Tome館長

トメ。2016/2/12、開帳。作者表示・非営利にて無断使用可。英訳はGoogle翻訳…

Tome館長

トメ。2016/2/12、開帳。作者表示・非営利にて無断使用可。英訳はGoogle翻訳。 動画用朗読音声を常時募集。https://tomekantyou.hateblo.jp/

最近の記事

【思い出】手の痛み

保母さんの弾くオルガンの音が聞こえる。 幼い僕たちが小さな手と手をつないで 輪を作ってお遊戯をしている。 僕のすぐ隣はひとつ年長の女の子。 突然、その子とつないだ手に痛みが走る。 僕の手のひらに、彼女が爪を立てている。 幼いながらもすごい力。 驚いて横を見る。 その子の顔には憎しみが込められている。 わけがわからない。 憎まれる理由なんか思い浮かばない。 ほとんど会話したことさえないのだから。 そして、大人になった今でも謎のままだ。 ふと思い出すたびに考えてしま

    • 【やば絵】爛れなさい

      • 【SS】手続き

        住所のメモだけが頼りだった。 地図はなく、電話番号もわからない。 もっとも、住所だけで十分ではあった。 むしろ、これで見つけられない方が問題である。 途中で迷ったりしながらも目的地に着いた。 入口らしくない入口から建物に入る。 受付嬢らしくない受付嬢がいたので挨拶した。 「あなたはとてもきれいだ」 受付嬢はにっこり笑う。 「では、こちらへどうぞ」 合い言葉が通じたのだ。 奥へ案内された。 そこは殺風景な狭い部屋だった。 「壁から手を離さないで、お待ちください」

        • 【ナイロンギター】勿忘草

          私を忘れないで

        【思い出】手の痛み

        マガジン

        • 箱夢の話集 第四集
          526本
        • 箱夢の画集 第四集
          348本
        • 箱夢の曲集 第四集
          366本
        • 箱夢の話集 第一集
          104本
        • 箱夢の詩集 第四集
          199本
        • noteでコラボ
          257本

        記事

          【SS】いい子でいてね

          僕の家は五人家族。 お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん、そして僕。 「いい子にしているんだぞ」 ある日、お父さんが家を出て行った。 「いい子にしているのよ」 ある日、お母さんも家を出て行った。 「いい子でいろよ」 ある日、お兄さんも家を出て行った。 「いい子でいてね」 ある日、お姉さんも家を出て行った。 だけど、誰も家に帰って来なかった。 みんな失踪してしまったのだ。 僕だけ家に残された。 警察に捜索願を出したけど、受理されただけ。 市役所に相談したけど、心

          【SS】いい子でいてね

          【茶の背景】許しません

          【茶の背景】許しません

          【SS】鏡の中のロンちゃん

          マサト君という変な大人の知り合いがいて 僕の言う事をちっとも聞いてくれないので 僕は困っているんだけど その事を友だちの、ええと 友だちなのに名前を忘れちゃって申し訳ない。 その友だちに相談したら 「ああ、それならロンちゃんに頼むといいよ」 と言うんだ。 「ロンちゃん?」 「そう、ロンちゃん」 「何、それ?」 「ほら、そこに手鏡があるだろ」 とコウが あっ、思い出した。 コウという名前だった。 その友だちのコウが言う通りに コウの家の座敷の部屋の隅にある

          【SS】鏡の中のロンちゃん

          【琴】面影橋

          渡った記憶はない。

          【琴】面影橋

          【琴】面影橋

          【SS】デスクの胸像

          オフィスを出ようとしていたら  女子社員のひとりに呼び止められた。 「これ、素敵ね」 彼女のデスクの上に胸像が置いてある。 それをボールペンの先で示しながら  彼女は感心したような表情。 石膏を削って表面に着色したもの。 彼女の姿形に似せて僕が作り  僕が彼女にプレゼントしたものだ。 「それは、どうもどうも」 嬉しくなり、彼女と話し込もうとしたら  別の女子社員が声をかけてきた。 「これも素晴らしいと思うわ」 その彼女のデスクの上にも胸像が置いてある。 やはり

          【SS】デスクの胸像

          【緑の背景】約束と違う

          【緑の背景】約束と違う

          【独白】忠告

          殴られた記憶がある。 かなり昔の話だが忘れてはいない。 殴られたら誰だって痛い。 誰だって痛いから、誰だって  相手の痛みを想像できないはずはない。 それなのに相手を  なぜ殴る事ができるのだろう。 自分がされて困る事を相手にする人は  まったく理解に苦しむ。 本当に困った人だ。 嫌われても仕方ない。 それでも構わないとしたら、不幸な人だ。 いつか殴り返されるだろう。 あるいは、刺されるかもしれない。 たとえば、ほら  こんなふうに背後から、不意に。   A

          【独白】忠告

          【ピアノ】明日が見えない

          昨日今日が見えすぎて

          【ピアノ】明日が見えない

          【ピアノ】明日が見えない

          【語り】だまされている

          君たちはだまされている。 こう言われて君は、そうだろうか と思ったのではないかな。 あるいは、そんなことはない と思ったかもしれない。 または、そうかもしれない  なんて思ったり。 いずれにせよ、君は思った。 こう言われたために、君はそう思った。 つまり、反応してしまった。 与えられた刺激に対応してしまった。 そりゃそうだ。 刺激を無視するわけにはいかないものね。 置かれた状況によっては 命にかかわるかもしれないわけだから。 だけど君、それによって 君はだまさ

          【語り】だまされている

          【ペン画】かしこまりました

          【ペン画】かしこまりました

          【詩】ほんの少し前へ

          少し 少し   ほんの少し    少しずつ 少しずつ   ほんの少しずつ    ほんの少しでいいから     ほんの少しずつでいいから      前へ 前へ       前へ進もう  急ぐことはない   諦める必要はない    ほんの少しでいいから     ほんの少しずつでいいから      前へ 前へ       前へ進もう        前進 前進         また前進   Just a Little Forward A little bit Just

          【詩】ほんの少し前へ

          【ピアノ】別々の道

          あんたらと一緒にせんといて

          【ピアノ】別々の道

          【ピアノ】別々の道