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週刊嶋根

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#眠れない夜に

寝台にて

寝台にて

寝て起きて絵を描いて寝て人形あそびをして寝て読書して寝て起きて寝て起きて、一週間くらいろくにベッドから降りずに生活していたらどんどん眠れなくなってきた、当たり前だ。布団のうえにいるのが飽きてしまった。一日中ここにいるんだもの、もうここにいたくない。

そういうわけで再び昼夜逆転した。予定があるのでどうにか一日徹夜で耐え忍ぶ必要があるものの、近頃ほんとうにあたしの体は睡眠にうるさくなり、睡眠時間が6

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おかあたんのこと

おかあたんのこと

おかあさんは、自分の握ったおにぎりは美味しくなくておばあちゃんが作った方が美味しいと言うけれど、わたしにとっては、わたしが握ったおにぎりよりおかあさんのおにぎりの方がずっと美味しい。

母はよく料理を焦がす。よく遅刻をする。注意が散漫で余裕がない。怒るときは子供みたいにキーキー怒る。優しいのと弱いのをごっちゃにしてはいけないという人もいるが、どちらでもある。

わたしは弟のスキンシップには応えられ

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星が飛ぶ

星が飛ぶ

気付くと2024年になっていた。12月を1日も無駄にしたくないと誓って予定を立てたはずなのに、床に転がってフリマアプリばかり見ていたら今年の振り返りをする暇も無かった。あなたは2024年が受け入れられるか?2024年はギリギリ受け入れられるが2025年はまだ一生来る気がしない。

年の瀬は朝のバイト(仕事がなさすぎて、床にしゃがみこんで2時間昼寝した。)に行って、帰って、アイス買って、帰って、スー

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人間博物館

膝から上と膝から下で、体感、30度くらいは体温に差がある。もはや別々の生き物である。

約束をドタキャンされて萎えたから、自分のための埋め合わせとして、12月を全部独りの予定で埋め尽くした。人と一緒にいても楽しいことなんか1つも無いと結局思う。目に映るものが、隣に人がいることによって薄まってしまったり、うまく受け取れなくなるのが嫌だ。

たとえば、立ち止まりたいところで立ち止まれなかったり、特急じ

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十千の憂い

手軽に不安を防げるものだけがほしい。いますぐ安らかな気持ちにさせてくれないとムリ。いつ、どこで、わたしの知らないところで世界がどう変わろうと、いっそそれが正しい形ではないだろうかと、思う。今日まで守られていたわたしの命と文化に感謝している。明日すべてがバラバラに崩れ落ちても、それが理なんだと思って受け入れられる気分になっている。世界は変わっていくし変わらなくてはならないんでしょ。変わっていくならな

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おばけになる夜

おばけになる夜

わたしあの国道に飛びだして道の真ん中をあるきたい。でもね轢かれてしぬから、建物と建物に挟まれてちぢんだ空をみるためこの歩道ぎりぎりのふちを綱渡りのように歩いてく。おおきな横断歩道あるいは歩道橋にのぼれば束の間わたしの視界に空の中心がひらけてうつる。ワンフレームにテールランプや信号機や街灯の艶やかな光彩あふれる。夏の昼ならばいくつも並んだ車の屋根に反射する太陽光がちらちらと水面のようにひかって、小さ

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心中

憂鬱だ、なんとなく。地球規模で心中がしたい。全人類の命の始末を誰かたった一人だけに背負って欲しい。誰もが羨望する強者がみんなを順番に殴っていって、最後にたった一人で取り残されて欲しい。わたしはもう葛藤とか痛い思いは嫌っていう気分だから、代わりに全部受け止めてほしい。何もない星に一人きり。その孤独は傷が癒えるまでの時間を長引かせる。その間に堪えきれないほどの悲しみや嘆きや恨みを抱いて欲しい。あなたが

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「あ。」と思う

まよなかにスーパーにいく。自転車通り過ぎる。風がつめたくなる。マフラーを買って以来、多少薄着でも安心して外に出られる。スーパーの、看板の明かりが消えている。口の中がちょっと痛いことに気付く。たぶんなにかで怪我した。傷を舐めたら、血が出る前の甘酸っぱい味がする。静かな店内。お惣菜の卵焼き、イカリング、焼き鳥、おにぎり、ぜんぶに割引シールが貼られている。あと数時間したら、ここにあるもの全て廃棄されるの

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