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12時



   勘違いから生まれた幸せだって
   星よりも ちょっとだけ明るく
   灯すことにした、この手の中に
   雪になって降る空からの視線、
   指先で融けて、消えたあとにも
   目映い光が僕の肌を流れてゆく
 
   遠くから わかりますようにと
   願って心を 明るく引き裂いた
   夜の残光がどこかで 溶かれて
   絵筆と共に滑り降りた滑走路を
   愛と呼ぶ、僕が信じてしまった
   詩をまた疑ってあげられるなら
 
   見上げて、いつか地面を蹴って
   空へ流れた視線を追いかける、
   見つめた真昼の星に舞い落ちる
   雪になって 帰って来なかった
   遠い昔のあなたが 戻って来る
   この季節、光の中で立ち止まる
 
   誰に 教えられる こともなく、
   とうめいな水になり、目の中に
   あふれていた秘密だけを持って
   生きたかった、もう一人の影が
   重なる、身体は砂にどこまでも
   溶けて、照らされた海の匂いと
 
   口にしてはいけない真実たちに
   まもられた呼び名で振り返る、
   待ち合わせのように、手の中で
   鳴っている鍵の感触、光の渦、
   サイレンスの小箱で生きて彩る
   優しさや保身、わけあった花弁






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