「うやまわんわん〜犬将軍を崇める一族〜」第四章 東武動物公園(その2)
父親のことで同情しているのか、狛音は鮪吉くんをいっさい責めなかった。
片や浮気、片や仕事と、原因はちがっても、家族のもとを離れていく父をつなぎとめたい気持ちは一緒なのかもしれない。誘拐騒ぎまで起こすなんて、僕には理解できないけれど。
僕の思いを感じとったのか、帰りの電車のなかで、鮪吉くんはずっとよそよそしく、僕を避けているようだった。
狛音が鮪吉くんを家まで送っていくというので、館林駅の改札口を出たところで僕らは別れた。
うしろ姿の2人は手をつないでいたが、往き道ではドッ