このぶっ飛んだ世界観。『四畳半神話大系』はスーパーロボット大戦だ。
目で文字を追い。言葉を受け取り、理解して。想像の世界を膨らませる。そこに置いてある文字から、自分の頭の中で何を起こすかはそれを読む人それぞれの自由だ。
だが物語のスケール感は、読む人の世界の広さに強く影響を与える。
『四畳半神話大系』
舞台は京都。下鴨泉川町にある『下鴨幽水荘』という下宿。
しかしそのスケールは四畳半にあらず。
僕の脳内にやすやすと時間と空間を超えていく物語を映し出す。
『四畳半神話大系』はスーパーロボット大戦だ。
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この本を手に取ったのには経緯がある。まずはそこから説明するとしよう。
この本の前に、僕は『夜は短し歩けよ乙女』を読んでいた。
ずっと前からこの本の存在を知っていたのだが、どうも僕にはハッキリと伝わってこなかった。
この本のジャンルって。何?
ミステリーしか読まないとか、アクションは好きじゃないとか、ジャンルにこだわる方じゃない。だが、全く見当がつかないとどうしていいものやら。
「ラブコメディ? いや、学園モノ? んー、まあいいか。今読む本でもなさそうだ」
この本の初版は2006年というから14年放置していたことになる。
僕の人生に何も起こらなければ14年目も無事見て見ぬふりをして通り過ぎるところだったのだが、そこは神々のイタズラ。ちょっとしたことがあったのだ。
ちょっとしたこと。そう、ちょっとしたことだ。だが、ちょっとしたことではあったのだが、それは僕は悩ませ、落ち込ませるには十分な出来事だった。
ストレス解消には酒が一番なのだが、酒には二つ問題がある。一つは二日酔い。二つ目の問題は金だ。酒で手に入れる楽しい時間は続きはしない。そう悟った僕が手をつけたのが読書だった。
知人から勧められた本を読んでみたら、それがよかった。
本は僕の頭の中に空想世界を膨らませてくれる。現実逃避と言われればそうなのだと思う。本に夢中になっている間はリアルの世界に巻き起こる問題から逃げられる、忘れられる。それが気持ちよかった。
それからは3日に1冊程度のスピードで本を読んでいった。本の在庫が切れるのが嫌で常に3冊程度のストックができるようにジャンジャン注文していった(メルカリとAmazonの中古で)
没頭できるという理由からミステリー小説を選ぶことが多かったのだが、しばらくすると面白いものも読んでみたくなった。そこで
『 笑える 面白い 小説 』と検索してみると。
出てきたのがこの『夜は短し歩けよ乙女』だった。
「これって、笑える小説だったのか!」と理解した僕は、とうとうこの本に手をつけることになる。
ここまで14年。長かった。
しばし感慨にふけるでもなく、僕は読み始めると・・・
「なんだこれは・・・」
衝撃を受けた。
このスケールの大きさに、この世界観に。
自分の想像の枠を押し広げるストーリーについてくためには集中力が必要だった。だがそこにかけた集中力は無駄にはならなかった。それだけの価値があった。
この本を読んでいるその間、僕は現実世界から引き離されていた。
最後まで大笑いすることはなかったのだが、読み終わった後に僕は唸った。
「こ、これはしゅごい…」と。
こうなると、同じ作者の他のモノも読んでみたくなる。そこで出てきたのが、こちら。
四畳半神話大系
(はい、ひょっこりはん)
あとで知ったのだが、この『四畳半神話大系』は2005年、『夜は短し歩けよ乙女』より先に書かれたものらしい。
まずはAmazonの紹介文から。
私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい! さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。
おわかりだろうか。
並行世界。パラレルワールド。なんとSFだ!
目次を確認する。
第一話:四畳半恋ノ邪魔者
第二話:四畳半自虐的代理代理戦争
第三話:四畳半の甘い生活
最終話:八十日間四畳半一周
四畳半のゴリ押しである。
SF、四畳半、そして舞台は日本が世界に誇る古都、京都。
「こ、これはいったい… どうなるんだ… 」
僕はページをめくり始める。
「コイツ、頭おかしいなww」
「あれ?この人って…」
「え? これつながってるの?」
「ラーメン食いたくなってきたな…」
「あー、ここで?こうくるの?」
一気に読了。
「ふぅ… 」
本を閉じ、思った。
「このぶっ飛んだ世界観。『四畳半神話大系』はスーパーロボット大戦だ」
ぜひ読んでいただきたい。
いや、読むのではない。
味わっていただきたい。
この没入感を。
『四畳半神話大系』感想文。
これにて大団円でございます。
ありがとうございました。
注)読み終わって「は?何がスーパーロボット大戦なの?」と思っても質問しないでください。感性は人それぞれでですから。
誰も僕の感性を責めることはできないィィィ!!!
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