見出し画像

甘い果実ep.7

ぬぉーーーー!
 
頭が割れる!血管が破裂するんじゃないか?ってくらいズキズキと痛い…私…どうなってる?へ?誰かに抱きしめられてる?なに?
 
ん?ん?ん?
 
私が動いたことで、抱きしめている腕が緩んで…顔が見えた
 
「うそ?」

あっっ頭が…割れる…
 
「起きた?」
 
「早崎くんが何で?ここどこ?」

コメカミを抑えて、ソッと聞いた。
 
「俺んち」
 
「え!」

うぉっっ頭が…
 
「飲み過ぎな!笑」
 
「うん…ご両親は?」
 
「俺、一人暮らし。親は小さい頃事故で死んだ」
 
「そーなんだ…ごめん」

つーーー痛い!
 
「何で謝んだよ?」
 
「いや…言いたくなかったかな?と思って」
 
「慣れてるよ」
 
「私…なんでココに?」
 
「昨日飲んだくれて…家まで送りたかったけど、家の住所わかんないから…とりあえず俺んちに連れてきた」
 
「そうなんだ…ごめん…何か…その…」
 
「なんもねーよ笑。酔っ払った女抱く気ないから」
 
「そっか…うっっ気持ち悪い…」
 
「トイレ行く?」
 
「うん…」
 
急いでトイレに入り…思いっ切り出した…
 
「入るよ?大丈夫?はい、水」
 
「ありがと…気分最悪…」
 
「子供どうすんの?」
 
「え?」
 
「昨日、泣きながら…最低だって」
 
「そっか…全然記憶にない…」
 
「産むなら俺が父親になってやるよ」
 
「なに言ってんの?そんな事…。堕ろすから…」
 
「不倫相手には?」
 
「私…そこまで言ったの?最低な人間でしょ?」
 
「不倫相手がね…。自分より若い女の体と心を弄んで…挙句に避妊もしない。男として最低だよ。俺の女になれよ…そんな想いさせないから」
 
「……………」

ブーンブーンブーン

遠くから携帯のバイブ音が聞こえる。

「出ないの?」
 
「大丈夫…」
 
彼は私の携帯を取りにリビングへ戻った…
 
「出ろよ不倫相手だろ?」
 
「出たくない」
 
「俺が出るよ」
 
「ダメ!」
 
「ちゃんと言えよ!そいつに責任取らせろよ!」
 
「そんなの…早崎くんには関係ない。携帯貸して…」
 
先生からの会おうという誘いだった…私はOKした。
 
「会うの?話すの?」
 
「…………放っておいて」
 
「行かせない」
 
私を抱きしめる彼の力が強くて…彼の真っ直ぐな想いが強くて…苦しくなった。

「あなたには関係ない…。これは私の問題だから…離して」
 
「俺、何でもするから…俺のとこに来いよ」
 
「…………離して。子供に興味はない…」
 
腕の力が緩んだ…
 
「昨日は…ありがと…」
 
私は、彼が差し出してくれた手を振りほどいてしまった。彼を傷つけた。部屋を出て…彼の温もりを抱きしめ…泣きながら歩いた。
 
つづく

この記事が参加している募集

#私の作品紹介

97,242件

#眠れない夜に

69,794件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?