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【本の紹介】嘘は臭う。透明な夜の香り/千早茜

ふと、そういえば最近、
本の紹介をしてないなぁと思い、
今日は9〜10月に読んだ本の中から
1冊選んで紹介したいと思います。

今回紹介するのは
透明な夜の香り/千早茜

あらすじは…

香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。

元・書店員の一香いちかがはじめた新しいアルバイトは、
古い洋館の家事手伝い。その洋館では、調香師の
小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る
仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ
朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、
失踪した娘の手がかりを求める親など、事情を
抱えた依頼人が次々訪れる。一香は朔の近くに
いるうちに、彼の天才であるがゆえの「孤独」に
気づきはじめていた――。

透明な夜の香り/千早茜


そして印象に残っている文章や言葉を少し、

嘘の臭いだけが残っていた。
匂いは残るんだよね、ずっと。
記憶の中で、永遠に。
みんな忘れていくけれど


愛着と執着の違いを知りたい


「逃げてはいけない、
なんて道理を聞かなくてもいいよ。
そんなのは、人を殺す正義だ」

透明な夜の香り/千早茜


美しいお話だった。
ある意味強烈な愛の物語でもあり。

静かで、ひんやりとした冷たい空気の中に
霧のように立ち込める、あらゆる香り。

黒ではない濃紺の闇。

当たり前に存在する日常の匂い。
誰もが気づく匂い、
ほとんどの人が気づかない匂い。

染みついた後悔や、孤独の匂い。

時にうっとりとするような穏やかな香り、
時に吐き気がするほどの、強く不穏な香り。

草花、土、ハーブ、野菜、庭園の空気、雨、
料理中や調理された食べ物や飲み物、
馴染みのある、誰もが感じる匂い。

人の匂い、嘘の臭い、不安や絶望の臭い、
遠い記憶、罪悪感、そして強烈な欲望の匂い。

とほんの少しの希望の匂い。

人にも、それ以外の生き物にも、自然にも
あらゆる感情にも、それら全てに匂いがある。

それらの匂いの中には
香りと呼べるかぐわしいものもあるけれど、
顔をしかめたくなるような、
においを放つものもあるのだ。


香りというのは言葉で表現するのは
とても難しいものですが、
まるで本の中から匂い立つように感じられる、
美しい世界観と文章でした。

香りと同時に、色を感じさせる表現が
多かったのも、とても印象的でした。

秋の夜長に、いかがですか。

作中に何度も出てくる印象的な色のひとつ、深い紺色。



こちらも合わせてぜひ♡



それでは今日はこの辺で。


最後まで読んでくださってありがとう。

また気が向いたら、来てくださいね。


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