2020年コロナの旅 −1日目:本当の前夜、しめやかな友との別れ
2019/12/16
タイ、スウェーデン行きのチケットを買ってから5日が経った。
いつ終わるとも知れない旅の支度をするのにはいささか準備期間が短かかった気もするが、スナフキンや桑畑三十郎のような風来坊が好きな私は「風の吹くまま気の向くまま」への憧れに身を委ねて、納税などの浮世じみた不安を無視して(後に大いに後悔することとなるが)無心に旅行に必要そうなものをバックパックに詰めていくことにした。
家から3分のところにある図書館でバックパッカーの心得を記した本を開き、持ち物についての項目を読む。「5日間の国内旅行と思って装備すればよい」というようなことが書いてあったと思う。それを参考にして、また、同年5月に行ったベトナム旅行の反省を踏まえて、持ち物は以下の通りとなった。これから旅行に行く人のためにコメントも添えたので、ご参考いただきたい。
持ち物一覧
・バックパック:40Lのもの。小ぶりなので機内に持ち込めるケースが多く、大変助かった。キャリーオンバッグではなくラゲッジにと認識されてしまうと、追加料金がかかる。ヨーロッパ内でのフライトでは、下手をすると航空券より高くつくことがある。
・バックパックカバー:雨避け。電子機器を守るために必須。500円の投資で10万円単位の財産が守られる。
・パスポート:10年物の赤。
・スマホ:HUAWEI P20 lite。ある国である事件が起こるまで、カメラも含めて実に良い仕事をしてくれた。ヨーロッパのシムカード、私が試した8社は全て使えた。
・ノートパソコン:ライターの仕事で使うため必須。分厚いDynabookから薄めのSurfaceラップトップに買い替えておいてよかった。もっと小さければなお良かったろう。レッツノート欲しい。
・ロングコート:ダブルの重厚なロングコート。ベトナム旅行では機能性ばかり気にして「おしゃれ」という観点が完全に欠落した結果、素晴らしい景色を背景とした写真も全てお蔵入りとなった。おしゃれにも気を遣って、お気に入りのロングコートを選択。防水性があるので、いつも旅行で携行するレインジャケットは省略した。また、ポケットが大きく多く、カバンを補完する存在でもあった。
・キャップ:アディダスの黒いキャップ。レインジャケットの省略に伴って、頭を保護する必要が出てきたのでキャップは欠かせないものとなった。髪が伸びかけの時期でもあったため、微妙な髪形で目覚めた朝などのごまかしにも大いに有効であった。旅先では毎日髪を洗えるとも限らない。
・セーター:白のローゲージニット。おしゃれかつ暖かいので、冬のヨーロッパの寒さに備えて。バックパッカーなのにあえて汚れやすい白にしたのは、黒のダウンを羽織っていれば汚れ対策になると踏んだのと、機能性の低い襟付きシャツを避けつつも、モノトーンでフォーマルさを演出する狙いがあった。この狙いは的中。
・インナーダウン:昔ユニクロで買った、落ち着いた印象の黒いダウン。おしゃれに防寒対策。
・マフラー:おばあちゃんにもらったイギリス製の高級カシミヤマフラー。これだけは高価なものなので、暖かさ、おしゃれさ、携行性が全て備わった、私の旅に欠かせない相棒となった。日較差の大きいクロアチアの山中などでは日中はターバンのようにして日差しを防ぎ、夜は首と頭に巻き付けて暖をとった。椅子が固いときは畳んでクッションにも。
・ヒートテック極暖×2:防寒。寒さに弱いのでしっかりと。
・Tシャツ×3:タイを経由するので暑い気候にも対応。
・海パン:タイに向けて持って行ったが、パンツの洗濯が追い付かないときに代わりに履いたり、ヨーロッパでもホステル内で履いたりと重宝した。
・タイパンツ×2:これはタイで入手。ホステル着として優秀。バックパッカーの看板みたいなもんでもある。
・ヒートテックのタイツ
・ズボン×2: 暖かくてスタイリッシュなヒートテックのジョガーパンツと、おしゃれと登山用の黒のスキニージーンズ。
・長靴下×2:熱いところではサンダルを履く想定でくるぶしソックスは省略。
・マジックテープべりべりサンダル:本当はハワイで買ったお気に入りのビーチサンダルを持っていく予定であったが、老朽化のため断念。機動力の高さはよかったが、ホステル履きとしては着脱らくらくなビーサンに劣る。
・マウンテンブーツ:何があっても対応できるように、という心づもりであったが、結局マウンテンブーツがいるような場面はほとんどなかった。山登りもスニーカーで十分。
・チェルシーブーツ:マウンテンブーツがもっさりしすぎな気がしたため、ストックホルムのZARAで購入。物価の高いストックホルムでも、おひざ元のH&MだけでなくZARAも日本より安くて感動。以後、日本でも日本円のタグをずらしてユーロの価格を見てため息をつく癖がついてしまった原因の一品。本稿を執筆中も履いている、意外とタフで最高におしゃれな相棒。着脱のしやすさもニクい。
