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終身雇用と年功序列とPTの世界

今回の記事では、大企業では終身雇用・年功序列が終わると言われているがそれは私たちPTには関係あるのかどうか、リハビリ業界のことも踏まえながら自分の考えをまとめてみたいと思います。

終身雇用の特徴

終身雇用制度といえば、1人の労働者を雇う際にまず前提として終身にわたって雇用を継続するつもりで雇い、基本的には毎年昇給し、様々な社内部署での業務や同期の間でのポジション争い等を経て役職へと昇進する人もいれば出来ない人もいて、それでもみんな定年を迎えた際にはある程度の退職金をもらって辞めていくという、そんなイメージかなと思います。
つまり、会社に属している限りは仕事を与えられ、労働時間が過ぎればその成果には関わらず給与をもらい、それが年々積み重なるにつれて徐々にでも増えていくという環境にあり、社員定着率の向上とか社員育成がしやすいとかがメリットとして挙げられると思います。

高度経済成長期のような40~60歳代よりも10~30歳代の方が多い時代であれば、安い給料で若者をたくさん雇用したうえで会社の業績を大きく伸ばし、得た利益を年功序列で年長者に配ることで若者に夢を見せるという形が生まれ、若者としては(今は給料は少ないけれど)この会社で勤め上げていずれは(社内で)出世するんだ、というような画が描けていたのかなと思われます。

終身雇用や年功序列=悪ということではなく、これはこれで会社にとってはとても理にかなった制度だったのではないかとも思います。まずは若者を雇用する(確保する)ためにコストをかける。どんな仕事をしてもらうかは、大量に雇用した後で考える。配属された部署が合わなければ部署移動をして、部署移動をしてから新たな職場でその業務を覚える。こんな中で優秀な人が現れれば会社の業績は急激に伸びることもある。そんな金の卵を探すかのようにして、当時は会社にとっても労働者にとっても都合の良い年功序列・終身雇用制度が増えたのではないかと思います。

終身雇用からの変化の兆し

時代は変わり、日本の賃金は30年以上も変わらないという状況が続き、蓋を開ければ日本には成長産業が無い(少ない?)ことが分かり、どの産業もなかなか未来が明るくない中で、終身雇用制度が維持できなくなるというニュースなどを見るようになります。
具体的には、会社の中で早期退職者を募るとか、転職しましょうとか言い出したり、あの有名企業が初任給を数10%上げるとか。
終身雇用が終わるかどうかはさておき、確実に言えることは年功序列で給料が上がっていく、ということではなくて、給料を上げないと良い人材(若者も含め)は雇用できないようになってきている、ということだと思います。会社側には成果の出せない労働者にまで十分な給料を支払う余裕が無くなった、とも捉えることが出来ます。先の話を織り交ぜると、とりあえず若者を大量に雇用した「後」で金の卵を見つけるのではなくて、雇用する「前」に金の卵かどうかを見極めてから雇用契約を交わす、という風になってきたのではないでしょうか?やはり会社側にとって最もコストの高い項目は人件費であり、雇用してから教育する、という余裕も少なくなっていると思われます。

リハビリ職が働く現場(都市部と地方)

リハビリ職といってもPT、OT、STなどがいるため、ここではPT(理学療法士)に絞って書いていきたいと思います。

PTは国家資格の一種であり、資格を取る前後で様々な教育を受けます。卒前教育は決められたカリキュラムをこなし、実習を含めた単位を取得すれば卒業し、国家試験を受けることが出来ます。一方で卒後(資格取得後)教育は、基本的に「自ら能動的に学んでいくこと」が求められます。

