分岐点
あたしはなんでもすぐに決められる性格だけれど、やっぱり大きな決断をするにはそこそこ時間がかかったなという体験。
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7年間付き合った恋人と別れることになりました。X上では『ツレ』という愛称で知っていただいている方も多いと思います。別れた理由は3つ。
・普段からのサチコに対する不誠実な態度
・留年が確定
・マルチ商法に引っかかり消費者金融に借金
です。留年や借金の詳細は書けません。
留年と借金については今月の6/1に発覚しました。それから三週間ほどの時間をかけて、今回の決断になったというわけです。
7年の時間を3週間で切り離すというのは、中々性急な話です。他人からすればさっさと見切ればいい、時間の無駄、むしろ何をそこまで躊躇しているのかと思われることでしょうけど。14歳から21歳という、いわゆる青春時代のほとんどを恋人と共にしてきたわけですから、そう簡単に捨てられるものでもありませんでした。
単純に独りになるのが怖かった。今更独りにされるのかと。あたしは確かにまだまだ若いけれど、自分の性格上次があるとは到底思えませんから。それに結婚願望もあったので、あたしの夢が壊されてしまうのが耐えられませんでした。7年が無駄になる。あたしの7年が。同棲を始める期間も二人で決めていたし、入社して以来そのための貯金もしていました。あたしの夢はどうなる？コイツ一人のせいであたしの人生計画が潰れるのか？と。
恋人が家庭環境や性格上、留年や借金のことを誰かに相談しているとも思えませんでした。実際、留年の話は家族の一人にだけしていただけで、借金のことはあたしに初めてカミングアウトしたらしいです。留年は一年以上前から分かっていて、借金は半年前からあったと。あたしは何一つ知りませんでした。何一つ気付くことができませんでした。それよりも毎月返済をしている彼に対して、誕生日プレゼントだのディズニー貯金だのと言っていました。あたしは何も気付くことができませんでした。
留年と借金について、まずあたしは自分の母親に話しました。この時点ではまだ父には言えませんでした。その後恋人には自分の親にも暴露するように指示し、結果を待ちました。相手の家庭の方で、留年で加算されてしまう学費や借金の返済方法についての解決策は出たようです。あたしは何もしませんでした。あたしが負うものではないので、借金や学費の負担など当然しませんが。
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最初は無力感に襲われました。
自分が何一つ悪くないということは理解した上で、｢気付かなかった｣｢そんな状態の相手に負担を強いていた｣｢散々詐欺やマルチ商法には注意しろと言ってきたのに何も効果がなかった｣｢あたしの言葉には何も意味も無かった｣と。ここまで分かりやすいマルチ商法に引っかかった世間知らずな恋人にも、もうどうしてやることもできない自分にも、情けなくて悲しくなりました。最悪の状態になってから言われたって、こちらはもう何もできませんから。
次は喜びに襲われました、
襲われるという表現はおかしな話ですが、本当に嬉しかったのです。狂ったように喜びました。どうしてこんなことになるまで何も気が付かなかったのか、もっとしっかり忠告してあげなかったのかって悲しむあたしの頭の中で、
だから言ったんだよざまァみろってんだ！
ってあたしが叫んでた。
ざまァみろざまァみろざまァみろ！あたしは今まで何か始めるなら必ず事前に人に相談しなさい。アンタは世界が狭いから自分一人で決めてはいけないよって忠告してきたのに、全部無視してきた結果がコレだよ！よくもマァここまでコケにしてくれたもんだ。どんだけ自分に盲目なんだよお前は！どんだけ偉いんだよ！なんの経験もない、この世で起こってることも社会の成り立ちも知らないお花畑野郎が身の丈に合わない夢見てるからこうなったンだろ！と。
あたしは最低なので、できないことはできないとハッキリ言います。自分に関してもそうだし、相手に対しても言う。この人には無理だろうと思ったら必ずあなたには無理だと伝えます。応援などしない。やりたいこととできることは違うと、必ずそう言う。
だから彼の夢を一度も応援しませんでした。この人は何に目覚めたんだろう。何から影響された？何を見た？何を聞いた？誰に唆された？誰が影響を受けやすいこの男に余計なことを言ったんだって、この3年間はずっとイライラしていました。この人が目を輝かせるものすべてに｢余計なことしやがって｣と思っていました。もうずっと彼と一緒にいるのだから、彼が何かに熱中するとどうなるかということくらい簡単に想像できる。そんな彼に自分がこれからどれほど蔑ろにされていくか知っている。
あたしは、この人にはやく失敗してほしかったんだと気付きました。ずっと失敗しろ、挫折しろ、現実に潰されろと思っていました。さっさと辞めろと。消費者金融に借金をしたと聞いたとき、情けないのと怒りと悲しみでいっぱいになったけど、同じくらい｢やっとこの時が来た！｣と喜んでいた。
次は怒りに襲われました。
