随筆（2020/6/25）:得られなかったものへのこだわり、毎日腹を立てたり胃袋を焦がしたりしてまで、こだわらない方がいいんじゃないかな

青春を取り戻そうとしている人たちのことを考えると、
「ふつうの人なら得られたはずの幸せ」
「そういうものを得られていない、自分の異常さに対して、自分でおぞましいと思う」
みたいな概念を抱いてやっている人もかなり多いと思う。
というか、私がそういうあれだった。
（『機動戦士クロスボーン・ガンダム』のクラックス・ドゥガチのジジイよりみっともねえこと言ってるよな）

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だが、その考え、きりがないからやめた方がいいですよ。

実は、それ、最終的には
「総理大臣になって勝ちまくりモテまくりをやれてないやつは人間として足りない」
「違うというなら出世欲も金銭欲も色欲も捨てろ」
「そして、そんなものを捨てられるようなやつらは、端からふつうではない」
「要するにそいつらは詰んでいるのであり、呪われている存在なので、あるがままに、呪い、あれかし」
「ワシはタラフク食ってるぞ。ナンジ狂人、狂い死ね」
というところまで行き着くんですよ。
（画像は有名な『勝ちまくりモテまくり』の広告）

「んなアホな」
うん。
そういう、「ふつうの」欲には、かなり多くの場合、きりがない。
だから、これ、認めたくはないだろうけど、多次元的かつ網羅的な意味で、完全に上位互換の「ふつうの、しかし、きりがなくなる、欲」の話に他ならないんですよ。

そして、これ、ふつうは、達成出来ない。
達成した瞬間、「こんなんじゃ足りない」になるからだ。
しかもそれは、下手すると「常に」だ。
そのうち、その要求水準は、多くの人には達成不可能なレベルになっていく。

んで、そんな「ありふれてはいる」が「きりがなくなっていく」高望みを、ふつうに達成出来ないからって、そこで気を病んだら、それこそきりがなく心を病んでいくだけなので…

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「欠けているから欲しい」
というのは避けがたいし、それが人を動かすのだが、
「欠けている」
ことにそこまでこだわって負の感情を抱くの、やめた方がいいですよ。

それは、「やむにやまれず」という側面ももちろんあるでしょうが、「得られなかった自分が可哀想だ」とか「得られなかったら自分が可哀想だ」とかが含まれていないか。
だとしたら、それは「あえてのおこだわり」であり、実は気負わなければ直ちにやめられるものだ。

え？ 「正当な怒りだ。誰がやめるかバァカ」？
でも、その正当な怒り、やればやるほど自分が腹立たしくなるだけなので…
少なくともASD的感情突破術で言えば「正当だろうが何だろうが、腹が立つし、損もするから、やめたらどうか」で終わってしまう案件ですね。

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損をする？
そうなんですよ。
そんな精神だと、万一得てももらっても文句言うことになるし、じゃあくれた人は舌打ちの一つも出るし、そもそもそんな文句垂れにあげたくないじゃないですか。
まあ、「しょっちゅう素晴らしいものをもらえて、あげられるものをあげる人」と、「単にもらえない、あげたくならない人」を比べたら、「単にもらえない、あげたくならない人」、長期的には明らかに損ですよ。

それに、これには、恐ろしい話があります。
自分があげられるものをあげるんじゃなくて、自分が何もしてやらないことに腹を立てた周囲が、自分を殴り倒して「いいから渋った分ノシつけて寄越せ」と財布をひっくり返してくることがあるんですよ。
そして、これは制裁的に奪われているのだから、誰も助けてはくれない。フリーライダーへの制裁なんだから、止めたら場は枯渇するに決まってる。ふつう、誰も止めはしない。
つまりは、ただ損をするのではなく、暴力的な害を伴う損になる訳だ。
こんなもん嫌に決まってる。
制裁的に奪われるのでなく、あげられるものをあげるのは、自分で品定めが出来る余地が大きいし、傷も少ないか、傷ですらないレベルに収まるから、そこはかなり大きな違いですね…

そう考えると、自分の振る舞いのせいで「単にもらえない、あげたくならない人」になるの、自分自身への損も害も大きい。

あと、
「自分は報われていない、だから報われると有難い」
という感情はともかく、
「自分は報われていない、だから報われるのはおかしいし、報いるやつは異常者だし、報われても何のリアリティもない」
というの、魔だし、ますます他人が報いなくなるから、やめた方がいいですよ。
そりゃそうだ。優しくしたら異常者呼ばわりされたのだとしたら、こんなもんスゴイ・シツレイだよ。
（あるやつだし、もちろんたいへんよく分かるやつではあるのだけど、スゴイ・シツレイであることに何ら変わりはないので…）

そんな感じですね。