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読み書きが苦手な子ども達へのICT支援

こんにちは。NPO法人日本インクルーシブ教育研究所の石井です。先日、第7期学習・発達支援員養成講座の動画視聴講座『読み書きが苦手な子ども達へのICT支援』が終わりました。

講師は学びプラネット合同会社代表 平林ルミ先生でした。平林先生は、学習に困難のある人へのテクノロジーを用いた読み書きの指導法を開発され、学習障害のある子どもたちのための新しい学び方を発信されています。

では受講生からいただいた感想を紹介します。

・昨年度5年生の担任をしていた際、読み書きが苦手なお子さんを担任いたしました。ICT機器が読み書きを軽減することはわかっていましたが、どのように取り入れればいいのかわからず、十分な指導ができませんでした。本日の平林先生のご講義を受け、ICT支援の在り方を具体的に理解することができました。子どもたちが中学生になった時、動画の中に登場した中学生のように授業を受けたり、テストで本当に力を発揮できるようICTの活用を進めていきたいと思います。学校現場では、読み書きが困難なお子さんをもつ保護者にお子さんの特性や学校の考えを理解していただくことが一番の課題となっております。保護者にお子さんの特性や合理的配慮に提案をするときのポイントがありましたら、教えていただきたいです。よろしくお願いします。【教員】
平林先生からの回答:障害特性にフォーカスして保護者の方に伝えようとすると障害がスティグマと感じられる場合には受け入れが難しくなります。障害特性ではなく、そのお子さんが学校の中で経験しているバリアを具体的に共有し、そのバリアを軽減するための工夫とセットでお話すると良いかと思います。

・ICTについて詳しくないので、様々な使い方、アプリ、iPadや Windows、Chromebookの違いなどなど、盛りだくさんですごく学びの多い時間となりました。合理的配慮についての話のところで、合理的配慮をすることで学習機会を奪ってしまうのでは?というところ、正直私もそう思うところが少なからずありました。でも、平林先生が、字の書けない子をこのまま放置しても書かないこと、バリアを見る視点が大事ということを話してくださり、納得し、自分の考え方の間違いに気づけました。今は小学校でも、1人一台ずつタブレットが配られ、使用していると思いますが、学習に困難さを感じている子どもたちにうまくタブレットのよさを感じさせたり、使いこなせるようにするためには、まずは教える側がしっかり使いこなせる知識も必要なので(特に小学生などの小さい子には、大人が教えてあげないといけないと思います。)、大変だなとも思いつつ、でも実現できれば、どの子も平等に学習できる機会ができるので、とてもよいことだと思います。これからは、今以上もっとICTを活用した学習が増えていくと思うので、自分の知識も遅れを取らないよう学んでいきたいです。毎回講師の先生方から様々なことを学べて楽しいです。今回の学習内容は、自分の苦手なICTでしたので、知らなかったことを知れた喜びと、情報の多さに少しパニックになったりとしましたが、とてもよい時間でした。ありがとうございました。【児童指導員】

・タブレットが学校に導入されました。使わないと宝の持ち腐れになる、とか、使えない指導者は肩身が狭い、など、焦って、とにかく、得意な先生がしていることを習ってしてみたり、できそうなことをしてみたりしていました。特性を把握するためにアセスメントし、子どもが自信をもって、自分に合う使い方ができるようなタブレット活用ができればと思いました。新しいアプリは、入れてはいけません。この子が、自分で乗り越えるために必要なものが、使えない状況があります。声を出して声を上げて、社会を変えなければならないんだとあらためて感じました。何が有れば生き生き学習できるのか、どういう強みをもっているのか、明確な視点をもち、タブレット活用ができるようにしようと思いました。【教員】

・障害者差別解消法が施行され、タブレットが一人1台用意されたのですから、すぐにでも社会的モデルを配慮のあるものに変えることが出来るはず。それには合理的配慮の誤解を解くこと、学校現場の大人がICTとはどんなものか、どんなことができるかを知ることが大事だと思います。「読み書きが苦手なのではなく、パソコンが得意なのだ」という言葉が印象的でした。恥ずかしながら私は今迄「読み書きそろばん」は学習の基本で学習障害を抱えている子に少しでも覚えて欲しいと考えていましたが、得意な事を見つけてあげるほうが支援になると考えるようになりました。【放課後児童支援員】

