ライカ🚀

映像クリエイターです。 好きな映画、音楽、本のこと。日常のこと、社会のこと。。

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Needy Girl Overdose批評

Needy Girl Overdoseというゲームを知っているだろうか。 Needy Girl OverdoseはWSS Playgroundというレーベルが2022年に発売したシミュレーションゲームであり、超てんちゃんことあめちゃんを一流のネット配信者に育成していくというもの。 PCゲームプラットフォームSteamでは、発売から1週間のユーザーレビューで「圧倒的に好評」の評価を獲得し、初週で10万本を売り上げた。 一方でポップなレイアウトとは裏腹に、過激な展開やプレイ

    • 『ザ・クリエイター/創造者』批評

      『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の監督として有名なギャレス・エドワーズ監督の新作『ザ・クリエイター/創造者』を鑑賞しました。 ギャレス・エドワーズ監督はポストコロニアリズムが根底にある監督です。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』はアウトローたちが力を合わせて帝国に一矢報いる作品でした。今作も抑圧された人々の抵抗がテーマの作品であり、西欧諸国の人間たちがアジアに散らばるAIたちを攻撃し、主人公の人間がAIたちの手助けをするというのがざっくりとした構図

      • なぜテレビを辞めたか

        近しい人には報告をし、Instagramでも書いたのでご存じの方も多いと思いますが、9月末日をもっておよそ5年間所属していた制作会社を退職しました。 別に誰かに理解してもらいたいというわけでもなく、自分なりの労働と創作と報道の総括として、なぜ僕がテレビの制作会社を辞めたのか書き記しておきたいと思います。 暇な人は暇つぶし程度に読んでいただけたら幸甚でございます。 理由①:業界の衰退もう散々言われていることですが、テレビという業界はスマホ、SNSが普及し始めた10年前から凋

        • 『君たちはどう生きるか』批評

          もう8月下旬なのに今年初めてのnoteの更新です! 実は下書きは少し書いていたのですが、多忙を極めているうちにネタが腐ってしまいました。。。 久しぶりの更新は宮﨑駿の10年ぶりの長編映画作品『君たちはどう生きるか』について書きたいと思います。 予告を一切打たないという前代未聞のマーケティング方式にも関わらず、公開初動4日間の興行収入は『千と千尋の神隠し』を超えるなど、大きな話題を呼びました。 その一方で、映画の評価は二極化しており、傑作だという意見と支離滅裂だという意見に

        Needy Girl Overdose批評

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          2022年公開映画TOP10 短評

          2022年に公開・配信された映画の短い評論です。 今年観た新作映画は68作品でした。 10位『ケイコ 目を澄ませて』聾唖者の女性ボクサーの日常と奮闘を描いた作品。 全編16mmフィルムで撮影されているのが印象的で、一眼レフカメラや通常のシネマカメラでは出しにくい、独特のフィルムの質感が独特の味を出している。 撮り直しがデジタルより容易ではないフィルムで撮影することで役者の演技にも緊張感を与えることができたのだとか。 加えて、フィックスの画(固定した動かないカット)やロ

          2022年公開映画TOP10 短評

          『マッドゴッド』 現実の世界の混沌をアニメーションという虚構で作り上げた傑作

          『マッドゴッド』(2021)は間違いなくシュバンクマイエル以来の完成された人形アニメーション作品だ。 人形アニメーションといえば、『アリス』(1988)や『オテサーネク』(2000)などで知られるチェコの映像作家ヤン・シュバンクマイエルが有名だ。 人形劇と実写の技法を合わせた表現技法は映画界に革命をもたらした。 シュバンクマイエルの『アリス』から2年後の1990年に、特殊効果アーティストのフィル・ティペットが着想した人形アニメーションが『マッドゴッド』である。 ティペ

          『マッドゴッド』 現実の世界の混沌をアニメーションという虚構で作り上げた傑作

          思い出すことなど③ 元気がないのはみんな一緒!

          こないだ知り合いと「映画業界が元気がない」という話をした。 確かに否定できないほど映画業界は元気がない。 小津安二郎や黒澤明の時代はどこへやら。 最近はしっかり韓国映画に抜かれてしまった。 という話をすると「面白い映画だってあるぞ!」と怒られてしまうのだが、問題はその素晴らしい面白い映画たちが全く着目されていないことだ。 面白い映画は毎年何本もある。でもそのほとんどが小さな劇場で短く上映されて終わっていく。そして大手のバックアップがあればどんな酷い映画でも大規模で上映され

          思い出すことなど③ 元気がないのはみんな一緒!

