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稲本稲三
2021年7月31日 00:28
「何度も検査したんだけど、あのね、美久、お腹に赤ちゃんがいるみたい」美久の声は震え、溢れ出しそうな涙を堪えている。拓朗は、目に映るもの全てが、一瞬だけ歪んで見えた。家族4人が集まる食卓も、開けたばかりの缶ビールも、手を伸ばせば伸ばすほど、消えてなくなる気がした。普段から美久は、何か困ったことがあると、母の沙也子にしか相談しない。父の拓朗や兄の海斗の前では、弱さを見せず、明るく振る舞うことが多い
2021年7月3日 01:36
ある日、非通知設定から着信があった。「はい、もしもし?」「こんばんは!ラジオネームは?」「…はい?」「ラジオネーム、わかんないですか? じゃあ、僕がつけちゃいますね!ラジオネームは、クールビューティー前田くんにしましょうか!」「はぁ…。あの、何ですか、これ?」「あぁ、申し遅れました!『小森三郎のウェルカム!電話相談』です!ということは、私は、小森三郎です!」「…あぁ。なんか、間違って