伊野尾宏之

東京・中井にある本屋「伊野尾書店」の店長です。 仕事を通じて思ったこと、昔あった出来事…

伊野尾宏之

東京・中井にある本屋「伊野尾書店」の店長です。 仕事を通じて思ったこと、昔あった出来事、過去に書いた文章、いろんなものを載せていければと思っています。プロレス多め。 https://twitter.com/inooshoten

最近の記事

1980年の長渕剛

音楽プロデューサーの新田和長が最近新潮社から出した『アーティスト伝説』という本の中で、新田氏がデビュー直後の長渕剛を担当したときの話が出てくる。 長渕が事務所と契約して初めて出たコンサートは吉田拓郎が愛知県の知多半島沖にある篠島という島で開催したオールナイトコンサートだったそうで、2万人くらい来てた観客の前に吉田拓郎の前座として若き長渕は出ていった。 ファーストアルバム「風は南から」をリリースした直後で、関係者は「巡恋歌」を名曲だ!これは売れるよ!と絶賛しながら実際にはそん

    • DDT8.25後楽園ホール大会雑感

      7月の両国が終わって一発目の後楽園大会。 高木さんが試合に出なくなり、入れ替わるように飯伏さんが戻ってきて、「いつでもどこでも挑戦権」が復活。 DDTの新シーズンが始まりました。 <8月23日時点のいつでもどこでも挑戦権保持者> 高梨将弘(青)、KANON(黒)、中村圭吾(水色)、勝俣瞬馬(白) 飯伏効果か、後楽園ほぼ超満員。 新日本時代のTシャツ着た方もチラホラ見かけました。 あとたまたまかもしれませんが、今日は観客に外国人の方が多かったです。 ○オープニン

      • G1クライマックス34優勝決定トーナメントファーストステージ

        竹ちゃんの長くて短い夏が終わりました。 「決勝トーナメント初戦敗退」って完全に予想した通りなんだけど、公式戦からずーっと追ってきて見てるとやっぱり悔しいね。 竹ちゃん、泣いてるよ。 「俺がストロングスタイルのメシア」とかいろいろ大きいこと言ってたけど、まあやっぱり優勝したかっただろうし、悔しかっただろう。 あれだよ、「FIRST SLAM DUNK」で超高校級の選手と言われた山王工業の沢北が「俺に必要な経験をください」と神社でお願いして、そのあと湘北に負けてしまうやつ

        • 8.7新日本プロレス「G1クライマックス34」後楽園ホール大会雑感

          竹下幸之介が出るG1ならなんとしても見に行かないといけません。 というわけで34回目のG1クライマックス中盤戦後楽園ホール大会を見に行きました。 G1の時はだいたいそうですが後楽園ホール超満員。熱気が熱い!(←重複表現) DDTのおだやかな空間に慣れきってると、新日本の観客の熱さにいつも圧倒される。 売店に普通に棚橋社長がいてファンとしゃべってて、「え!」と思ったけど開始ギリギリだったのでスルーしてしまった。 第1試合 タッグマッチ SANADA&TAKAみちのく vs

        1980年の長渕剛

          映画「マミー」

          渋谷シアターイメージフォーラムで映画「マミー」見てきた。 和歌山カレー事件の林真須美死刑囚の家族を中心にしたドキュメンタリー。 ドキュメンタリー映画は題材を見れば「だいたいこんな映画かな」と想像がつく。「それは知らなかった」という証言やエピソード、印象的な場面は出てくるが、おおまかには想像を超えることは少ない。 が、この「マミー」は超えてきた。 びっくりした。 途中からずっと緊張して見ていた。 緊張するのは「え…こんなことカメラの前で言っていいの…?」という話が出

          映画「マミー」

          7.21DDT両国大会「WRESTLE PETER PAN 2024」雑感

          DDT夏のビッグマッチ「レッスルピーターパン」両国大会。 過去大田区総合体育館で開催したこともあったけど、やはり両国国技館というのは特別な感じがあります。 国技館、入場ゲート側を潰してるものの客席はほぼ埋まってる印象。 エル・デスペラードのTシャツ着た人を多く見ました。 ○オープニングマッチ 30分一本勝負 中村圭吾&石田有輝&須見和馬 vs 夢虹&高鹿佑也&イルシオン DDT若手の…というくくりの6人タッグではあるが、そろそろこの中から上に行く人が欲しい。 夢虹く

          7.21DDT両国大会「WRESTLE PETER PAN 2024」雑感

          7.1GLEAT TOKYO DOME CITY HALL大会を見る

          YouTubeでライブ配信していたGLEAT TOKYO DOME CITY HALL大会を見る。 思ったより見どころ多かった。 (途中から) カズ・ハヤシ引退試合 ■G PROWRESTLING【タッグマッチ】 G-INFINITY選手権試合 《王者組》カズ・ハヤシ & CIMA vs 石田凱士 & 井土徹也《挑戦者組》 ※王者組5度目の防衛戦 カズ・ハヤシ引退試合。 カズの思い出は「武藤全日本でがんばってたなあ」というぐらいで、個人的にはそんなにない。 一番の功績は

          7.1GLEAT TOKYO DOME CITY HALL大会を見る

          6.21みちのくプロレス後楽園ホール大会雑感

          獅龍引退と、みちのく新章を見に行ってきた。 今回の雑感はセミファイナルとメインイベントだけです。 セミファイナル 獅龍引退試合 獅龍、ディック東郷 vs ザ・グレート・サスケ 、新崎人生 カズ•ハヤシが7/1のGLEAT TDCホール大会で引退するのを前に、古巣のみちのくプロレスで組まれた獅龍引退試合。 1993年から1997年くらいのみちのくを見ていた人のためのようなタッグマッチ。 獅龍を見るのはいつ以来だろう。 一時期(10年くらい前)、みちのくやK-DOJOが9

