fictional diary#29 流行りの葉っぱ
その町の市民病院の中庭には、大きな木が何本か生えていたけど、どの木にも葉っぱはひとつもついてなかった。緑の季節、公園の木や道路沿いの街路樹もみんな青々と葉っぱを茂らせている時なのに、どうしてだろうと思って、病院の門のまえでじっと立っている門番のおじさんに聞いてみた。薄い色の短い髪と、水色の瞳。ブロンドの髪のひとはまゆげやまつげまでブロンドなのは何度みても不思議にみえる。濃い紺色の制服はこの季節には暑そうだ。おじさんは最初、わたしが何を言っているのかわからなかったみたいで、