・お風呂セット(ボディーソープ、シャンプー、コンディショナー、リップクリーム、デオドラント):ベトナムへはやせ我慢して固形石鹸一つ握りしめて旅に出たが、さすがに長髪を石鹸で洗うと、からまって後が大変。100均で旅行用ボトルを買い、いつも使っている激安のお風呂セットを移し替えて携行。化粧水はめんどくさかったので、リップクリームで代用(?)することにした。これには特に問題なし。風呂に入れないこともあるので、ロールオンのデオドラントはバックパッカーのたしなみである。スプレーだとバスなどの中で使えない。ちなみにこのお風呂セットは旅の途中3回ほど紛失を繰り返した。
・財布:日本で普段使いの本命の財布は無くしたら辛すぎるので、ベトナムのホイアンで買った安物を携行。安いが見た目はとてもおしゃれ。革製品で名高いホイアンの意地。機能性はめちゃくちゃ低いのだが。
・マネーバンド:ウィーン留学中もベトナムでも治安の悪さに終始おびえ通しだった私。今回ついにマネーバンドを導入したが、結論から言うと全く使わなかった。パスポート、余った小銭や保険のために取得した8枚のクレジットカード、いざという時の1000円などを入れていたが、バックパックの中に放置することもあった(絶対にやめたほうがいい)。そうでなければ、肩掛けのおしゃれポーチの中にカバンinカバン状態であった。まあ大事なものがいつもどこにあるかわかっているのが重要なのかもしれないが。
・肩掛けポーチ:MEIsurfのおしゃれなポーチ。バックパッカーは通常、巨大なバックパックと、現地散策用の小さなバックパックを併用するものなのだが、バックパックが小さいのでそれに合わせて小さな散策用カバンとして。散策に多くの持ち物はいらないし、ロングコートの収納力が素晴らしいので水のボトルなどはコートに入れた。また、これを肩から掛けた上からコートを羽織れば一見手ぶらに見える。旅行者らしさをあまり出さないのは防犯上大事なことである。
・クレジットカード×8:海外旅行保険の代わりに携行した。これについての記事はまた別に書くことにしよう。
・海外旅行保険:「クレカ、代わりになってないやんけ」というお叱りが聞こえてくるようであるが、3か月たつと無料のクレカの海外旅行保険は大体切れてしまうのである。長期の旅行であれば、途中から海外旅行保険を新規契約する必要がある。私はコロンビアの友人に聞いた保険会社を使い、1か月5000円ほどで済ませた。日本の保険会社ではありえない金額である。これについても別稿に譲る。
・スマホ充電器
・モバイルバッテリー:10400mAの大容量
・タオル:100均の速乾性のものを一本
・爪切り:ストックホルムで買ったキーホルダーになっている一品。必要に迫られて購入。爪切りは意外と代わりになるものがないので必須アイテムである。
・本:暇つぶし。バックパッカーは最安ルートでの移動のためにとんでもない時間乗り継ぎに費やしたりする。小さな本を1冊忍ばせておくと良い。多くのホステルでは本を交換できる本棚があるので、読み終わったら新しいのを本棚からとればよい。
・お土産:ギリシャで買った銀の指輪のほかに、ビールの王冠やコースターなど。
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以上が旅が終わる時点でのカバンの内容物であった。衣類はほとんど身に着けているため、カバンの中身はかなり少ない。
旅先で調達することになったものもいくつかあったが、個人的な志向による特殊な需要の範疇ではなかろうか。いつも忘れものの多い私の割には、必要なものは最低限持っていけていた気がする。爪切りは盲点だったが…
最後に、当日の日記を公開して本稿を終わる。いよいよ明日から、コロナの旅が始まるが、この時の私はコロナのコの字も認識していない。する由もない。
2019/12/16
フェリックス、フォンアン(著者注:ドイツ人の友人二人。彼らとは前月に沖縄旅行に行った。)と丸亀製麺に行き、となりのユニクロで極暖ヒートテックを購入後、関空に前乗り。以前の沖縄旅行の時はフェリックスとフォンアンと3人で過ごした関空の夜だが、今回は一人だ。空港で寝るのはやはり難しい。3時間ほどしか寝られず、首も相変わらず痛い。
タイで整体でも受けようか。
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次回予告
2019年12月17日に始まった私の世界旅行。1年越しに当時の出来事を、当時の日記をベースに公開していきます。
次回はいよいよ日本を発ち物語はタイへ。旅の高揚感は初日がクライマックスかもしれません。
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