・私は、インクルーシブ教育を学ぶまで、学校教育の中での合理的配慮は、特別扱いになるのではないかと感じていたこともありました。自分自身も、子供の頃、学校で皆と同じように授業を受け、テストも同じように受けるといった社会モデルが当たり前のように思っていましたが、今回このインクルーシブを学ぶことで、その子に合った支援を与えることが私たち支援員の役目だと思いました。【ふれあい推進員, 学習サポーター】

・今回の資料も永久保存版になりました。通常級のうちの子にと、さっそくクロムの音声読み上げ、音声入力を一緒に試してみました。ほー、便利〜と、うちの子もお気に入りで全ての子に知ってもらいたい機能だと思います。事例で話された生徒さん...パソコンのうまい人と思われるようになろうと語られていました。あれだけ使いこなせてたらカッコいいですよね。こんな子がたくさん増えて自由にパソコンを駆使できれば新しい日本がつくれる、そんな大きな期待をしました。合理的配慮はあらかじめ答えがあるわけでなく、生徒さんや先生が悩み挑戦しながら自分に合った方法を見つけ出されてるのですね。せっかく与えてられてるタブレットを無駄にしないよう、全ての子に使いやすく自由に使えるように広げれたらと思います。【保育士, 補助員】

・実践の説明を中心に、おすすめアプリや端末ごとの特性を踏まえた解説をしてくださいました。今の世代は使いこなせそうですね。せっかくタブレットが配布されていますが、タイピングが苦手でこの使い方まで把握できていなかったので非常に参考になりました。消したいところがすぐ消せる、大きくできる、もっと自分でも使いながらいろんなやり方のストックを持っておくことだけで十分よさそうだということも理解しました。その後選ぶのは子どもたち、もうそんな時代が来て、実際動いている学生さんの説明を聞くことができたのも貴重な参考資料となりました。その学生さんにもお礼を言いたいです。いいことは惜しみなく広げる、使う。そんな視点を改めていただきました。ありがとうございました。【学童スタッフ】

・今回の動画はタブレットの使い方教室のようで自身の使える機能が増えそうです。忘れないうちにやってみようと思っています。我が子が小学生の時にタブレットを使っているクラスメイトに対して「あの子だけずるい」と言ったことがありました。コロナからタブレットの使用が始まり、目立つことも無くなっただろうと思いますが、読み書きに困難のある子への配慮としてのICTでなく一斉に与えて、その後自身で使い方を選んでいく方法だと必要な子が時間のかかる申請なしで使えて良いと思いました。ただ、今の我が子の持ち帰ってくるタブレットの制限だと何もできませんが、これから良くなっていくと良いです。【子育て支援センター職員】

・障がい特性のある子ども達に、大人が判断し与えるのではなく,子どもに複数の学びの選択肢を与え、見守ること。その子が必要とする支援を自発的に選ぶ能力があるということ。この指摘は、大いに考えさせられました。子どもは直感的に自分の欲する学び方を選んでいるという指摘であり、子どもの声に耳を傾けること、その子の困難性を克服するための提案がどれだけできていたのだろうと、反省しました。教師自身が合理的配慮の具体についての引き出しをもっていません。特にICT活用教育が全国に行き届きましたが、それを運用する教師自身のスキルの脆弱さと、合理的配慮への誤解や無知が存在しているのは確かです。自治体によっても学校によっても、教師によるICT格差が生まれています。結局多くの教師は、自分流のやり方に固執し、多様さに対応できないための一斉指導しかできない状況に追い込まれているともいえます。3つの端末のよさと課題、特別支援に係る効果的な機能についての認識が持てていないし、自分自身はじめて学ぶことができました。教師側の考えや態度が、多くの障がい特性による困難さを抱える子ども達の学びを広げるのか、狭めるのか。教師の役割は大きく、力量を広げるために、ユニバーサルデザインとしての機能を使えるICT機器を使いこなせる教師支援が必要であると強く感じました。そのことが、個人モデルから社会モデルへの転換を図る近道ではないでしょうか。後輩のために、自分の取組んできた合理的配慮をビデオに撮り、紹介してくれた子どもの思いに感動し、合理的配慮としてできることを共に考え試行錯誤できる伴走者でありたいと強く思いました。発達学習支援員として、ICT教育における子どもに必要となる合理的配慮のマッチングについてさらに知りたいと思いました。参考になる動画や文献があればご紹介いただきたいです。【不登校教育支援センタースタッフ】
平林先生からの回答:以下、おすすめします。
書籍『読み書き障害(ディスレクシア)のある人へのサポート入門
動画『
読み書きが苦手でも楽しく学べる ータブレットを筆記用具にして学ぶをサポートする通級指導ー
※書籍と動画の題名をクリック(タップ)すると詳細をご覧いただけます。