          思い出すことなど② 人間は2つだけ

          今やっている番組の改変があって新コーナーの立ち上げメンバーになってしまったので、とてもnoteをやってる余裕などなく忙しくなっている。 このままフェイドアウトは悲しいので落ち着くまで暇潰しの愚痴を書く。 映画や音楽の批評を楽しみにしていた方はすいません、また落ち着いたら書きますので。 久しぶりにnote書いてすごくネガティブなことを言ってしまうかもしれないけど、ずっと思っていることを書きたい。人間には二つのタイプがあるという話。 もし労働に関して言うなら一つは「公務員

          思い出すことなど② 人間は2つだけ

          コント『サークル』 Conva

          ハチカイ 警備員、ダウ90000 吉原怜那、大喜利芸人の田野からなるコントユニットConva。 Convaのコント『サークル』が大傑作なので紹介させていただきます。 同人サークルの友人同士である警備員と吉原の会話が中心となるコント。 シャツのボタンを限界まで閉めて、ジーンズにインした過度にステレオタイプな「オタク」を演じる警備員の絶妙な間の取り方、「とはいえとはいえ〜」「一体どこにいるのやらキョロキョロ」といった「オタク」特有の台詞回し、腕の動かし方や落ち着きのない仕草

          コント『サークル』 Conva

          『うれしい悲鳴をあげてくれ』 感想

          今回は3ヶ月くらい前に読んだ『うれしい悲鳴をあげてくれ』という短編集エッセイ・小説集について紹介します。 興味ある方は読んでってください! ロックバンド、スーパーカーの作詞・ギターを担当し、現在は作詞家兼音楽プロデューサーのいしわたり淳治の短編エッセイ・小説集。 収録されているエッセイや小説のほとんどは音楽の話ではなく、いしわたりが世の中をどのような角度で見ているかという話。 さすが作詞家というだけあって言葉の選び方、物事の捉え方、どれをとっても面白いし、参考になる。

          『うれしい悲鳴をあげてくれ』 感想

          音楽のアングル:Múm『Finally We Are No One』

          世の中には様々な音楽があります。 ポップス、クラシック、ロック、ジャズ、ヒップホップなど好きなジャンルは違えど多くの人が何かしら好きな曲やアーティストがあることでしょう。 ただ僕はよく感じます。この国で流行している音楽は幅が狭くて、しかも流行ってないものしかみんな聴かないのだなと。 もちろん好みは人それぞれ、それは全然構わないのですが、例えるならみんな綺麗な湖しか見てないんじゃないかと感じます。 「こっちを向くと海もあるし、池もあるし、山もあるよ!」いろんな美しさに触れてほ

          音楽のアングル:Múm『Finally We Are No One』

          月末映画紹介『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』『愛なのに』

          久しぶりに映画について書きます。 お時間ある方は是非。 狂気の並行世界を生きる 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』 量子力学には並行世界という概念があります。並行世界(=パラレルワールド)は今僕たちが生きている宇宙とは似て非なる無数に広がる別の世界のことです。 僕たちは常に大なり小なりありとあらゆることを選択しています。どんな仕事をして、休日はどこで何をして、誰と人間関係を築くか、そういう日々のありとあらゆる選択の積み重ねで、人生が作られ世界が作られ

          月末映画紹介『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』『愛なのに』

          純粋な感情は今もずっと変わってない(のに?)

          4月は毎週noteが書けそうだと言っておきながら結局全然書けなかった… もう予告はやめよう… アカデミー賞について書くと言ったけどもうそんな時期でもなく、書こうと思ってたことは別のタイミングで書きますね。 さて、本題に。本題というほど大した話ではないのだが、ちょっとぼんやりと最近思ったことを書きたいなと。 20年ほど前にスーパーカーという日本のバンドがいた。97年にデビューして2005年には解散しちゃった短命のオルタナティブ・ロックのバンド。 今は作詞家として活躍してい

          純粋な感情は今もずっと変わってない(のに?)

          アカデミー賞総括① ウィル・スミスビンタ事件と『最後の決闘裁判』

          長いこと仕事が忙しく、noteが更新できませんでした。 4月は少し余裕がありそうなので、毎週書いていこうと思います。 今回から3週かけてアメリカのアカデミー賞について個人的な感想を書いていこうと思います。 本当なら、受賞作についてだけ書いていきたいのですが、受賞作の栄誉を覆い隠すほど盛り上がってしまったウィル・スミスビンタ事件が起きてしまったので、それについて触れないわけにはいかないでしょう。 絶対に許されない暴力かなり話題になっているので、ほとんどの人がこの事件を知って

          アカデミー賞総括① ウィル・スミスビンタ事件と『最後の決闘裁判』

          なぜゲームの実写化は失敗してしまうのか?

          ゲーム誕生から一貫して失敗し続けるゲーム実写化『バイオハザード: ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』を映画館で観てきました。厳しい映画でした。あまりの厳しさにお手本のような苦虫をすり潰したような顔をしながら映画を観てしまいました。 思えば、ゲームの実写化というのはほとんど上手くいっていません。 古くは『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』『ストリート・ファイター』、21世紀に入ってからもミラ・ジョボビッチ主演『バイオハザード』『サイレントヒル』『トゥームレイダー』『モンスター

          なぜゲームの実写化は失敗してしまうのか?

          『フレンチ・ディスパッチ(略)』の話 

          ウェス・アンダーソン監督の最新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』を鑑賞しました。 これはある視点から見れば、ここ数年で最も素晴らしいと思える映画でした。 ウェス・アンダーソン監督は、アメリカの映画監督で『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』(2001)『ダージリン急行』(2007)『ムーンライズ・キングダム』(2012)『グランド・ブタペスト・ホテル』(2014)『犬ヶ島』(2018)などの作品で知られています。 計算されたシンメトリー

          『フレンチ・ディスパッチ(略)』の話