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Fictional Diary

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in企画、藍屋奈々子の空想旅行記。ほんものの写真と、ほんとうじゃないかもしれない思い出。日刊!
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#おでかけ

fictional diary#26 彼女が話してくれたこと

fictional diary#26 彼女が話してくれたこと



ひとつの町からべつの町へ移動する途中、バスに乗り合わせた人と仲良くなった。20代後半の女のひと。日に焼けていて、長袖のチェックの薄いシャツを着て、肩には大きなリュックサックをしょっている。あなたも旅をしてるの、と隣の席に座ったわたしに話しかけてきた。私はそうだと答えて、いままでの旅の話や、自分の国のことを話した。彼女もわたしに、自分の旅のこと、家族のこと、そのほか思いつく限りいろいろなことを話

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fictional diary#27 街灯に咲く

fictional diary#27 街灯に咲く



その通りに並ぶ街灯には、春のある日になると、花の入ったカゴがぶらさげられる。その日がいつになるのかは、誰も知らない。その日の朝、通りに出てみて、初めて気がつくのだ。小さな花が窮屈そうに植えられた鉢植えが、カゴの中にすっぽりおさまっている。はしごを使って街灯に登った作業員が、小さいがずっしり重たいカゴを持ち上げて、そのために専用に作られた、街灯の横の出っ張りに据え付ける。カゴのなかに入っているの

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fictional diary#28 名前のない色

fictional diary#28 名前のない色



赤に近いような濃いピンク色、それとも、薄紅色、といったほうがいいのだろうか、見たことのない色の壁を、路地裏の奥でみつけた。建物はすこし古ぼけていて、中には人の気配がなかった。誰も住んでいないみたいだった。壁は所々にひびが入って、水の滴っている箇所もあった。そこかしこに、遠目で見ればわからないくらいの小さなほころび。狭い路地裏の奥、こんなに明るい色をした建物に住んでいた人は、一体どんな人だったん

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