【対談】映画監督と経営者が語る、長崎のみらい。(後編)
映画、テレビドラマなどで次々と話題作を発表している長崎県出身の映画監督、横尾初喜さん。
横尾監督が新たに手がける映画『縄文人がやってくる!(仮)』が2023年に公開されます。2019年公開の映画『こはく』に続き、本作も長崎を舞台としています。
「もっと長崎を盛り上げたい」横尾監督の強い思いから、本作は舞台だけではなく、主演・助演キャストなどもオール長崎で制作。今回、当社は監督の想いに共感し、協賛させていただくことになりました。
映画の協賛をきっかけに、当社の小林社長と横尾監督の対談が実現!
今回は、対談の後編です。まずはこんなお話しから。
(担当・編集:社長室 木下)
前編はこちらから↓↓↓
1.長崎が、好きなんです
小林:
映画づくりって、けっこう分業制ですよね。
横尾:
はい。かなり細かく仕事が縦割りになってまして。衣装部があって、美術部もあって…。その中でも装飾品をデザインする人と、飾る人が別だったりします。
あと持道具という衣装とは別の仕事もあって、本当にどんだけ分けてんだろうと思いますよね(笑)。
小林:
想像以上に分業ですね。
横尾:
最近ちょっと少なくなりましたけど、スクリプターという仕事もあります。日本語だと、「記録さん」と呼ばれてますが。監督の隣に座って、ひたすらメモしてるんですよ。
例えば、“お茶を飲むシーン”があるとするじゃないですか。そのとき「俳優が左手でお茶を飲んだ」とメモするわけです。しかもどれくらいの量を飲んだかも、記録します。
小林:
ほう。
横尾:
同じシーンで何カットも撮るので、飲んだ分を正確につぎ足さないといけないんです。
要は編集してつなぐときに、カットごとのお茶の量や、飲む手が左右変わっていると使えなくなってしまうので、それを事前にチェックする仕事なんです。
小林:
ああ、なるほどー。できあがったもの(映画)だけしか見ないから、そういうの聞くとおもしろいですね。
横尾:
そういう人たちが携わって映画ができていると考えると、おもしろいと思います。
小林:
そうですね。今回、なぜ映画制作を「オール長崎」でやろうと思ったんですか。
横尾:
やっぱり長崎が……。
好きなんですよ。
小林:
おお(笑)。
横尾:
本当に理由は、そこなんですよ。
あと、東京でしかできないということは、ないと思ってます。映画を撮ったことがないスタッフの方も一回経験すれば、どういうものかがわかりますし。
これを蓄積していけば、ぼく以外の監督と組んで撮ることも可能ですよね。
2.「町の今」を記録する
小林:
長崎って「宝石のような原石がいっぱいあるのに、使われていない」と感じていて。
いっぱい魅力があるのに、あんまり実力を発揮できていないと、外に出てはじめて気がつきました。
横尾:
長崎で映画を撮っていて気づいたのは、同じ県内でも各エリアでまったく違う顔をしているなと。長崎市も島原も、平戸もそれぞれ違う顔をしていて、それぞれに魅力があります。
映画を通して、その魅力を伝えていけたらと思います。映画って一生残るし、「その町の今」を切り取っていく作業にもなりますし。
小林:
ああ。そういう意味でも映画っていいですね。ある意味、記録しているわけですから。
横尾:
映画って…いいんですよ(笑)。
『こはく』で撮った長崎市の街並みも、これから10年、20年経てば、変わっていくじゃないですか。いまの風景を切り取ることで、自分が死んだ後でも、それがずっと残っていくと思うんです。
でもやっぱり、演者さんはズルいですよ。うちの妻(遠藤久美子さん)はずるいなと思います(笑)。
だって映画があることで、ひ孫も、また次の世代も知れるわけじゃないですか。(妻のことを)
生きた証を残せるので、すごくうらやましいです。
小林:
ああ、たしかに。
横尾:
『こはく』に出演いただいた、木内みどりさんがお亡くなりになられて、すごくショックだったんですけど、その後『こはく』観たときに、「ああ、フィルムの中では生きてるな」と本当に思いました。
3.映画監督と社長、それぞれができること
小林:
長崎は、いま人口流出が問題となっています。特に若い世代が減っているようです。
横尾:
たしかに町を歩いていても「若者はどこにいるんだろう?」って思います。小林社長も「魅力はあるけど伝えきれていない」とおっしゃった通り、ブランディング次第で、魅力は伝えられると思っています。
とはいえ、簡単にできるものではないので、そこは個人的に模索しています。
小林:
長崎で会社をやっている立場からすると、地場の会社がちゃんと魅力をアピールできていないなと感じますね。みんな魅力的な仕事がないと思って外に出ているはずなので。
だからこそ、魅力的な仕事を我々がつくっていかないといけません。
横尾:
ええ、そうですね。
小林:
うちの会社も結構Uターン、Iターン人材はきてます。いったん外へ出たけど、また戻りたい、となったときに、仕事がないと戻ってこれないので。そういう仕事の場を用意しておきたいなと。
長崎にいま一番必要なものは何でしょうか?