          6.21みちのくプロレス後楽園ホール大会雑感

          村瀬秀信さんインタビュー 後編(全2回)

          村瀬秀信さんインタビュー 後編(全2回) 【後編 フリーライター】 ―フリーのライターというのは、仕事は自分で探してとってくるようになるんですか? 「最初は知り合いの編集者が仕事を振ってくれていました。でも野球の記事なんか全然やれない。 初めて野球のことを記事にできたのは、フリーになって2年目の2004年、球界再編の時ですよ。 これは『止めたバットでツーベース』にも書きましたけど、(横浜)曙町に『合併反対』の署名運動をやってるヘルス(風俗店)があったんです」 ─ああ

          村瀬秀信さんインタビュー 後編(全2回)

          村瀬秀信さんインタビュー 前編(全2回)

          村瀬秀信さんインタビュー 前編(全2回) 野球ならびにチェーン店グルメなどをテーマにした著作を多数出されているライターの村瀬秀信さんとは、10年以上前から交流があります。 『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』文庫版ではベイスターズファンでもないのに解説文を書かせていただきました。 村瀬さんとお会いすると、出した本に関する話や、取材を進めている現在執筆中の本の話が中心になるわけですが、その中に挟まれるご自身の昔話に「えっ!?」となる話がちょいちょい出

          村瀬秀信さんインタビュー 前編(全2回)

          5.29全日本プロレス後楽園大会雑感

          久しぶりの全日本プロレス。 しばらく見ないうちに闘魂スタイルの人はいなくなっており、#ゼンニチ新時代 がやってきてました。 後楽園ホール、平日でもぎっしり超満員。 さらに観客が最初から出来上がってて、ちょっとしたことで沸く!すぐ沸く! 全日本、いつのまにこんなんなったの? ちょっと前までタイトルマッチの大会でも空席あったのに…。 進化がすごいなあ。 第1試合 タッグマッチ 30分1本勝負 芦野祥太郎 綾部蓮 vs 大森北斗 羆嵐 綾部が全日本に入団したのは聞いてたが、

          5.29全日本プロレス後楽園大会雑感

          曙の本当の全盛期をあなたは知らない

          曙太郎が亡くなった。54歳だった。ずっと前から闘病生活していると聞いていたが、報道によれば7年だったという。 本人も、周りもずっと大変だったと思う。 曙といえば大相撲、横綱のイメージだろう。 日本の伝統的な、縦社会の格闘技ともスポーツとも神事とも違う独自の競技に異国のハワイからやってきて入団、横綱(第64代)に登り詰めた。 引退後は曙親方として後進の指導に当たっていたが、K-1石井館長の説得で総合格闘技に転身。 2003年大晦日に当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったボブ・サップと格

          曙の本当の全盛期をあなたは知らない

          映画「アイアンクロー」

          映画「アイアンクロー」見てきた。 1960年代から70年代にかけてアメリカのプロレス界で大スターだったフリッツ・フォン・エリック。 片手でリンゴをつかめばたちまちジュースに変える(出典:「プロレススーパースター列伝」梶原一騎)驚異的な握力を使って相手の顔面を締め上げるアイアン・クローを得意技にし、エリックに締め上げられ脳波が狂ったレスラーは枚挙に暇がないという(出典:同上)。 そんなエリックは家庭を持つと五人の息子に恵まれた。 長男のケビン(※その上に幼くして亡くなった本当

          映画「アイアンクロー」

          3.17DDT後楽園ホール大会雑感Judgement2024〜旗揚げ27周年記念大会5時間スペシャル〜

          DDT旗揚げ27周年記念大会は去年に引き続いて、後楽園ホールを昼夜貸し切っての5時間大会。 14時から始まって終わったのが19時40分くらいだったので結果的には5時間40分興行だったんですけど、休憩が2回あって、デスマッチの準備とかいろいろ隙間休憩みたいなのもあったのでそこまで「長いなー」という体感はありませんでした。 あ、7月の両国大会にエル・デスペラードが出るそうです。対戦カードは追って発表。 仲のいいクリスと組みそうな予感。 ○オープニングマッチ “インターンレスラー

          3.17DDT後楽園ホール大会雑感Judgement2024〜旗揚げ27周年記念大会5時間スペシャル〜

          「スルーロマンス」

          「スルーロマンス」冬野梅子(1~3巻、以下続巻 講談社) スタッフさんから借りて読んだ。そのスタッフさんは誰だかのSNSで紹介されてたのを見て気になって買ったらしい。 そしてそういう作品はえてして講談社には在庫が薄い。 そんな2024年のコミック事情はさておき。 同時期に失恋したことがきっかけで、ゆるやかな同居生活が始まる32歳のマリと翠(みどり)の物語。 マリは美人。ずっと舞台俳優やってきて、映画も端役で少し出たことがある。 最近オファーが減ってきて、本人は「見きりをつ

          「スルーロマンス」

          「漫画村の真相」星野ロミ(ベストセラーズ)

          ご存知漫画村を作って逮捕された人の手記。 そうです、もう出所してます。 2022年11月出所。逮捕が2019年7月、実刑3年。 罪状は著作権法違反ならびに組織犯罪処罰法違反なので、海外で逮捕されて極悪人みたいに報道されましたが罪としてはこんなものかもしれません。  前半部は自身の半生が語られます。 イスラエルとドイツの二重国籍を持つ父親と、日本人の母親の間に生まれ(「ロミ」は本名)、東京の立川で生まれ育ったこと。 中学受験して東京電機大学付属中学という私立中高一貫校に進学。

          「漫画村の真相」星野ロミ(ベストセラーズ)