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男がホステスに使った金は、最終的にホストにたどり着く



大学の頃、

貧乏だったので大学は日中ではなく夜間の大学に行き、

昼間バイト、夕方から学校、夜からホステスバイト、

というめちゃくちゃ多忙な生活を送っていた。

自分で学費を稼ぐため、

難病持ちなのに健康な友達よりも多く働いていた。


ちなみに、ホステスという仕事や仕事をしていただけでめちゃくちゃ下に見てくる人間がいる。

気持ちはわからないではないが、

親のお金で学校にいかせてもらい、ろくに勉強もしなかった人よりは、

ホステスバイトをしてでも自力で学校を卒業した私のほうが断然偉いだろうと思っている。

大変さも知っている。

ので、職業に貴賤はない、を私は心から言えるし、

背景も考えずに「ホステスをしていたような人間はろくな人間ではない」、

などという単細胞並みの考えしか持てない人間はめちゃくちゃ浅い人間だと思っている。



一番最初に働いたのは友達が働いていた、と理由で、

「ノリが重視される客層も女の子めちゃくちゃ若い店」

で働いた。パブクラブ、というジャンルだった。


私は根暗でオタクのコミュ障であるが、

この頃に多分ガラスの仮面を身に着けることが出来るようになったのだと思う。

最初はオドオドしたオタク丸出しだったのが、

少しずつ普通に接客出来るようになっていった。


だがしかし、

根暗でオタクのコミュ障が、

いくらある程度普通に喋れるようになったところで、

「ウェーイ!!!!!!!」

のノリについていけるはずはない。


毎日無理みを感じてはいたが、

女の子がコールと共に焼酎をボトルのまま全部一気飲みさせられ、

エレベーターまでお見送りをした後ぶっ倒れたところを見た時、

「あ、辞めよう」

と思った。



二軒目はもう少し落ち着いた所で働こうと思い、

客層はサラリーマンでホステスたちも平均年齢がアラサー、

くらいのお店で働いた。

確かそこもパブクラブと名乗っていたような気がする。

水商売のジャンル分けは細かく難しい。


しかしそのお店にはドラマのような派閥が存在し、

その店でナンバーワンの、

太ってドレスのお腹が三段腹になっており、

お世辞にも美人とは言えないお姉さんに、

出勤時に「おはようございます」と挨拶する以外にも別に、

そのナンバーワンのお姉さんの所にも行き、

「おはようございます」

と言わなくてはいけない暗黙のルールがあるようだった。


私は合理的でないことが死ぬほど嫌いである。

挨拶など全員に聞こえるなら一回すれば充分である。


私はその暗黙のルールをシカトしていると、

ある日待機席(お客さんが来ない間ホステスが待機している場所があるよ)で待機していると、

その三段腹のナンバーワンが、

「つーか最近入ったあの子、私に挨拶しないんだけど」

と言った。

ちなみに全員に聞こえる声量で言っているどころか、

私はその時そのお姉さんと極めて近い席に座っていた。

わ〜!

こんなにも至近距離で私の悪口を!露骨に言われている〜〜!!

と思った。

よくその三段腹で偉そうにできるものだなあ、というのも不思議であった。


しかし変なところで気が強い私はそこで謝ることなどはせず、

翌日からも三段腹さんに挨拶もせず、

普通に働いていたのだが、

三段腹さんと同じ席について接客していた時に、

露骨に「あの子変な子なのよね」的な悪口をお客さんにも言われるようになったりするようになった。

うわ〜!

同じ席ですら私のことを!露骨にいじめている〜!

