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「ハリーポッターとハイテンションマフラー」~キングス・クロス駅の9と3/4番線~

「1・2・3!ナ~イス!フォゥ!」

「1・2・3!パーフェクト!フォゥ!

やたら騒いでる人がいる。そして、なぜか壁際に行列ができている。

場所はロンドン。キングス・クロス駅だ。

ここは、天井も照明の色もオシャレすぎる。見たことのないデザインに圧倒された。

ただの駅なのに、何かが始まりそうな空気感を放っている。異空間だ。

時間は、19時を過ぎたころ。このオシャレな駅の壁際の方で、やっぱり誰かが騒いでいる。

駅の構内でそんなに盛り上がることって、あるのか?

盛り上がっている壁の方に行くと、そこには「PLATFORM 9 3/4」とあった。

「9と4分の3番線」だ。

映画「ハリーポッターと賢者の石」で、ハリー達が初めて魔法学校に旅立ったときの壁。カートを押しながら壁に向かって走りこむと、吸い込まれていくアレだ。

あのカートと、あの壁が、キングス・クロス駅に存在した。映画の舞台はここだった。騒いでいたのは、壁のスタッフのお姉さんだった。

この壁は、ロンドンの有名な観光地で、記念撮影の際にあのマフラーあの杖を貸してもらえる。

マフラーを巻かせてくれるだけではない。おもしろいのは、撮る瞬間にマフラーをいい感じになびかせてくれるサービスだ。もちろん無料。

僕が見たお姉さんがとびきりハイテンションだっただけかもしれないが、とにかく元気が良すぎる。

マフラーをなびかせてくれるときの合図は、「1・2・3!」

3のときに、ふわっと天高く飛ばす。

撮り終わると、満足げな表情で、

「パーフェクト!」「ナイス!」「フゥ~!」と雄たけびをあげる。

このお姉さんのテンションについていけるかどうか不安を覚えつつ、僕の撮影ターンがきた。

「グリフィンドール?スリザリン?」とお気に入りのマフラーを聞かれる。

僕は、勇猛果敢な騎士道を持ち合わせているので、グリフィンドールをチョイスした。このお姉さんに負けずに、この場に立った時点で勇気があるだろう。

カートの前で、ちょいと演技指導を受ける。

PLATFORMの看板を杖で指しなさい。

もう片方の手はカートを持ちなさい。

片足を上げなさい。

ハイテンション姉さん「あとは私がうまいことやるわ!いくわよ。1・2・3!」

撮れた写真がこちら。

めちゃくちゃなびいている。藤岡弘だぞ、もはや。もしくは、水木一郎か。

とにかく、このお姉さんが「マフラーなびかせの魔法使い」であることはわかった。

ハイテンション姉さん「もう一枚いこう!次は飛ぶのよ!あなたはホグワーツに行くのよ!」

「ジャンプしなさい」というシンプルな演技指導を受け、撮れた写真がこちら。

「卍」かよ、体の向き。飛びすぎて、なんらかの空中技を決めてる人みたいになった。

競技名をつけるなら、「エアーウォール」だろうか。壁際で飛ぶだけのバトル。たぶん、技術点は高いと思う。

マフラーがうまいことなびかなかったので、なんて言われるかなあと思ってお姉さんを見てみると、もう次の人の所属クラスを組み分けていた。

飛びすぎて恥ずかしかったので、周りの人達にオブリビエイト(忘れさせる呪文)しておいた。

↓ 飛ぶ瞬間のNGショットです。

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