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役員のMBOシートをのぞき見。役員の悩みと参考にしたい目を見張る目標設定。役員40人分みた

1. 役員一同のMBOを整理する

本日は休日出勤だ。窓ガラスから都庁を眺めつつ、バッツンバッツンとA3で印刷されたMBOをファイリングしていく。年度末の定型業務である。

うちの会社の役員数は40人おり、ファイリングするのには時間がかかる。さらに内容のチェックや、エクセルの体裁を整える。すべては社長に見やすくするためだ。

一般社員と同様に、役員にもMBOがある。年度末になると役員全員が、そのMBOを社長に提出する。その管理は秘書部が行う


社長は40人分のMBOを読み込んだうえで、評価・コメントをする。社長は多忙ゆえ、秘書としては社長の負担を減らすために、内容・体裁を整えて、見やすくする。

そんな雑用仕事であるが、役員全員のMBOを見る機会はそうそう無いので面白い。「この自己評価、超絶高すぎる。己惚れマン」、「この人の事業はかなりシンドイ。自虐的。不運の人」、「この人の実績は棚ぼた!ゴン中山!」なんて勝手に評価をしてしまう。


1兆円企業の役員となると目標設定のスケールは大きい。書いている内容は「今年も頑張ります」や「今年はマクロ環境によって不振でした」なんて、一般社員と似ているが、売上1000億円とか、グローバル展開なんてスケールが全く異なるのが特徴的である。そして、そこそこ達成している。すごいものだ。

2 目を引くMBOシート

秘書室に来て気付いた事がある。将来について、経営について、役員も実はさほど分かっていない、ということだ。

考えてみれば当たり前のことであるが、彼らも不安ながら頑張っている。分から無いなりに、経営会議であれこれ議論し、自宅で悶々と考えて、「多分こうだろう」と不透明のなかで、方針を出していく。

不透明なものに対して目標設定はしづらい。そのため多くの役員は、社長に指示された仕事や担当事業の目先の課題に取り組む。

そしてMBOには、その月並みな目標が記載される傾向がある。そういうMBOは読んでいてもイマイチだ。

ただ一方、目を引くものがある。

役員はそれぞれに「営業部門なら売上」、「技術部門なら開発」など委嘱された業務があり、それに対応したミッションを目標設定している。

そんななかで、目をひくMBOは、与えられたミッション以上の、全社的な観点から目標を設定している。営業部門なのに、技術的な組織改革に触れたり、また長期的な経営戦略に基づいたりする。

そんな目標設定をみると「お!確かにそれ大事!」となる。良く考えたのが文章から伝わり、生みの苦しみを味わったうえで目標を設定したのが分かる人もいる。

社長もそのような目標がでてくると「お!いいね!」となる。社長としては、社長が与えるミッションではなく、それ以上、もしくは別の観点を期待しており、その期待に応える役員は評価が高くなる。

まとまったMBOを見ると、良し悪しが明確に分かる。第三者のぼくですらビジョナリーなMBOは妙に光って見える気がする。

未来を見据えて、ビジョナリーに仕事をするのは、改めて良いものだと思う。すべてのビジネスパーソンが、将来を担うという責任感を持って仕事に取り組めれば、格好良い世の中になるだろう。


3 役員と言えど未来は分からないという事を知っておく

論点は少し変わるが、役員が暗中模索で経営をしているというのを、社員は認識しておいた方が良いと思う。

彼らも、不安を感じながら、頑張って、社員にミッションやメッセージを出している。時には、「よう分からなんし、間違っている気もするけど、言い切らないと。立場的に。」という場面もある。

そんなケースも少なくないので、「役員(もしくは自分より立場が上の人)の言っている事は正しい」と考えるのは避けた方が良い。

人は何気なく権威者の言葉を信じてしまうところがある。とくに大手企業の社員は、その傾向は強いと思う。

何事も最終的には自己責任。やみくもに信じて「言ってること違うじゃん!」となったら寂しい。あくまで自分で考えて、行動するという事は忘れてはならないと思う。

また、役員はプレッシャー・不安と闘っているため、社員からの意見・提案を常に渇望している。すなわち、何かを言ってくれる社員はとてもありがたい。

言われたことを「Yes、Yes」と遠慮して、受け身の姿勢で粛々と仕事をしてしまう人が多い気がするが、これは良くない。

もっと言えば、役員・上司が不安を抱え続け、胃を痛ませているなかで、何も言ってあげないのは放置プレイであり、可哀想なことをしていると捉えた方が良い。

イタリア人的に言うのであれば(?)、「自分に恋をしている女性がいて、日々恋の病にかかっている。その気持ちに気づかず、放置してしまう」くらい可哀そうな事をしている。

そのため、自分から積極的に提案してあげる、かまってあげる。

そして、それは自分なりに考えた提案ならさらに良いはず。このことは当然の事ながら、ビジネスマンとして改めて認識しておくことなのだろう。

「また、この専務、セルの書式を勝手に変えてるよ。見た目がズタズタになるから止めてくれと注意したのに」と、休日にセルの形式を統一させながら、そんなことを思う。

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