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エッセイ | キレイな映像は大画面で

最近の私は時間を見つけて映画を観るような生活を送っている。映画館に行くのではなく家で観ている。その上、テレビではなくタブレットで観ているものだから、小さな画面を目の前に置いている姿はフライト中に渋々映画を楽しんでいる人のようだろう。

タブレットで見ている理由は入浴中に観たいからだ。ただ、気温が低くなってからはお風呂の湯温がすぐに下がってしまうため、そろそろ入浴中に映画を観るのは潮時かもしれないと思い始めていた。

ある日の日中に、少し時間ができたため短い映画でも観ようかと思い配信サイトを眺めていた。その中に気になった映画があったため再生を始める。

映画が始まると、それは物語ではなくてドキュメンタリー作品だったことに気付いた。


その日、私が観たものは『アルピニスト』という映画だ。

主人公はマーク・アンドレ・ルクレールという青年なのだが、世界的な登山家たちも一目置くような偉業を幾度となく達成してきているそうだ。ただ、本人はそれを自慢しなければ、報告すらしないものだから、一部の間でしか話題になっていないという。

映画の中では様々な登山家が登場し、彼がいかにすごいのかを説明していく。そして彼が登場するのだが、評判からは想像できないほどの優男だ。こんな雰囲気の人が、数々の偉業を達成しているのかと不思議に思うくらい。

だがそれも彼の魅力なのだ。映画が進むにつれて彼の魅力に惹かれていく。


映画自体はマークに密着した映像が続くのだが、崖や氷壁、雪山を登る映像は素晴らしい。手に汗を握る映像がずっと映し出されていくのだが、マークがいる世界は大自然の中であり、その全てが美しい。

高所が苦手な人は見るのがつらいだろうが、マークに密着している映像は絶景ばかりだった。この映画を映画館で観られていればと思ってしまうほどだ。

普段はタブレットで観ている私であったが、今回ばかりはテレビで観ていて良かったと思えた。タブレットでもキレイに映し出されているのだろうが、可能な限り大きな画面で観たいと思ってしまう。

山の景色も、夜の星空も、映像の全てが美しかった。そして、そんな自然が恐ろしくも見えるのが、この映画の素晴らしいところだ。


映画を観終わった時に、私の中には達成感が満ちていた。どこから来る達成感なのかは分からないが、心地の良いものだった。

最近観た映画の中でも楽しめたと思う。決して「楽しい映画」ではないのだが、「観て満足できる映画」であった。

自分の興味がある映画ではなく、誰かに勧められたわけでもなく、このような映画に出会えるのはなんだかうれしい。



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