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京のヨモヤマ(漆)/祇園祭宵山

本日、7月17日。祇園祭のハイライト「山鉾巡行」が行われた。

そして、昨日は、宵山。
宵々々山、宵々山ときて、宵山の三日三晩南北は松原から姉小路、東西は東洞院から油小路の通り内に、動く美術館と呼ばれる、重要有形民俗文化財の山鉾三十三基が立ち並び、優美さと絢爛さを、惜しげもなく披露してくれる。

今朝の新聞には、40万人の見物客で賑わったと報じられたが、昨年45万人。今年は土、日、祝と連休の割に減っているようだ。
自分的には、宵山は人ごみが凄く、歩きづらく、蒸し暑く苦手。京都に居ながら、今まで、すすんで行くことはない。

特に京都に来た頃、何年か祇園祭の手伝いで“厄除けのチマキ”売りを、夜遅くまでさせてもらい、「チマキいりませんか~」って、ひたすら声を張り上げたことがあるが‥

「ア~何でこんな蒸暑い夜に、チマキを売らなアカンの?」
「コンチキチンの祇園囃子よりも、あたしゃ、チンって、クーラーの効いた部屋で、グビっと生ビーを飲みたい」
な~んて、フトトキにも思っとったと思います。ハイ^^


そんなこともあり、あまり宵山には足が向かないのだが、昨晩は、久しぶりに写真でも撮るかと思い、出かけてみた。

昨日の京都は、この夏、最高の気温ということで閉口したが、夕暮れは風もあり、家から歩いていても心地よかった。
このままなら、今年の宵山は涼しげかな?と、思うも束の間。
鉾のある小路に近づくほどに人数が増し、左右に屋台も溢れ、まるで如雨露に入り込むように、人波はキュッとつまりながら幾つもの提灯を灯す鉾の先へ、先へと、吸い込まれて行った。

大きな間口を開放し、所狭しと、京都らしい小物を売るお店や、道沿いの部屋に、伝来の屏風や美術品を飾り、展示する民家の其処に、小さな人波が入っては、出でて、うねりへとけ込む。

一方行きの道は、立ち止まることも許されず、流れのままに、鉾の灯りに近づくと共に、〝コンチキチン〟の音も大きく鳴りやがて頭上を通り過ぎ、後ろへと小さく消えていく。

溢れる人の流れ、うだるような熱気、終わりのないお囃子、怪しげに揺れる提灯や店の灯り、屋台や店先の掛け声‥様々な音や、光、熱気、匂いが混じり合い、頭の芯が痺れる。
シラフなのに、酔ったよう。酔い?山?

慌てて、本屋のあるビルへと逃げ込む。スーっと風が変る。
「ア~、チンとしてる」 ホッコリ、胸を撫で下ろす。
流れの中で、溺れず、なんとか撮れた写真は数枚。

1000年を超える伝統のある祇園祭。
過去から現在まで、何万人もの人々の思いと手を繋ぎ、護られてきた、京都の代表的で素晴らしい行事であり、文化。

そのハイライトの「山鉾巡行」の前夜祭とも言える宵山だが‥
やはり、自分的には宵山の熱気は、苦手のようである^^

(2012年7月16日 記)

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