台湾BL映画「君の心に刻んだ名前」(刻在你心底的名字)
主演:エドワード・チェン(陳昊森)、ツェン・ジンホア(曾敬驊)、ダイ・リーレン(戴立忍)、ワン・シーシェン王識賢、ファビオ・グランジョン
2020年
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=Netflix公式サイトより)
「これ、観てる?」
またしてもBLオタク友から視聴命令が飛んできた。勝手に私がそう命名しているネット上の友人であるこのイギリス人の彼女とは某グループで知り合ったのであるが、おかげで私の観たいドラマリストは長くなるばかりである。彼女はとにかくすごい数のアジアBLドラマを観ていて詳しいのだ(今はチェリまほも彼女のお気に入り)。新しいドラマはもう年内には観始めない!と決めたのであるが、これは私もリストに入れていたし、映画なので中国ドラマ2話分を捨てて、すぐにこちらを視聴した。
1987年の戒厳令解除直後の台湾を舞台にした物語。キリスト教系の高校に通う二人の青年の当時と、それから現在を描いている。エドワード・チェン演じるチェン・ジアハン(張家漢)は水泳の授業の際に話すようになったツェン・ジンホア演じるワン・バーディ(王柏德)が気になり始める。ジアハンは自分が同性愛者なのではないかと感じているが、同性愛者の同級生がいじめられたりしているのを見ていてなんとなくそれを認めたくない自分もいる。しかし、気になっているバーディがいじめられている同級生を庇うのを見て、少しずつバーディに近づき仲良くなる。しかし、男子校だった学校が共学になり、女生徒が入ってくると、バーディは一人の女の子と仲良くなり、付き合うようになる。そこでジアハンとバーディの友情にヒビが入るようになってしまった。
物語は前半はほぼ、怪我をしたジアハンが学校のカナダ人のオリバー神父に怒りをぶつけながら相談する形で進み、高校生活の様子が描かれていく。80年代のことなので、学校の先生や親も厳しく、今ではありえない暴力や体罰のシーンもある。そしてもちろん同性愛というのもタブーで、同級生達のいじめも容赦ない。
そんな状況の中、ジアハンは自分の気持ちをバーディにぶつけるのだが、一度は受け入れてもらえるかと思うのも束の間、結局バーディはジアハンを拒否する。そして二人はある日を境に会わなくなってしまう。
約30年後、ジアハン(俳優ダイ・リーレン)は高校の吹奏楽部の同窓会に出席する。バーディに会えるかと期待するが、彼はきていなかった。しかしカナダに戻ったらしいオリバー神父のお墓参りに行ったカナダ旅行で、オリバー神父と晩年を過ごした男性にあって初めて神父のことをよく知り、またバーディ(俳優ワン・シーシェン)とも再会する。
”おやすみなさい”のもう一つの意味
約2時間の映画とはいえ、当時の台湾の状況、青年二人の友情や嫉妬、そして30年後の二人の話も盛り込まれていて、とても見応えのあるストーリーだった。最後に二人が一緒に行く海辺の風景も良かったし、私も行ったことのあるナイアガラの滝も出てきて、ロケーションもとても良かった。
そしてキーワードである中国語で”おやすみなさい”を意味する「晩安」。知らなかったが、今でもこれはもう一つの意味で使われているのだろうか。誰かに毎晩言ってもらえたらロマンチックだろうなぁ(笑)。
こちらがクラウド・ルーが歌う主題歌♪少し前から台湾のヒットチャートの上位で、私も出てすぐに聴いているのだが、正直なんとも思っていなかった。しかし劇中では「これ、先輩が作った曲なんだ」と言ってジアハンがバーディに聴かせる場面で聴いたらめちゃくちゃいいではないか!