・内容は分かるのに、答えが書けない。思考に手書きが追い付かない。字が汚い、はみ出している、線が1本足りない、とめ・はね・はらいができていないと注意され、何度も何度も漢字を覚えるまで練習させられる。書いていると、何を考えていたか、忘れてしまう。そして書くことを諦める。息子に対して思い当たることばかりで、勉強嫌いにさせていたのは私だなと反省しました。ICTの活用については進めたいと思いつつも、どこからも情報が手に入らず、学校で配布されているものと同じchromebookを購入し、タイピングゲーム等も思い付きで試してみましたが、初期の段階で「できない・面白くない」と本人が諦めてしまっていました。。今日の研修では今までモヤっとしていたことについて分かりやすく教えていただいて、このように活用するのだと、初めて知ることができました。平林先生のHPを参考にさせていただいて、本人の気持ちを確認しながら、楽しく学べるような仕組みやみんなで学び合える場を作ることができないかどうか考えてみたいと思います。ありがとうございました。アセスメントや合理的配慮をするためにも、知りたいタイミングで知りたいことを相談できる相談機関などとの連携ができたら…といつも思っています。なかなか見つからず、リタリコ発達ナビなど、個別相談できますが、料金が高い。相談するまでの問診が長く相談するまでのハードルが高い。など、気軽に相談できる機関がありません。ICTの活用についても、もっと進んで、理解が広がってくれることを願っています。【保護者, 放課後児童支援員】

・ICT支援・・・まだまだ自身がついていってないというのが率直な感想です。支援員は職場で(小学校)タブレットを扱えず(扱う機会がなく?)やはり子どもを支援するにあたって必要な時があるので、自宅のパソコンでchromeを取り込み試行錯誤しています。様々な機能を知って、支援が必要な子どもに寄り添いたいです。公立高校入試における配慮も、興味深い数字でした。高校入試における配慮は、診断と継続的な配慮の実施が必要で、またLD対応などは小学校高学年からでは遅いという見解もあります。もっと学校現場でのアセスメントの必要性を実感します。教員は成り手不足が続いており、今後も増えることは想定しにくいと思っています。そんな中、支援員は今後ニーズが増えていくのか...今の日本の流れ、各自治体の予算などを考えると...アメリカのように、教育現場においてスペシャリストとしての支援員の役割が見直されることを願ってやみません。【特別支援教育アシスタント】

・とても良かったです。特に実際に困難を抱えているお子さんが自分で工夫して学習に取り組んでいる様子が分かり、とても参考になりました。選択できる環境を整えてあげることとそれを自分の認知特性に合わせて自己選択できるようにしていくことが大事であると思いました。日本の教育は非常に遅れているといったお話をよく聞きますが、このような講座の学習を教員、教育委員会、行政で行う必要があるのではないかとまず思いました。紙ではないデジタルなものがますます必要になっていく社会で、障がいのあるお子さんだけでなく、すべての子どもにとって必要なスキルであると思います。まずそのためには大人が教材に慣れ親しむこと、理解し、市民として訴えていくことが大事だと思います。【フリースクールスタッフ】

・読み書きが困難な子に特別な配慮をしないことが公平である、合理的配慮をすることが学習機会を奪ってしまうことになる、との現状認識が誤っているという考えに納得させられました。クラス全員にデジタル教科書を導入した研究の中で、児童がそれぞれの認知特性に合わせた機能を自発的に利用していたという結果を知り、子供たちの持つ計り知れない可能性や学習への意欲を感じ驚きました。タブレットの使用方法についての詳しい解説や動画の紹介もして下さったので、私自身パソコンやタブレットを十分に使いこなせていないという苦手意識を持っていますが、そんなことを言っていたらとても読み書き困難な子供を支援することなど出来ないと認識を新たにしました。改めて、様々な分野の方が様々な角度からインクルーシブ教育に関わり、啓蒙活動をされているのだと感じています。【言語聴覚士】

