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エッセイ

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#小学生

初孫(酒ぶたの思い出)

初孫(酒ぶたの思い出)

小学3、4年生のころ、学校が終わると、近所の酒問屋にまっすぐ向かっていた。

酒問屋の敷地には酒の空き瓶のケースが山のように積んであり、毎日のように友達とのぼってお宝を探していた。お宝というのは酒瓶のふたのことだ。

空き瓶のなかにはふたが残されたままのものがあり、ふたをもらってコマのようにして遊んでいた。学校で友達とどちらが長くまわしていられるか勝負するのが流行っていた。

酒ぶたの底はぺたんこ

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上様(父の思い出)

上様(父の思い出)

むかし、父が経営していた会社の近くに「日本海」という日本料理店があった。瓦屋根の4階建てのビルで、1階から3階までが店舗だった。

20年以上前につぶれて、いまは居抜きで韓国料理店になっている。国籍は変わったが、韓国だと瓦屋根でも違和感はなかった。

小学生のころ、父がよく「日本海」に連れていってくれた。両親は別居しており、私は母と暮らしていたが、父は月1回のペースで、なにかと理由をつけてごちそう

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星の王子さま(図書係の思い出)

星の王子さま(図書係の思い出)

小学5年の2学期に入ってすぐ、班替えがあって島田さんと同じ班になった。男子2人、女子3人の班で、班長は私だった。

学活のとき、どの班がなんの係活動をするのかを決めることになった。
まず班ごとに話し合いが行われ、私は班員に「お楽しみ係がええんじゃないん」とすすめた。お楽しみ係とは、お楽しみ会を企画・運営する係で、男子のあいだで人気があった。

「読書の秋じゃけ、図書係にしようや」

さっそく島田さ

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