私自身は都市部と地方の両方で働き、色んなPTを見てきた経験からすれば、この都市部と地方の差の中でとても大きい部分があります。
その1つが、都市部の若いPTほど稼ぐための色々な可能性を探るために行動を起こしている、ということ。
若いPT=20歳代~30歳代前半をイメージして書いていますが、私が都市部で働いていた10年ほど前には本業以外で副業や兼業をしていたPTがたくさんいました。当時で言えば、訪問リハビリのバイトとか、色んな場所に講師として呼ばれるとか。
若いうちから色々な経験をしておけとはよく言いますが、本当にバイタリティに溢れんばかりにたくさん行動して、おそらく見えないところでたくさんの失敗もしていたはずです。私もいくつかは失敗した経験がありますが、そういった失敗というものは、のちに活きる場面が出てくることになって失敗という認識が必要な経験だったという認識に変わります。

これは本当によく実感できる部分で、
PTという資格取得後にいかに自ら能動的に学んでいくか?ということにおいて明確な差がありました。
10年経った今ではSNSも広がり今よりも稼ぐための行動を起こしやすくなっていて、そのちょっとした意識の差で、行動としてはとてつもない差になっているのではないかと思います。
#そんな中で副業禁止とか
#ありえない職場
#可能性を潰すだけ

自ら週40時間労働をキッチリと守る若者(残業ゼロであとはプライベート100%)もいますが、20歳代で週40時間働くのと60歳代で週40時間働くのでは、その疲労度はとんでもない差があるように思います。稼ぎ口を探し試すことは若いうちにやっておけ、とは本当にそう思います。
#やりたいことは老後では遅い
#年齢を重ねるとしんどい

完全に終身雇用や年功序列が無くなった後で慌てて行動できるようになるでしょうか?終身雇用制度が崩壊しもし今勤めている職場を辞めることになったら?
国家資格を取ったから安泰、という時代は完全に錯覚だと思います。それくらいPTになる人は増えていて、高齢者が増えるということ以上に有資格者が多すぎるということに目を向ける必要があるかと思います。しかも終身雇用・年功序列制度を無くすという日本全体のトレンド、それに乗っかる可能性がある医療・介護経営者たち。
1つの職場しか経験していない中年PTと、まっさらだがやる気に溢れた新人PTがいた場合、私的には断然後者と一緒に仕事がしたいと思います。

答えは出ないが、よく考えて欲しい

1.今のPT学生の就職活動は厳しいのでしょうか?
少なくても私がPT学生のときに就活した頃(15年以上前)は、求人募集が山のようにありましたし、また介護施設系のPT求人は初任給から30万円を超えることがほとんどでした。それくらい施設で働きたいと思うPTが少なかったからだと思いますが、今ではなかなかそんな職場は無いですよね?

2.PTという国家資格を持った上で就職し、その後に給料が上がる額はいくらくらいなのでしょうか?
ほぼ一律同じ診療報酬・介護報酬であるにも関わらず、都市部と比べて地方で給料が低いのは何が原因なのでしょうか?年功序列が根強いのは都市部か地方か?
都市部の若いPTはたくさん行動しているはずです。よく考えましょう。

3.終身雇用・年功序列で年長者が多い職場であれば、その年長者が辞めるまでは給料はほぼ上がらないのは確実ではないですか?自分が経営者だったら、年長者以外の職員の給料は上げたくても「上げられない」のが現実です。よく考えましょう。

4.PTは国家資格だし高齢者が増える時代に仕事が無くなることはないから安泰です、というのは本当でしょうか?よく考えましょう。

5.なんでもそうですが、資格を取ったから安心(ゴール達成)ではなく、資格を取ってから何を為すか?が大事です。こんなことはずいぶん昔から言われている事です。よく考えましょう。

終身雇用が終わるかも?とか、給料が上がらないとか、PTは供給過多だとか、
色んなネガティブニュースが飛び込んできて頭に残りやすいですが、悲観的になるのではなくてそこから考えて行動して欲しいと思います。
意外と、そういうネガティブニュースから生まれた理不尽さとか苛立ちみたいな負の感情をエネルギーに変えて成功している人はとても多いです。
私自身も今回の記事を書いてみたことで、PTのキャリアアップについて、次回以降になりますがちょっと整理してまとめてみたいと思いました。