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お寺の責任役員会・総代会にこそダイバーシティ&インクルージョンを

東京・港区のお寺に、西村宏堂さんというお坊さんがいる。浄土宗の僧侶である傍ら、メイクアップアーティストとしても活躍している。西村さんは昨年7月、LGBTQの一人である自分自身の体験などを綴った「正々堂々 私が好きな私でいいんだ」という著作を発表した。

大量生産・大量消費時代を牽引してきた画一性を乗り越えて、日本社会は今、ダイバーシティとインクルージョンという価値の実現に向かっている。

それは、これまで分離されて考えられていたものを単純に一つの枠に押しはめてしまおうといったものではなく、面倒だから効率的に、言い換えるなら手間をかけずに扱おうとしていたものを、ひとりひとりの個性に着目して、丁寧に活かし合いながら、同じステージ上で扱おうとする営みだ。

消費者がモノを買う際に、果たしてそのモノを提供する企業がダイバーシティ&インクルージョンを実現している企業なのか、消費者が選別する時代に入った。

学生が就職活動で企業を選ぶ際、投資家が投資先として企業を選ぶ際にも、ダイバーシティ&インクルージョンが重要な指標になっている。

企業だけでなく、政府や国会の有り様について、ダイバーシティ&インクルージョンが足りないと指摘する声も古くからある。

一方で、お寺はどうだろう。

――もっとお寺の敷居を低く
――地域の人の拠り所となるお寺に
――寺子屋と呼ばれたかつてのように子どもたちが集ってほしい

外形的に実現したい願いはよく聞くけども、今のお寺には、それを実現するための内面の営みが足りないのではないだろうか。

お寺の幹部組織とも言える、総代会や責任役員会を見れば、そのほとんどに女性はいない。若者もいない。性的マイノリティや外国人を向かいれるという取り組みもない。高齢の日本人男性だけで固められた組織になってしまっている。

社会は多様性にあふれている。
人類は、これまで画一的・統一的にしか処理できなかった様々な事象を、データ処理の側面から、自動化やロボティクスという動作の側面から、行動経済学やUIといったマーケティング技術の側面から、ひとりひとりの個性と満足度に着目した取り組みを進化させている。

お寺はどうだろう。

――もっと皆を幸せにしたい
――この世から不幸をなくしたい
そんな事業家の願いに負けてはいないだろうか。
そう願う事業家は、企業にダイバーシティ&インクルージョンがなければ、自分たちの願いは叶えられないだろうと考えている。

お寺はどうだろう。

お寺の責任役員会・総代会にこそダイバーシティ&インクルージョンを。
具体的な実践に取り組むお寺が広がっていくことを期待したい。


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