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三種類の「次の仕事へ続く道」

働く上で、仕事には三つの種類があるのではないかなと思います。


1つは、「次もあなたじゃないといけない仕事」

2めは、「次はあなたじゃないほうがいい仕事」

3つめが、「次があなたじゃなくてもいい仕事」。

です。


例えばとても気に入った髪型にしてくれる美容師さんがいるとして、自分自身は今後もそのヘアスタイルを維持していきたいと思ったらどうでしょうか?
 髪の毛を切っている作用点にあるのはハサミの刃ですので、カットという仕事はハサミがしている、人は誰でもいい、と言えるかというと、実際ほとんどそうはいかず、この場合は「1ー   次もあなたでなくてはならない」にあたるのではないでしょうか。

世の中にはまた、連続で仕事を依頼すると新鮮味を損なう職能も存在します。例えば広告代理店はあらゆるクライアントのために次から次へと同じ女優を起用することはできません。同じ企業のコマーシャルでも、永遠に一人のタレントを起用することはできないのです。ということはタレントを職業にしている人は「2ー   次はあなたじゃないほうがいい」にあたる仕事と言えるかもしれません。

そして例えば、友人は東北の専業農家なのですが、なにぶん雪の深い地方に暮らしているので冬の間は高速道路で除雪作業車に乗っています。職能的な除雪作業の作用点は機械ですので基本的には別の人も大型免許を持っていれば、自分の子供が仮に熱を出したら、違う免許保有者に交代してもらったとしても、仕事そのものには支障が出ません。これは上に挙げた種類で見ると、に該当しそうです。


僕はこれを、1は職人、2は芸術家、3は企業の仕組みではないかなと思っています。そして面白いことにどれも自分の持ち場から離れなければ、持ち前の能力で仕事をしていくことができます。しかし仕事人として難易度が上がるのは自分の属している仕組みと別のどれかを掛け合わせようとした時です

例えば企業型(3)の経営者が顧客から(1)の様に信頼される、必要不可欠な存在になりたい、と願う時、大勢のライバルのいる中その経営は難易度が増す様に感じるはずです。一方で(1)に身を置く職人が収入を下げずに空き時間を作りたい、クライアントの期待を裏切ることなく(3)の様に誰かと交代して、別のことに充てる時間を捻出したい、と考えるときその難易度は上がります。そして(2)に該当する人たちが(1)の様に絶えず仕事が舞い込んできてほしいと考えた時、少なからずそうできない人たちが出てきます。


この様にそれぞれの職業がどの様な性格を帯びているかということは考えてみると面白く、その中で生き残っていくこと、ましてや「組み合わせる」ということはあらゆる仕事の人たちにとっても「離れ業」と呼べるべきことで、全ての仕事に従事する人たち、経営する人たちを、あらためて僕は非常に尊く思います。


( 文・西澤伊織 / 画像・無料イラストAC )


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