・自身がプリント主体の教育だったので、みんなが1人1台端末を筆記用具として使うことがすごく斬新だと思いました。また、端末だけにするのではなく、紙も用意しておくというのがすごくよいと思いました。わたしも紙世代で、パソコンの資料を読むのが苦手なので、仕事上の大事なことは紙を印刷するようにしています。自分で調べられる環境や手段を準備して子どもに与え、選ばせる。子ども自身が考えて自身に合った選択するということがとても大切だと思います。タブレットの使い方に可能性を感じました。インターネットを使いこなすには、正しい知識や、危険性について子どもに伝えることも必要だと思いました。【行政職員】

・合理的配慮の考え方、実践していくにはどうしていけばいいのか、分かりやすかったです。今まで学習面に関しては、あまり関わっていなかったのですが、今後自然と子ども達が自分に合った方法が見つけられる環境を作れるようすすめていきたいと思います。また、学校という環境が子ども達の学びを難しくしていること、どう関わっていけば前に進めるのか、自分に何が出来るのか考えていきたいと思います。【児童デイサービス】

・従来通りの、紙のプリント、手書き必須のやり方は、次男には非常に負担が大きく、宿題の漢字ドリル、計算ドリルに2、3時間かかっていました(先生の意図する時間の6〜8倍)。視点をジャンプさせる力が弱いため、書き写しに時間がかかりすぎて、ノートは全く取れません。今の学校はほぼ全てコンピュータで、音声で提出できる課題もあったりして、かなり楽ですが、手書きがゼロではないので、そこは今も苦労しています。講義のように、ツールやアプリを組み合わせて、皆が同じスタートラインに立てるように、学習に難しさがあることで学びを諦めなくてよいように、全ての学校でサポートが可能になるように願います。ツール、アプリはどんどん進化しますから、そういう選択肢を熟知した専門のアドバイザーが各学校に配置されて、先生と生徒をサポートするようになるといいと思います。【保護者】

・ICT教育は今の子供達にとって必要不可欠です。小学校でタブレットに向かう子供達は興味深々で、ノートに目を向けている時より、目が輝いていると思います。特に支援学級の子供達はノートに書く事が苦手です。平林先生がおっしゃていた社会モデルの視点を現場で広げないといけない、そして社会そのものが障害者の見方を変えていかないといけないということをこれから私も微力ながら貢献出来たら幸せだと思います。【特別支援教育アシスタント】

・合理的配慮はきまっているものではなく、話し合いながら見つけていくことということを大切に日々の支援に生かしていきたいと思いました。【保育士, 教育支援員】

・令和3年から市内の小中学校に一人にひとつのタブレットが配備されました。支援が必要な生徒には、とても便利になることです。それに伴い、指導支援する先生側も使い方をしっかり学んで困難にぶつかる度にクリアしていく作業が増えていることと思います。近所の教師が、仕事量の多さに対応しきれなくてくたくただと知人から聞き、支援員の必要性がより感じられました。【保護者】

・障害者差別解消法が施行されても、社会の理解が追いついていないというのが現状です。学校現場において合理的配慮を提供する際の懸念事項として「他の子どもとの間に不公平が生じるのでは?」に対して、「不公平は生じていい」という回答は心強い言葉でした。ビデオを作ってくれた中学生には感謝ですね、困難を抱えている子どもたちにとって良いモデルケースになりますから。一市民として、支援員として学校のキラールールを変えていくために声をあげていくことが必要だと感じました。講座の内容がどう支援したらいいか、など具体的に突っ込んだ内容であれば良かったと思います。【保護者】

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10/16オンラインライブのご案内です。講師は文部科学省特別支援教育調査官の加藤典子先生です。子ども達が上手くいくときはどんな時なのか?そして子ども達はどんなサポートを必要としているのか?子ども達と教師と保護者をつなぎ、誰もが教室で幸せでいられるヒントをお話くださいます。詳細はホームページからご覧ください。NPO法人日本インクルーシブ教育研究所

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