と思った。


ドレスのお腹が三段腹で特に美人でもなく性格が悪い女がナンバーワン。

本当にドラマみたいだなと思った。


しかし別に自分が全く悪いと思っていない私は謝る必要性を1ミリも感じていなかったので、

三段腹さんへの謝罪もせず挨拶もそのままにしていた。


ホステスの世界は人の出入りが多いし早い。


するといつの間にか意図せず、

入ってくる新人たちが「フミ派」となり、

三段腹さんに挨拶をしない、

という派閥が出来ていってしまった。


意図していないとはいえ、

フミ派が増え自分に挨拶しない人間が増えると三段腹さんは一層私が可愛くなくなる。


私は大学の試験が近くなり「試験休みが欲しい」とオーナーに訴えたところ、

「もう来なくていいよ」

とあっさりクビを告げられた。

三段腹が関わっていることは明白だったが、

これ以上三段腹と働く得もないので辞めることには何の後悔もなかった。

さようなら三段腹さん・・・

きつきつのドレスを着るならせめて二段腹くらいになれるといいですね・・・・・・



三段腹さんの性格の悪さに疲れた私は、

次に働くところはきちんとホステスさんも落ち着いたところがいい・・・

と思っていた。

求人情報を丁寧に読み漁り、

この店だ!と安心できるところを見つけられるまで妥協はしなかった。


その甲斐あって、

私は「ラウンジ」というジャンルの超高級店に採用が決まり、

客層は社長、支社長、支店長などの役職に就いているお金持ちが多く、

お姉さま方もアラフォーではあるが若くて美しく穏やかで優しい方ばかりのお店で働くことが出来るようになった。


それまでのお店とは天と地の差で、

ホステスさん同士の派閥なども存在せず、

オーナー兼ママがお酒を飲めない人なので、

お酒を飲むことを強要されることもなく、

お客さん同士が仕事の付き合いで飲む時に使われるようなお店だったので、

とてつもなく働きやすいお店であった。

「お前たちもビール飲めよ」

などと言われることがあっても、

「レディースビール下さい〜」

と黒服に言えば、ジンジャーエールにビールの泡だけが乗ったものが出てくる仕組みになっていた。


これまでの二軒に比べれば天国のような場所で働くことが出来るようになったので大学を卒業できるまで働いたが、

私はこの期間に男性不信への第一歩を着実に歩んだ。

詳細は語るまでもなかろうと思う。

(セクハラや愛人にならないか?などは日常オブ日常だった)


どのお店もそれぞれに特徴があったが、

どこでも共通しているのは

「夜職」「昼職」という言葉だった。

たとえば

「彼氏仕事何やってるの?夜?」

「あ、昼です」

「昼なんだ〜大変だね」

などの会話が普通に行われる。

昼間に働いている人は全て、たとえどんな仕事をしていようが、

「昼職」

という言葉で一括りにされるのだ。

夜職であれば、

ホストなのか、黒服なのか、送迎なのか、

詳細を聞かれたりもする。

しかし夜職の人間にとって、昼職は全て昼職であって、それ以上でも以下でもないのだ。


何故だか私にはわからないが、

結構な割合でホステスのお姉さんは、ホストが大好きであった。

私はホストに微塵も興味がないので(ローランドは大好きです)、

全くそこに大金を使う意味がわからなかったのだが、

何度か無理やり誘われて行ったことがある。

女の子にひたすら優しくしてくれそこそこ盛り上げてくれつつ、

耳元で「お間を絶対に俺に惚れさせてみせるよ・・・・・・」

などと囁かれ、

マヒャドでも唱えられたかと思うくらいの寒さを感じた。


ホステスは色恋営業はしてもあまり枕営業はしない。

男はセックスしたらそこがゴールになってしまい、

その後リピーターとしての来店率は下がるからだ。


しかしホストは違う。

色恋営業も枕営業もバンバンしまくり、

セックスすることで女性の情が移りに移りまくるのを利用し、

バンバン客を呼び寄せる。


歌舞伎町のホストがマンションで刺された事件も記憶に新しいだろう。


それほどホステスとホストは似ているようであるが、

違う職業でもある。


ただ私はこの流れを客観的にみていて思ったことがある。

元々男がホステスさんに使っているお金の多くは、

ホステスさんを通じて最終的にホストに流れ、

その上そのホステスさんはホストの色恋営業に落ちホストとセックスしている可能性が高いのである。


もうホストに行くお金がないにもかかわらず、

ツケにしてでも通いまくっているホステスさんなんかはもう、

目がなんというか、だいぶヤバい感じになっていた。

新興宗教にハマっている人的な目で接客をしていた。

仕事の後ホストに会うことのみを考えて仕事をしていたのであろう。

そこまで夢中にさせられるのなら、

そりゃ刺される人もいるんだろうなあと思っていた。


それでも、あなたはホステスさんに貢ぎますか。
(※勿論ホステスさん必ずしも全員がそうではありません)


男が女に使った金が、

男に消えていく街、

札幌すすきの歓楽街・・・・・・


ホストは一体何に一番金を使っているのか、

いちど調査をしてみたいと思っている。


多分だが、

結局は女なんじゃないか、と思っている。


こうして金は回り続けているのかもしれない・・・・・・・








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