見出し画像

日本の漆を次世代へつなぐため、皆様のご協力ご支援をお願い致します。


 
日本産の漆器のほとんどは中国からの輸入漆で製作され、文化財の修理も同様です。そのような中、平成27年に文化庁から通知が出され、国宝重要文化財建造物の修理修復には原則国産漆が使用されるようになりました。つい最近のことです。しかし、建造物以外の文化財は依然として中国産漆でもOKとされています。中国産漆だから粗悪というわけではなく、良質な漆が輸入されています。問題は、自国で漆を生産できていないという現状です。国内で使われる漆の約95%が輸入漆なのです。我々は少しでも漆の自給率を高めたいと活動しています。
 
日本の漆の歴史は古く、約12600年前のものと見られるウルシの木が福井県で見つかっています。漆塗りの製品は約9000年前のものが北海道の遺跡から発掘され、これが世界最古の漆製品とされています。中世のヨーロッパにおいて、漆は英語でjapanと言われた時期がありましたが、残念ながら現在は通用しません。しかしそれくらいに世界的なインパクトをもたらした素材なのです。
 
日本では縄文時代の早期から漆を使いこなしていたことが分かっています。それほど、日本の歴史と文化に関わりの深い素材なのです。
 
しかし、現代の我々は「漆=漆器」というイメージが強く、お正月にしか使わない、手入れが面倒といった消極的な感想ばかりが先に出てきます。先人が漆を文化として高めてきたにもかかわらず、日本文化の本流としては捉えられていません。
むろん脇役でも大事にされていればいいのですが、明治以降、国産漆は衰退の一途をたどりました。
 
漆の良さをひとつひとつ上げていきますときりがないので、ここでは国宝や文化財のお話だけにとどめたいと思います。
日本文化を代表する歴史的建築物にはほとんど必ず漆が使われています。京都の金閣、日光東照宮、中尊寺金色堂、皇居、国会議事堂などです。このような建物は数十年後、100年後、1000年後も残さなければならないことは異論がないでしょう。そのためには作られた当時の材料を次世代へ残していかなければなりません。材料がなければいくら優れた技術者がいても始まりません。
 
ウルシは木の樹液ですから、木がある程度太く成長しなければ採取することができません。通常、苗木を植えてから10年〜15年程度経ってはじめて傷をつけて採ることができますが、1本の木からわずか200cc程度しか採れません。そして、そのシーズン中に木は伐採されます。傷をつけることにより漆の木が弱ってしまうためです。これを殺し掻きといい、昔から行われてきた方法です。

日本国内にウルシの木が潤沢にあるかというとそうではありません。むしろ全然足りていません。国産漆の需要が減り、国内ではウルシを植えることもなくなり、全国の漆産地は次々に無くなっていきました。それでも中国産漆に頼ってこれまで日本の漆文化はつながってきたのですが、いよいよ危機的な状況に来ています。

漆掻き職人は年間300本から400本の木に傷をつけ、伐採していきますので、人数から積算すると約1万本が毎年減っていきます。ウルシ原木量は岩手県内だけでもすでに10万本を切っていると予測され、このままでは近い内にウルシ資源が枯渇してしまいます。

そのようなことから我々はウルシの植樹活動を行っています。岩手県内を中心に東北各地でも有志の方々と一緒に苗木を育て植えています。また、ウルシの新たな採取法の研究も行っており、早く育てて効率よく漆を採取する仕組みを確立させたいと考えています。木を植えることはCO2の削減になりますし、環境保全、文化の継承にも繋がります。

漆は農業や林業のように業界団体がなく、補助制度もほとんどありませんので、ボランティアの手弁当でこのようなウルシ苗木の栽培や植栽、シカなどの獣害対策を行っております。

残念ながら、すぐに成果が現れない事業ですので、なかなか行政や民間の支援や資本が入りにくく、必然的に小規模な事業となってしまいますが、手をこまねいていてはどんんどんウルシ資源がなくなっていくばかりです。

ウルシを後世に残す活動にご賛同いただき、ぜひ有形無形のご支援をお願いしたく存じます。支援の形には、漆製品の購入、情報の拡散、ボランティアでのウルシ植栽、耕作放棄地の提供、金銭的な援助など様々ございます。
 
我々の活動にご関心、ご興味のある方は、株式会社浄法寺漆産業の松沢までお気軽にご連絡ください。

メールアドレス info@japanjoboji.com 電話019-656-7829

国産漆を育て後世に継承するための活動を行っています。ご支援をよろしくお願い致します。