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高さ45mの木製エレベーター「サンタジュスタのリフト」に乗ってきた【ポルトガル・リスボン】

ポルトガルの首都「リスボン」に行ったときの話。

ポルトガル?ポルトガルに旅行?そう思うかもしれない。

スペイン、イギリス、フランス、イタリアなどの”ヨーロッパ最強観光都市”と比べると、なにがあるのか想像がつきづらい。

先に言ってしまうと、派手な観光名所は少ない。「ここに行け」という圧倒的な名所が少ない。

ポルトガルのガイドブックを開くと、こんなことが書いてある。

・コルク製のお土産がかわいい

・アズレージョ模様のタイルがかわいい

・街を走るトラムがかわいい

・エレベーターに乗れ

観光にきてエレベーターに乗るの?わざわざ?エレベーターなんて、どこ行ってもあるじゃないの…

フランス→モンサンミッシェル

スペイン→サグラダファミリア

ポルトガル→エレベーター?

これは興味が湧いてくる。乗るしかない。

そんな経緯で、リスボンのエレベーターの下まで来てみた。

こ、これはエレベーターなのか?

メタリックで、迫力満点で、なにより造形自体が美しい。このエレベーター、名前を「サンタ・ジュスタのリフト」といい、45mの高さを誇るリスボンのシンボル。

そもそも、市街地になぜこんな巨大エレベーターが必要なのか。その理由は、リスボンが7つの丘をもつ「坂の街」だから。

実際にいってみて驚いた。道路のどこもかしこも、斜めになっている。目の錯覚を起こす部屋かよ

おまけに路面は「主に石畳み」ときた。歩きづらいったら、ありゃしない。町のどこでも”全力坂”ができる。

この、坂の町「リスボン」を上下に簡単に移動する方法。それがエレベーターなのだ。

「サンタ・ジュスタのリフト」は、1902年に完成し、100年以上たった今でも、ちゃんと動いている木製のエレベーター。外側がメタリックなので、中の想像がつかない。

頂上は、街の展望台になっていて、リスボン全体が見渡せるらしい。ただのエレベーターだけど、ただものじゃなさそうだ。

隣ではビュッフェが営業中。店のおじさんが、だるそうに観光客を見てくるのがたまらない。

エレベーター待ちの行列は、結構長かった。わざわざ何分も待ってエレベーターに乗る住人はほとんどいないので、観光客だらけだ。
まさか、観光にきているのに、エレベーター待ちをするとは。30分も。

日常生活なら、「あきらめて階段を使おうか」となるところだが、今回はその選択肢がない。エレベーターが目的だから。

人生で初めて、「エレベーターに乗ること」を目的とした。

エレベーターの乗り口は、異様な雰囲気を醸し出していた。一回入ったら最後。10年は監禁されそうだ。

建造物として細かいところまで美しく、ひとつひとつの装飾は見ていて飽きない。

順番待ちが終わり、いよいよ監禁される。1度に20人ぐらいずつ収容される。もう「助けてくれえ!」の口になっている。

「さあ、楽しんできてください」

職員さんが笑顔で扉を開く。

このエレベーターは、実は普通の公共交通機関という扱いなので、交通ICカードで料金を払える。

Suicaみたいなやつで「ピッ」として、100年前のエレベーターに乗る。なんとも不思議な感覚。

「ゴーッ」

「ウーーー…ガガガガガ…」

「ガッシャン」

「到着です。展望台へは螺旋階段でどうぞ。」

着いた階がすぐ展望台という作りではなく、螺旋階段をのぼっていくスタイル。高所すぎてこわいので、とりあえず意味なさそうな南京錠を撮って気を紛らわした。この町の斜め具合。上から見ても急勾配であることがわかる。

螺旋階段の中から見た景色はこうなっている。

むき出しの階段。風が吹き、少し揺れる。高所恐怖症の人は厳しいかもしれない。

恐怖の螺旋階段をのぼりきると、こんな景色が広がる。
緑、オレンジ、白、青。4色で構成された世界。

オレンジで統一された屋根がヨーロッパっぽい。

カモメの鳴き声、人の笑い声、船の汽笛、それぐらいしか聞こえない。本当に、のどかだ。

柔らかい日差しと、目にやさしい風景。ずっと見ていられる。

景色を殺さないように意識しすぎて、変な構えで写真にうつってしまった。

ポルトガルで初めて地下鉄にのったとき、広告が少ないと感じた。
がめつくないというか、バルセロナ、パリ、ローマで感じた「俺が俺が」感がない。
みんなで静かに暮らせればいいじゃない。そういった、心の余裕を感じた。

ポルトガルは、これといって何も無い。ガイドブックを読む限り、そんなイメージだった。だけど、実際に行ってみたら、本当に良かった。おすすめしたい。

記憶に残るのは建造物や、単体の名物ではなく、街そのもの。

のどかな風景、人々のあたたかさ。泊まったホテルの近くでは、20時には街全体の灯りが少なくなり、レストランなども閉まった。いい意味で、自分の生活を1番大事にしているわがままな風土だった。

非日常を感じる旅行も刺激的だが、他の国の日常を感じたい場合は、ポルトガルが1番おすすめかもしれない。

旅行ができる世の中にもどったら、ぜひ、リスボンにエレベーターに乗りに行ってみてほしい。

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