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退職エントリ 泣きながら新幹線でメールを書いた日


某外資系ITベンダーの退職の日について書きます。


お別れの時

あの日、私は関西で開催されるカンファレンス(仕事とは関係無い、プライベート参加)に向かう新幹線の車中だった。私はその日付けで会社を退職する事が決まっており、16時頃には全てのITシステムから遮断される予定だった。

あまり、というか全く余裕が無い退職スケジュールだった為、この日も午前中にお客様と会議が入っており、それを終えてからの移動だった。

弁当を買って何とか新幹線に滑り込み、私は最後の仕事に取り掛かった。パートナー企業様(販売代理店)への感謝のメールの送付である。

既に打ち合わせによる挨拶は済んでおり、事務的/技術的な引き継ぎは完了していたが、最後にどうしても自分の言葉で皆様に感謝を伝えたかった。言わば、感情的な引き継ぎである。

一応背景を説明すると、外資ITベンダーの場合、日本国内での販売網を持っていない為、パートナー企業様との関係構築が非常に重要となる。マイクロソフトやオラクル位の規模にもなれば、全国に支店を作れるが、まだ10人ちょっとの弱小ベンダーにそんな体力は無く、パートナー企業様と良い関係を築き、販売活動を促進して頂くことが成功の一つのポイントである。

私は入社当時からパートナー企業様へのトレーニングやら営業活動同行やらに関わっていたが、特に最後の半年はパートナーSEとしての肩書も持ち、ガッツリとパートナー企業様との関係構築活動を行っていた。

後悔と感謝

今回は諸事情によりパートナー企業の皆様に対してかなり迷惑をかける形での退職となってしまった。会社が決めた決定に対して、抗う事は出来ず、ひたすら謝り続けた。また、できる限りの引き継ぎ資料を作成した。

そんなパートナー企業の皆様に対して、最後に改めてもう一度感謝の言葉を述べたいと思い、メールを書くことにした。

「退職 メール 例文」などで検索してみると、当たり障りの無いテンプレしか出てこなかった。テンプレなので当たり前か。
でも、私がやりたいのは、感謝の気持ちを伝えることである。もしかしたらメールのルールやマナーから逸脱するかもしれないが、私は自分の言葉で感謝のメールを書くことにした。

それらのメールは私の手元に残っていないが、以下のような内容を書いたと思う。

・大変だったプロジェクトのエピソード
・印象に残っているプロジェクト
・楽しかった飲み会の思い出
・ご迷惑をおかけしたプロジェクトに対する謝罪

本当に辛いプロジェクトも有ったが、「今とはなっては良い思い出」である。様々なプロジェクトが走馬灯のように駆け巡って行った。

感謝の気持ちを伝えつつも、脳裏に浮かんだのは、「もっと頑張れば良かった・・・」という後悔である。

もちろん、その時その時で、私は全力で職務に当たって居た。これは間違いなく断言できる。でも、なんというか、日常的な些細なルーティンワークをもっとしっかりやれば良かった、という事が頭に浮かんできた。

例えば、
「もっと早くメールを返していれば良かった」
「もっと良い資料を作っていれば良かった」
「もっと良い会議のファシリテーションが出来れば良かった」

などの細かい事だ。これらの事を一個一個積み重ねて居れば、違うエンディングも有ったかもしれないと思うと、自然と涙が溢れてきた。

もっとやれたのになー。

あのプロジェクトは本当に申し訳なかったなー。

別のプロジェクトは、パートナー企業様のお陰で成功したなー。

あー。もっとやれたのになー。後悔ばかりが頭に浮かんできた。

一方で、

・至らぬ自分についてきてくれたパートナー企業には感謝しかないなー。
・パートナー企業様のお陰で成功したプロジェクトも多く有ったなー。
・トレーナーとしての自分を褒めてくれて嬉しかったなー。
・何度も飲み会が出来て楽しかったなー。

などなど、楽しいこと、嬉しかった事、感謝したい事も色々有ることに気がついた。そしてまた自然に涙が溢れてきた。良い出会いが出来て本当に良かった。

あと30年「しか」働けません

働ける時間は有限である。
筋肉体操の谷本 道哉先生は「あと5秒しか(このトレーニングは)出来ません」と言っていたが、仕事も同様であると感じている。

「あと30年しか働けません」

僕は今30代なので、フルタイムで働けるのは後30年くらいだろう。
そう仮定した場合、あと30年「しか」働けない。
30年「しか」働けないとなると、お客様、同僚、その他諸々のいろんな人とのご縁が奇跡のように思えてくる。この期間の中で会える人は限られるからだ。

人生で会えない人が何十億人も居る中で、出会って、一緒に仕事をする事は本当に有り難いと、改めて感じた。

※Amazonのアソシエイトとして、投稿者は適格販売により収入を得ています。

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