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税は「コスト」? 【 ソフトバンク:税金の話題 】


税理士や弁護士などはSBGについて「税をコストとして考える日本企業としては非常に珍しい会社だ」と評する。(記事より)
森信茂樹・東京財団政策研究所研究主幹 現行法の枠組みでは、租税回避が疑われるグレーな取引を国税当局が否認するのは容易ではない。日本には、そうした取引に対応する法律規定がないからだ。他の主要先進国は節税効果を否認する一般的否認規定(GAAR)を導入している。
 日本の現行法で「経済合理性がない節税のためだけの取引」として課税できるのは、組織再編の取引や同族会社間の取引に限られる。ビジネスの国際化が進むなか、租税回避的な取引の増加が予想され、GAARの整備に向けた議論も求められる。(記事より)

ソフトバンクグループが、会計上は1兆円を超す連結純利益を上げたのに対し、日本での税務申告は赤字で法人税を納めていなかったという記事。

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今回のスキーム等も今後、詳細が明らかになると思いますが、この記事で思う事。

「正義」とは何か? 

(あ、マサヨシではなく「セイギ」です。・・この記事に対しては、紛らわしいですね 汗。)

記事の引用した部分のように、日本よりも海外では税を「コスト」と捉える租税戦略が見受けられます。

私は「租税回避という行為が一税理士として許せない」という考えです。

租税は「公平」であるべき!それこそが租税正義だ、と。

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ただ、以前、とある中学校に「租税教室」に行ったときのこと。

租税教室のテーマの1つに「グローバルな租税回避問題」を加えたいと思い、事前に担当の教師と打ち合わせをしました。この先生は、同世代で子供も同い年ということで、お互い親近感がわき、結構長々と話をさせてもらいました。すると、先生がこう言います。

「あの、1ついいですか?節税する人たちも不公平ではないでしょうか?私にとっては、節税も租税回避も、特定の人が得しているので変わらない行為だと思います。」

・・・。

私の中で、「節税」は国が認めている優遇措置を利用した結果のものや、経済合理性のある中での選択。お客様にも提案していますし、その行為が私の中での正義に反していない、と思って仕事をしています。(優遇措置でも、「その優遇はおかしい!」と不公平を感じるものもありますが。)

でも、公平・不公平の軸、それこそ正義か悪かの境界線は人それぞれ。

この社会科の先生からしたら、私の仕事内容も「税をコスト」と捉えていると見えているかもしれません。・・そんなことを再認識させられました。

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そもそも節税と租税回避の明確な境界線を引くことは大変困難です。「優遇措置の利用=節税」までなら分かりやすいですが、経済的合理性があれば「節税」の範囲、経済的合理性がなければ「租税回避」というゾーンに関しては、どのように「判定」できるか?

記事にある「一般的否認規定(GAAR)」の提案。これは、法律違反ではなくても、明らかに租税回避だと考えられる行為は否認できるようにしようというもの。私もこういった規定が設けられることは理想だと思うのですが、結局、「この行為は租税回避だ!」と、どう「判定」するのか。

違和感、なのか。

「…一般的な法感情の観点からは少なからざる違和感も生じないではないけれど、やむを得ない」 (とある租税回避裁判の最高裁判決より:最二小判平成23年2月18日 ※ 本件とは無関係の事案です)

客観的な立証が難しい。そう思います。

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ソフトバンクグループ(関連企業含む)の方針(軸)、これもまたブレていないな、と思います。

19日にあったSBGの株主総会で、孫正義会長兼社長は株主の質問に答えて「世界の投資家は世界のルールのなかで色々な節税を合法的にやっている。合法的な範囲のなかである程度節税を図っていく」と話した。(記事より)

今回の件だけでなく、以前も同じように国税局とやりあっています。

税を「コスト」と考えたうえで、いかに節減していくか。少なくとも脱税をしているわけではなく、それが世界で戦うために必要な「戦略」という認識なのでしょう。

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私は、節税コンサルタントではありません。企業の税務・経営パートナーです。

租税はコストではない。経済的合理性ある行動をとったうえで、納めるものは納め、成長していく。

これが私の軸。

・・・。

モヤモヤした感じのnoteになりまして、すみません。

いや、私の友人でも節税コンサルをしている者がいますし、彼もまた彼なりの正義感でやっているんですよね。私自身も、一番重視しているわけではないとはいえ、節税を勧めるわけでして・・。

冒頭に書いた「正義とは何か」は、法に携わる仕事をする者としては、永遠の課題なんだろうな、と思います。ブレず、でも凝り固まりすぎず。

私にできることは、考えることを放棄せず、今後も学び、もがくことですかね。軸はしっかり保って。

モヤモヤ・・。

#COMEMO #NIKKEI

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