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【短歌】なつがきらいじゃなければ


『なつがきらいじゃなければ』


もうぜんぶきみのものだよこれぜんぶわたしのものだよ夏ってそうでしょ

青よりも青がこっちに笑ってる生き延びろって笑われている

夕方が長くなること贅沢に思えてしまう 打ち上げてよね

落ちてゆくひかりも大きく映ってて視界に収まらなくて悔しい

海と酒、快晴花火、E・MO TIME! サブキャラでもないちいさなふたり

一瞬で消えるか二分で驚くかわざわざ揺れるようにできてる

去年もさ今年もきっと来年も違っていてよ同じ幻覚

オプションでラメ付きの風帰りたくないからまわってのぼってわらった

呪うのも呪われるのも好き今のカタチはちょっと不発のハート

ひのたまを目印にして埋めたものひとりっきりで掘り返せるもの

夏の夜の雨の匂いを手づくりで香水にするインテリアとして

溶かされて許されてゆく干からびた土から現在形の愛しさ

エアコンの温度を下げるピ音の間ブレス記号はこのためにある

お決まりの台詞言わせて縋ってます花はさくらに季節はいまに


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