペンでコツコツと机を叩く。テスト週間は部活もないため、甲高い女子バレー部の掛け声や、サッカー部ほ顧問の怒号も聞こえず、夕日に染まった学校は静かだった。教室に残っているのは葵と律だけで、他の生徒はさっさと帰ってしまった。
「アンタ前の歴史何点だっけ」
「100点」
「はぁ〜?意味分かんない。マジで70点
死んで骨は光るまい(サンプル)
※全文は文庫本にした『溺れて死んだら魚になりたい』に収録されています。
「明日から来てもらわなくていいから」
目も合わせずにそう言った店長に向かって、立花縁は「はい?」と、自分でも思ったより低い声が出てしまった。制服の黒のエプロンを握りしめて、縁は店長を睨む。店長は縁と目が合わないようにパソコンの文字を見ているフリをした。
「何でですか?」
「なんでって、分かるだろう」
「分かりませんけど」
「
溺れて死んだら魚になりたい
昔、ヨシノという女子生徒がいた。誰が見ても可愛くて、運動が得意で、勉強もできて、ピアノも弾けて、気が強い女。所謂一軍女子で、不良生徒たちとつるんでいたけれど、才色兼備でカリスマ性があった。
清水夏生も年頃の男の子であったので、もちろんヨシノの存在は知っていたし、それなりに会話をした記憶がある。なんたって夏生は顔が良かった。顔が良くてそれなりに喋れる人間ならば、大抵一軍メンバーになれるもんなのだ。
オールナイトXXX【R18】
※百合
※スパンキング有
※♡喘ぎ、濁点喘ぎ
律の朝は遅い。よく食べてエネルギーを補う葵に対して、律はよく眠らなければいけない体質である。仕事によっては丸一日寝ていることもしばしば。対して葵は早寝早起きの規則正しい生活を送っているので、学校に行ける日は爆睡している律を置いて先に登校することが常だ。しかし葵も律も多忙の身である。真面目な葵ちゃんだって仕事も学校もない休日は眠れるだけ眠っていたい。そ
きみの中の百鬼夜行を
「あ。葵先輩!」
HERO本部の食堂にて。兄貴が車で人を轢いて田舎だから迫害されて母親が鬱になって自殺しただとか、有名な配信者のヴィクトリー兄弟が従姉妹を殺して二人で少しずつ食べていたとか、実家のほに(猫)に彼女ができたとか。相も変わらず不謹慎で呑気な話題で溢れかえる食堂で一人で食べていた葵に、最近三ヶ月に及ぶ地獄の育成訓練を終えた柚が声をかけてきた。手には坦々麺が乗った盆を持っている。
「お久し
escape(未完)
※完結していますが修正・加筆中です。
「はァっ……はァっ………!」
相楽は無我夢中で足を動かした。端に停められている自転車が倒れるのを気にしつつ、人にぶつかれば大声で謝りながら、息が上がり苦しくなろうともひたすら走り続けた。なのに理性は妙に残っていて、先程買った食パンを潰さないように大事に抱えている。後ろからバイクのエンジン音が聞こえる。心臓は口から飛び出そうなほど激しく脈打っていた。
逃げな
親愛なるダーウィンへ
「お花屋さん?あぁ、あそこねぇ。ご主人が亡くなっちゃったのよね。マァもうお年だったしね。息子さんが継ぐらしいの」
残念よねぇ。そう言ってカシワギは眉を下げる。なるほど、どうりで閉まっていたわけだ。うさぎ上用饅頭を買った吉岡は「そうなんですね」と柔らかく微笑んでそう返した。はい1620円ね。知人が死んで悲しい顔を浮かべているわりにはしっかり金は取る。商売人の鑑だな。人間に限らず生き物には寿命があるし
恋せよ男子、そして死ね
春村葵の考えていることはよく分からない。
と思うのは伊織だけではなく、この世のほとんどの人間がそうだろう。それこそエスパーじゃなければ葵の考えていることが分かる人間なんていないだろう。葵に限らず、人の考えていることが分からないと嘆くなんておこがましい。とは言え大抵の人間は嬉しかったり楽しければ笑い、悲しければ泣き、ムカついたら怒るもんだ。しかし葵はそういう、人として最低限の感情表現すらほとんどしな
サーカディアンリズム
※嘔吐、流血表現があります
「なにを馬鹿なことを考えてるんですかッ!」
誰もいない真っ白な廊下に吉岡の怒鳴り声が響いた。吉岡から葵の表情は伺えない。俯いているせいで鼻血が靴に垂れ落ちているのに、葵はそれすらどうでもいいらしい。吉岡は葵の手当をしながら大きくため息を吐く。
「いい加減にしてくださいよ。いつまでそうやってるつもりですか」
葵は何も喋らない。こうなったときに一番面倒くさくて頑固なのは葵