『敵の敵は味方』リアル半沢直樹・サラリーマンサバイバル記 第二話
本日21時より、半沢直樹第四話ですね。僕の体験談は今回第二話となります。
前回までのあらすじ----------------------
対立する有村部長と梅田次長。有村部長に「アンチ梅田を表明し俺の派閥に入れ」と誘われるが砂男はそれを断る。どちらの派閥にも入らず、自分の仕事をしたかったからだ。
だが、ある日有村部長から呼ばれて宴席に行くと、そこには梅田次長がいた。この二人、いつの間にか手を組んでいたのだった。
【登場人物】
有村部長・・・梅田次長のライバルだった有村。だが、一歩先に部長の座を手に入れ、次に狙うのは取締役。その前に梅田を手懐けておく必要がある。
梅田次長・・・立場上では有村の下になってしまったが、有村の部長昇進を納得はしていない。有村に対し、未だにライバル心を燃やしている。
若狭課長・・・課のトップ。ここで優秀な成績を残し出世の足掛かりとするつもりだろうが、上の二人に比べれば小者感は否めない。
砂男主任・・・現場のプレイングマネージャー。子供の頃の愛読書は『ブラック・ジャック』。正直さと正義感だけが武器。だが、その分「うまくやる」ことが苦手で上司との衝突もしばしばある。
第二話『敵の敵は味方』---------------------
宴席の次の日。梅田次長に呼び出された。
梅田次長「砂男。お前、有村部長に酒注がなかったよな。ああいう態度は有村部長は一番嫌いなんだよ。俺が酒注げっていったら注げよ!俺が嫌われるだろが!」
あれほど有村部長を嫌っていた梅田次長が手のひらを返して、有村部長の靴をなめている。その現場を見た僕は、ショックを受け、そして同時に湧き上がる嫌悪感を感じていた。
有村部長があからさまなゴマすりが好きなのは知っている。酒を注ぐくらいやろうと思えばできた。だがあえてそれをやらなかった。
反抗と受け取られても仕方が無いだろう。だが、それも覚悟の上だ。
それだけこの目の前の二人の男達を、心の底から、汚いと思ったからだ。
梅田次長「おい、なんとか言えよ!」
あんたらみたいな自分の事だけ考えて、裏では悪口、表ではゴマするような奴は大嫌いなんだよ、と言いたかった。それが言えないので黙っていた。
梅田次長「お前の気持ちもわかるよ。汚いって思ってるんだろ。でもな、お前もそろそろ『うまくやる』事を覚えろ。あんなバカ部長だけどな、だからこそうまく使うんだよ」
それが嫌いなのだ。バカだと思ってるならバカだと言えばいい。能力で追い抜かせばいい。だが正面から勝負せず、表では良い顔を見せて裏でグチャグチャやる。そういう大人が僕は大嫌いなのだ。
+++
数日後。月例会議があった。出席者は40名ほど。
そこには有村部長、梅田次長、若狭課長も出席していた。
それは突然だった。
梅田次長「おい、砂男。なんだこの数字は?どういうことか説明しろ」
うちのチームの数字はそれほど悪くなかった。悪くないと思っていただけに質問の意図がよくわからず慌てた。
砂男「え… あ、はい。あの、これは、えっと単価が…」
話をさえぎるように梅田次長が大声を出した。
梅田次長「ゴチャゴチャ言い訳すんなよ!お前のせいだろ!お前のその考え方、お前のその態度が悪いんだよ!」
あからさまな吊し上げだった。
そしてそれは、そこに居合わせる会議の出席者全員に向けた「俺は砂男が嫌いだ」という梅田次長のメッセージでもあった。
梅田次長「砂男。謝れ。立って全員に頭を下げろ!」
有村部長が横でうれしそうに笑っている。だがこれは有村部長の指示ではあるまい。梅田次長の忖度だ。
有村部長の派閥入りを断った砂男。砂男は有村部長の敵。そいつを陥れることは有村部長への忠誠心の表明。
敵の敵は味方。
有村部長と梅田次長は、僕を共通の敵にすることで結びつきを強くしていったのだ。
それでも若狭課長は僕の直接の上司だ。きっと味方になってくれると思ったのだが。かばうどころか、僕と目を合わせようともしない。なんて小さい男なんだ。
砂男「大変… 申し訳ございませんでした… 」
この時に社内のムードが決定づけられた。
『砂男は有村部長、梅田部長の敵である。敵の敵は味方。そして敵の味方は敵だ』
「昔いじめられていた」という人の話を聞くことがある。
だが「昔いじめていた」という人の話を聞くことは無い。
この時まで、それはいじめていた側には罪の意識があるからだと思っていた。でも、違う。
いじめていた人は、いじめていた自覚がないだけじゃなく、それを正しい行為だと信じ、多くの場合、
大人になってもターゲットをみつけてはいじめを繰り返しているからだ。
つづく
次回予告『若狭、お前もか!』
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実話です。
これが大企業の部長とかですよ。家で子供にどんな教育してるんでしょう。学校でいじめが起きたら、一緒にいじめて、強いヤツにうまく気に入られるように『うまくやれ』と言ってるんでしょうか。うん、言ってるな。きっと。
はぁ、思い出すだけでもつらい話ですが、まだまだ続きますw お楽しみに!
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