横尾:
ぼくが言うのもおこがましいんですが。
やっぱり「人」だと思ってます。
ぼくらでいうと、映像をつくって発信する人。長崎にはまだ人材がいないと思います。結局、映像をつくりたいと思っても「誰に頼んでいいかわからない」となるんです。
動画制作って、ぶっちゃけ技術的にはそれほど難しくはないんです。最近のソフトウェアは優秀で、だれでも分かりやすく、視覚的につくれる。足りないのは、その前の構成のつくり方や、考え方の部分だけです。
さっきも言いましたけど、興味がある学生さんはたくさんいるので、今後いくつかの大学と組んで一緒に動画をつくることも考えています。
小林:
へぇー。それは楽しみですね。
横尾:
例えば、ベネックスさんのような県内企業のブランデッドムービーをつくることを、コンペ形式で学生さんと一緒にやっていくとか。そうすると学生さんも県内の企業を知ることもできます。
単に教えるだけではなくて、コンペとか出口があれば、学生さんもがんばれますから。
小林:
たしかに「人」という意味では、東京だと「この仕事だったら、あの人できるな」って人がいっぱいいるんですけど、長崎はそんなにまだいないです。
結局、新しいことをやろうとすると長崎でやるより、東京でやった方が成功する確率が高いってなっちゃうんです。
横尾:
うん、うん。
小林:
それがもったいないなと思います。なので、長崎にも優秀な人がたくさん集まって、新しい取り組みができるような場をつくりたいですね。
県内のいろんな企業で、そういう動きが広がってくると、また盛り上がってくると思います。できることは一企業でしかないですが、地道にやっていきたいなと。
4.撮影再開に向けて
小林:
コロナで撮影が一旦、中断しているんですよね。
横尾:
そうです。ぼくは超絶ポジティブ人間なので、今回の中断も「何かのお示し」だと思っていて(笑)。一ヶ月くらい空いたんですけど、この間にたくさん宣伝ができるなと思っています。
とりあえず前半は撮り終わりまして、長崎の若者のパワーを存分に感じていて、想像以上にいいものができあがってきてます。後半戦も、前半を超える勢いで撮っていければなと。
小林:
映画の完成、楽しみにしてます。本日はありがとうございました。
横尾:
ありがとうございました。
(なんと、ここで横尾監督の奥様、遠藤久美子さん登場!)
エンクミさん、登場
遠藤:
今回わたしも大村の人の役で出演するんですけど、言葉(方言)が…言葉がどうしても難しくて。
小林:
ああ、そうですよね。
遠藤:
実際にいま、長崎に住んで勉強しているんです。作品を見ている方って、方言が違うと引っかかって、作品に入れなくなっちゃうじゃないですか。
小林:
たしかに。
遠藤:
主人(横尾監督)は佐世保出身なので、佐世保の言葉はよく聞くんですけど、大村とは微妙に違いますよね…。しかも今回、音声テープもないので大変なんです。それでいま大村の人を探してて…。
小林:
あ、大村の人ここにいます。(社長室の手島さんを見る)
遠藤:
え、本当ですか!台本持ってきたんです!ここのセリフを大村の言葉で読んでもらえませんか?
ということで急遽、社長室 手島による「大村弁講座」が始まりました。
お読みいただきありがとうございました。
横尾監督の新作「縄文人がやってくる!(仮)」は、9月7日より撮影が再開されます。公開撮影も予定されていますので、ぜひ映画の撮影現場を見学してみてはいかがでしょうか。以下のSNSを随時チェックしてみてください!
オール長崎の映画「縄文人がやってくる!(仮)」は、来年夏ごろ公開予定です。
前編を見逃した方は、こちら↓↓
https://note.com/japan_benex/n/nb1cd11501fd2
日本ベネックス コーポレートサイト↓↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?