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#183 公教育の「学び」をより充実したものに

少子化が叫ばれる中

私立の中高一貫校は、学力が高い生徒の獲得に奔走しています。

より学力レベルの高い児童・生徒を獲得するために、入試問題を難しくしています。

中学入試サポートのサービスを提供する民間の塾は、その経営維持のため、その入試問題をクリアできる学力を児童につける必要がありますから、結果、学力をあげるための様々な工夫がなされます。その工夫された授業を受けた児童の学力(あくまで入試を突破する上で必要な力)はおのずと伸びていくでしょう。

教育系YouTuberで個別指導塾「CASTDICE」の塾長でもある小林尚さんはDiamond Onlineでの取材に対して次のように述べています。

「中学受験の子たちは学力も高いし、昔より難しい問題が解けるようになっている。だけど労力はそんなに変わっていない。中学受験勢がより効果的に学力を伸ばしているっていうことですよね。ということは、今までと比べてより格差が開いているのではないか?」

彼は、非中学受験生と中学受験生の「学力的な差」に対して警鐘を鳴らしています。

2023年度の東京大学の合格者数Top10の学校は10位の都立日比谷高校を除けば、全て私立の中高一貫、京都大学はTop10のうち、5校が、国公立医学部ではTop10は全てでした。

国立大学は国が設置した公教育の中での高等教育機関であり、それは公立中学高校の延長線上にあるべきものです。しかし今の現状では公教育における高等教育機関にいくためには、本来その導線にあるはずの公立中高をたどるよりも、私学中高一貫をたどる必要が出てきています。

自分の「学力」を伸ばし、より深い「学び」を求めるさい、国が設置した公の大学に、私立を経ないと行きづらいという状況には、強い違和感を感じます。

現状では公教育における教科・科目の学びの「質」が、私立学校よりも劣っていると言わざるを得ません。

私立中高と公立中高の学びの「質」は、経済格差を生み出し、結果として人々の間の「分断」を生み出します。

公教育の「学びの質」を十分に担保するような政策が早急に求められます。


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