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zaccanto:鼻歌雑記

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なんでもないありふれたできごとなどを、どこにでもいる一般人のことばで鼻歌を歌うように綴ります。
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憎さからかわいさへ《zaccanto》

憎さからかわいさへ《zaccanto》

 くそー、あいつめ。
 と、ときどき思ってしまうような人がぼくにもいる。その人に対して常は冷静なつもりだが、あるきっかけでその穏やかそうな水面がふっと怒りの沸点に達しそうなことがある。あるいは自分の中に燠のようなものを抱えていて、それが炎をあげそうになる手前でいつも抑えている。ぼくはなんとも煮えきらない生焼けの男である。
「若い頃は瞬間湯沸かし器と呼ばれた」ことを武勲のように話す老人を何人か見たこ

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追悼をかけて《zaccanto》

追悼をかけて《zaccanto》

 長女がアレクサにかけてもらいたい曲があるのに、なかなか思った曲をかけてくれず、迷曲ばかり流れるので、見かねた妻がキッチンカウンターの向こうから、
「アレクサ、つぅいとうをかけて」
と言った。
「?」
ぼくはノートPCを開いて仕事をしていたが、思わず顔をあげて、右手はマウスを脱マウス。すると、
「Amazonミュージックで、つばめを再生します」
とアレクサ。
 これぞ娘が求めていた曲! だが、なぜ

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ただ、しぶといばかりの広告《zaccanto》

ただ、しぶといばかりの広告《zaccanto》

 どうも、おれは世の中に不平不満ばかり持っているのかと自問自答中の非生産的なクリエイターです。
 さて、みなさんそうかもしれませんが、乗り物に乗るとつい広告に目がいきます。
 きょう子どもを膝に抱きながら地下鉄に乗っていて(水族館帰りでたいがい疲れていた)、ふと前を見ると、「レトロ婚フェス」を謳った広告が目に入りました。最近何かとレトロなものが尊ばれているようですが、ついに冠婚葬祭業界にもレトロが

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モチベーショナルスピーカー《zaccanto》

モチベーショナルスピーカー《zaccanto》

 noteやInstagramを地味にやっていると、ときどきこの人はなんで自分の投稿に「いいね」してくれたんだろうと思うことがある。
 先日、noteでまあまあ字数のある記事を投稿したら1秒くらいで「いいね」してくれた人がいて。そういうことがあるとぼくの場合、読んでないのに「いいね」したよね、と思ってしまう。好意的に、手が滑って「いいね」したんだね、と思う人もいるかもしれない。
 それでも、やはり

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着信したような感じ《zaccanto》

着信したような感じ《zaccanto》

 毎日、ズボンのお尻側の左のポケットにスマホを入れている。それはスマホ以前の携帯電話時代から変わらない。なぜ左かといえば、携帯電話をはじめて持った大学2年の頃には既にお尻側右ポケットには財布が入っていたからである。右側ポケットに財布が入っていたのは、自分が右利きだからにちがいない。
 ズボンの前側ポケットには、部屋の鍵や小銭やレシートは入れても携帯電話を入れたことはない。前側ポケットは腰掛けるとき

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