当然ですが死ぬほど怒り狂いました。あたしがあなたにどれほど愛情を注いできたと思う。どれほど大事にしてきたと思う。そんな相手を散々蔑ろにしておいて、その結果がコレだ。あたしの時間はどうなる？何が報われた？最後の最後まで諦めて潰されるのはあたしなのか？あたしのことが好きならなぜ何一つ改善しなかった？改善しなかった結果が今だ。結果が全てだ。
それでも彼のやりたいことを邪魔するようなことはしませんでした。何か始めるなら手順を間違えないでくれと散々忠告しました。あたしは失敗が嫌いです。計画が狂うのも非常に癪に障ります。でも人間誰しも失敗はする。学生なら尚更多いでしょう。しかし借金や留年と言った大きい失敗は大抵の人がしない。してしまったということは、そういう人間であるということです。
あたしにとっては彼のあたしに対する普段の態度が別れる大きな理由ですが、同棲だのなんだのと夢を見ていた人間がすぐ隣に居たのにも関わらず、留年や借金をしてしまうという裏切り行為を見逃すことはできませんでした。
恋人にとってあたしは誰よりも彼に介入しやすい距離にいた人間だったと思います。彼の親よりも彼の人生を考えていたと自負していました。それでも彼にとってはあたしの言葉はただただ否定的なだけでした。彼にとってあたしはなんだったのでしょう。あたしの忠告も聞かない、あたしが嫌がっていることを辞めない、改善しない、我慢を強いる、家族にもあたしの話をしない。あたしの名前を知っているかも怪しい。あたしは誰だったのでしょうか。7年間一緒にいて、何が残ったのでしょうか。
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父に、恋人と話をしてほしいと頼みました。父の立場上、恋人の失敗についてしっかりと根拠が有って叱ってくれると思ったからです。最後の手段だと思いました。自分の親に対応してもらうなんて本当の本当に最終手段です。でもあたしの言葉が恋人に何一つ響かないということはもう分かってしまったので、お願いしました。これが最期の愛情でした。
別れるという意思は、カミングアウトから一週間ほどで固まりました。あたしが中々決めることができなかったのは、再構築を目指して様子を見るか、そのまますっぱり縁を切ってしまうかです。情がありました。早々に切り離してしまうには、あまりにも長い時間を共にしてきました。この期に及んで、今ここでこの人を一人にしたら誰が今後の彼を見てあげられるんだろうと心配だったのです。人からどう言われようと、あたしにとってはものすごく勇気のいる決断でした。
毎日毎日チャンネルが切り替わるみたいに、頭で考えていることがコロコロと変わっていきました。自分が3人も5人もいるようで、ずっと車酔いをしている感覚でした。吐いて、泣いて、発狂して泣いて、怒り狂って笑って吐いて泣いて、泣いて。1週間は会社もろくに行けませんでした。
父と話して、恋人が改心したらそれこそあたしが居た意味が無いなと気付きました。あたしはこの3年間必死に訴え続けてきました。あなたのあたしに対する態度はふつうではない。別れたくてこんなことをしているのか？あなたといて楽しくない。なぜ他のことは一生懸命頑張るのに、あたしに対しては不誠実極まりないのか。この半年は特に恋人を泣かせるほど責め立てました。それでも彼は何一つ直しませんでした。それなのに父の言葉で治ったら、あたしが馬鹿みたいじゃないですか。そんなことは許せませんでした。
だから長い時間をかけて、縁を切るという決断を下しました。
6/22に父が恋人を外に連れて話をしに行ってくれました。父親として、社会人として。あたしは会いませんでした。6/1が顔を合わせた最後の日でした。アルバムに残っている恋人の写真は3/31が最後でした。二人で毎月貯めていたディズニー貯金も返さないといけない。恋人が忘れていった歯ブラシと靴下も家に送らないと。恋人に貸していた電動自転車も回収しに行かないといけない。もう何も無い。本当に。
終わるとそれほど悲しくなりませんでした。少し前まで過呼吸を起こして発狂して会社にも行けないくらいだったのに、アレだけ喪失感が酷かったのに、もう何とも思わない。感覚がおかしくなっているだけかもしれないけど、全然元気😄って感じ。おい、笑える。
あたしと恋人にとっては、ここが分岐点だったのだと思うようにします。あたしにとってはこれ以上自分から不幸である時間を延ばさないため、恋人にとっては自分が何をどう間違えたのかを気付くための分岐点でした。
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以上です。
大学生の皆さんには、詐欺やマルチ商法、ネズミ講には十分に注意して頂きたいと思います。なんでもかんでも一人で決めるのではなく、周りの意見をよく聞いてください。儲け話なんてほぼほぼ詐欺です。自分だけが知っている情報だとか、自分だけが特別に教えられていることだとか、変な勘違いをしないでください。都合の良い儲け話だというのに他の人がしていないのは、明らかに怪しいからです。自分が大金を払ったり借金をしなければならない状態から始まる儲け話なんぞ、おかしいと馬鹿でも分かるから誰もしないのです。まず疑いなさい。
サークルやプライベート等が充実しているからと言って、大した知識もないのに変なセミナーや儲け話に乗っかって無駄な金を使わないようにしてください。お金は大事にしてください。
皆さん、くれぐれを間違い方を間違えないよう生きてください。
2024.6.23