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江楠くれこ
2023年7月2日 07:14
そこにカフェがあることに気付いたのはつい先週の事だ。これまでにも何度か来たことがある場所のはずなのに、今の今までその小ぢんまりとした家屋がカフェであることに気付かなかった。小窓から店の中を覗くと、壁面を覆うように書棚が並んでおり、壁には古びたレコードや写真がセンス良く飾られている。いわゆる隠れ家的な店と言ったところだろうか。趣のある木の扉を押し開け足を踏み入れると、常連客と思しき客がマスターと
2023年7月13日 06:35
※土佐弁に詳しい方にご監修いただけると助かります。「ここがおかしいよ」というのがあったらぜひコメント欄にお書き下さい。節子一「橘 節子です。今日からどうぞよろしくお願いします。」そう言って節子はぺこりと頭を下げた。節子の両親は先の空襲で命を落とした。一人遺された節子は、田舎に住む親類の家に身を寄せる事になった。M村の太夫を務める小松和夫は節子の母方の伯父に当たる。その和夫の家に今
2023年7月14日 13:45
四日目一怜は昨夜の金縛り中に見た夢の中でタケシタが持っていた壷の事を考えていた。恐らくあの女や呪詛に関係するものだと思うけれど……。また裕太に確認してみなくてはならない。十時過ぎにホテルからそう遠くない場所にある神社の脇の広場で裕太と落ち合った。側の売店でソフトクリームを買ってベンチに腰を下ろす。「ゆうべちょっと気になる夢を見たのですが、裕太さんは、白くてこれくらいの大きさの…