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完全試合を続けてきた佐々木投手と、「ボール」とジャッジした球審さんとのやりとりについて、様々な意見が飛び交っています。
ぼくも言いたいことはいっぱいありますが、ぼく自身の経験を踏まえて建設的に考察してみたいと思います。

というのも、ぼくも、高校野球の練習試合などでよく球審をしていました。
いやぁ、大変ですよ、審判って。
体力的にも、精神的にも(笑)

今回のケースがどうとか言うことじゃなく、
特に、審判の心の持ちようについて考えていってみたいと思います。
プロの審判の方は次元が違うかもしれませんので、まず、そこはご了承ください。
そして、どんなジャンルにも通じるような記載にしたいと思いますので、その点もご了承ください。

冒頭の写真は、Tome館長|noteさんの作品を使用させていただいています。ありがとうございます。


①判定するためのポリシー

やっぱり、微妙な判定が出てきます。
「うわ~、どっちかなぁ、どっちでもいいや」っていう場面が必ずあります。
それでも、白黒つけないと判定になりません。

最近は機械判定されるから、よっぽどツライと思いますね。

どうやって線を引くかというと、
それは判定するポリシーを持つことです。

もちろん、ルール上のストライクゾーンもありますが、判定する上での『マイルール』をいかに構築できているかです。

プロ野球のストライクゾーンはイマイチ分かりませんが、
高校野球でいえば、ベースに少しでもボールがかすったらストライク。
低めは両ひざより上を通過しないといけない。
高めは前のひじの下から。
など、当時の判定基準を自分なりに持っていました。
(現在のルールは微妙に変わってますのでご注意を)

なので、「ストライク」と言うときも、「ボール!」というときも、『こうだからストライク!』『こうだからボール!』と自分に言い聞かせながらコールします。

もし、クレームがついたとしたならば、このポリシーを説明すれば良いのです。
『なんとなく』のジャッジが一番ツライと思います。


②引け目

さて、心理面に迫っていきたいと思います。

まず、『引け目』についてです。

自信の無さとも言えるかもしれません。

ぼくの場合は、低めのストライクゾーンが広すぎる。高めが狭すぎる。という評価(クレーム?(笑))をいつもいただいていました。
ぼく自身がキャッチャー出身だったからということも関係しているかもしれませんが、自分でもそれは理解していました。
前述のポリシーと重ねて、ストライクゾーンはこうあるべきだって、心の中で言い聞かせていました。

でも、それが、自分の中での『引け目』になるんです。
外部からの評価がいつも頭にチラつく。
そんな自信の無さが、優柔不断なジャッジになったり、ちぐはぐな判定を生んでしまいます。

やっぱり判定する方も人間ですから、そんな感性が揺れてしまいます。


③注目されてプレッシャーに

今回の佐々木投手のような場面での判定は、特にプレッシャーがかかったと思います。
完全試合ということは、フォアボールさえ出さないということですから、ストライクorボールの判定はとても影響してきます。

プレイヤーだけでなく、見守っているファンからも、一球一球に注目され評価されます。
ツライと思いますよ~・・・。

そんな超ストレスのかかる場面での判定なんて、ぼくには絶対できません。

ましてや、あんな剛速球!!(笑)
そして高速での変化球。

実際に問題のシーンでも映像を見てみると、球筋からすると、全然低めに外れてボールなんだけど、投球が伸びてきてそんなに低くないんですよね。キャッチングも上手い。

毎回、あんなボール投げられて、あれだけ注目されると、普通の精神状態ではいられないと思います。

やっぱり審判も人間。


④『絶対』という辛さ

『審判は絶対』とされています。
他のスポーツでもそうかもしれませんが、特に野球はそうですね。

判定に文句をつけるな、
審判の言ったことは絶対だ。

こう誇示することで、その判定に威厳を保ちます。
ルール上、大切なことです。
子どもの草野球みたいに、いちいちケチをつけていたら進行しません(笑)

ただ、この、絶対たるポジションは辛さを生みます。

間違いが許されないのです。
審判も人間だよって言えないんです。
そんな辛さがあるように思います。

これは会社や組織などにも通じる部分があるのではないでしょうか。


先日、春の高校野球で、審判の判定ミスを撤回した素晴らしいジャッジがありました。感動して涙がこぼれました。
ぼくはそんな事例は今まで聞いたことありませんでした。

ミスを認めることも大切なのかもしれません。

試合の場面で、みんなの意見を聴くようなことはできませんが(笑)
絶対という辛さがあることは、共通認識できると良いかと思います。


⑤パワーバランス

だからこそ、ある意味、お互い様のような気持ちで、共感・共有できると良いのかなと思います。

「あんたも大変だね」ぐらいの感じですか?(笑)
プロの場合はそうもいかないんでしょうけどね。

「オレの言うことは絶対だ」みたいなパワーバランスで臨むと、反抗・反論が出てきてしまいます。

それはお互いのために良くない。
マイナス要素ばかりだと思います。


⑥イチローの凄さ

最後に、この話題に関連して、イチローの凄さの一部分に触れたいと思います。

自分の内側に潜む、引け目やプレッシャー。
自分のポジションを誇示するための表現。

いろんな心理的要素が、内側にも外側にもあります。
冷静に見つめ感じることができるときもあるし、無意識に感じ行動してしまっているときもあります。

イチローの凄いところは、
プレーの最中に、感情を表に出さなかったところです。

タイムリーヒットやホームランを打っても、嬉しそうな表情ひとつ見せず、淡々とベースを回ります。

「もっと喜べ!」や「カッコつけるな!」(笑)というような意見が当時はありましたが、
イチローのコメントを聴いて納得しました。

『相手にとって、それが一番恐ろしいんじゃないか』
ということです。

つまり、底が見えないということですね。

ホームラン打っても淡々と帰ってきたなら、『打って当然』というような雰囲気に見えます。
凡打して悔しがっている姿を見せると『こちらが勝った』と思わせてしまいます。

嬉しいときも、悔しいときも、平然と見せる。
敵にとって、これが一番怖いものです。

選手としてのスケールが計り知れず大きくなっていくか、もしくは計れないということになろうかと思います。


⑦まとめ

ということで、感情の起伏は必ずあります。
それをどう表に見せてしまうかです。

威厳を保とうとしたアクションが、実は自分の威厳を損ねてしまう結果になるのかもしれません。

感情の起伏を表に出さないことが、一番スケール大きく見られるのかもしれませんね。

繰り返しますが、今回のジャッジのことをどうのこうの言うつもりはありません。
人の感情の生んだひとつの場面から、自分への学びのひとつとできればと思います。


今日もご覧いただきありがとうございました。

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