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300文字の読書感想文

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本を読んだ感想を可能な限り300文字程度にまとめるチャレンジをしています。 2024年8月に開催予定の図書館イベントまでの期間限定で始め、その後はどうなるか……。
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【300文字の感想文】<4>すいかの匂い|江國香織

【300文字の感想文】<4>すいかの匂い|江國香織

<4>すいかの匂い 江國香織

夏を題材にした短編集がないかなと、たまたま見つけて読了したけれど、11話からなるどのお話も、どうもすっきりしない、素直な言葉で吐き出せば、読後感が微妙な1冊だった。

昭和の時代背景のなかにいる物語の主人公たちはみな、重い影の部分が見える。それでも、少し空が低く感じるような時代のなかでは、人と人との距離感が、良くも悪くも近かったことを思い出せる。
途中で離脱もできる

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【300文字の感想文】<1>ニッポンのココロの教科書|ひすいこうたろう

【300文字の感想文】<1>ニッポンのココロの教科書|ひすいこうたろう

<1>ニッポンのココロの教科書 ひすいこうたろう

国語というものに学生時代は苦手意識しかなかった。
どうやったって、「筆者の気持ちを考えよ」みたいな問いには、「そんなのわかるはずないじゃん」と思っていた。
自分なりにどう思うか、と聞かれたら答えられるけど、あたかも答えはひとつよ、みたいな問われ方に甚だ疑問しかなかった。

そんな私がこの歳になり、書くことを学び、日本語の難しさを改めて感じ、タイト

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【300文字の感想文】<2>推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない|三宅香帆

【300文字の感想文】<2>推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない|三宅香帆

<2>推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 三宅香帆

「やばい!」
好きなもの、美味しかったもの、なんだってその一言で終わらせられちゃう。
どうやばいのかを深掘りしたくても、表現するには感性を磨かないと出てこないものなのか。
表現できない自分が、どんどんつまらなくなっているようにも感じてしまう。

手順や、書き方はこの本に載っている。
自分の言葉で語ろう。
わかる!語りたい

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【300文字の感想文】<3>あなたは、誰かの大切な人|原田マハ

【300文字の感想文】<3>あなたは、誰かの大切な人|原田マハ

<3>あなたは、誰かの大切な人 原田マハ

目の前に広がる本のなかの景色が、丁寧に描写されている。タイトルにあるとおり『大切な人』が1話1話に存在する。
人と人とのつながりの描写はもちろんだが、私は、その舞台となる景色や情景がありありと目の前に広がる魔法に感動を覚えた1冊となった。
言葉の紡ぎかたひとつで、こんなにもその場所に行った気分にさせてもらえるのかと!

6話からなる短編集のなかで、『月

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